「お宝銘柄」発掘術!

物価高で注目が集まる「生活防衛」関連銘柄を解説!「業務スーパー」や「ドン・キホーテ」「3COINS」など、生活費削減をサポートする注目企業6社を紹介!

2023年1月19日公開(2023年1月19日更新)
村瀬 智一
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マクドナルドのハンバーガーや卵の大幅な価格上昇など、
原材料や燃料費の高騰を背景にモノやサービスの値上げが加速!

 2023年に入り、モノやサービスの値上げに関するニュースが一段と増えてきたように感じます。

 年明け早々の1月5日には、帝国データバンクが2023年1月の「『食品主要105社』価格改定動向調査」を発表しました。この調査によると、2022年末時点において、2023年中に値上げが決まっている飲食料品は累計7390品目で、そのうち2月に値上げされる品目は4283品目と2022年10月に次ぐ多さになるとのことです。また、2023年の平均値上げ率は18%で、2022年の14%を上回ると見られています。

 また、総務省が1月10日に発表した東京23区の2022年12月の消費者物価指数は、前年同月比で4.0%上昇しました。これは1982年4月以来、40年8カ月ぶりの高い水準です。

 実際、ロシア・ウクライナ戦争の影響による原材料の高騰に加えて、円安によるコスト増加を背景に大幅な値上げを行う企業が増えています。日本では、消費者が価格上昇に敏感に反応するため、企業は客離れを恐れて価格を引き上げられない状況が長らく続いてきましたが、さすがに原材料高などに耐えられなくなってきているのでしょう。

 最近では日本マクドナルドが、1月16日から約8割の品目で値上げを実施したことが話題になりました。ファストフードはレストランなどと比べて手頃な価格に価値を見出す人が多いことから、今回のような大幅値上げは顧客離れにつながる可能性があります。

 また、長年価格が変わらないことから「物価の優等生」と言われてきた鶏卵も、最近は値上がりが続いており、2022年12月の平均価格は約31年ぶりの高値を記録しました。大規模な採鶏卵農場で鳥インフルエンザが相次いで発生したことで供給量が減少した影響もありますが、配合飼料や燃料費の高騰の影響が相当大きいと見られます。

 価格を上げれば消費者の買い控えにつながるとはいえ、各企業は価格転嫁をせざるを得ないところまできており、値上げしたとはいえ「赤字が出ないぎりぎりのレベル」という企業も少なくないのでしょう。

日本では長年デフレが続いてきたからこそ、現在の物価高の
インパクトは大きく「生活防衛」に対する関心も高まりやすい

 世界から比べれば日本のインフレ率は相当低い水準でありますが、日本では長年デフレが続き、安定した価格を当たり前のものとして生活してきました。だからこそ余計に最近の物価上昇に対する生活防衛意識は高まりやすく、株式市場でもそこに関連する企業への関心が高まることが予想されます

 インフレ対策としては賃金が適度な水準で上昇することが望まれ、実際、1月11日にはファーストリテイリング(9983)が従業員の年収を最大4割上げると発表しました。しかし、こういった賃金のベースアップは極めてまれであり、多くの人の意識は当面、生活費の削減による「生活防衛」に向かいやすくなるでしょう

 そこで今回は「生活防衛」に関連する銘柄に注目。関連業界などからテクニカル面や需給面を考慮して、株価上昇が期待できる銘柄を選定しました。

【神戸物産(3038)】
製販一体体制を基盤にオリジナルの低価格商品を販売

 神戸物産(3038)は食品スーパー「業務スーパー」を全国展開しています。グループの製販一体体制を基盤に、他社にないオリジナルの低価格商品を数多く扱っています。また、外食・中食事業では、製販一体体制のスケールメリットを活用して大型ビュッフェレストランや焼肉食べ放題&デザートビュッフェの店、惣菜店などを展開し、売上高も順調に伸びています。株価は2022年11月からリバウンドの動きを見せており、足元では13週・26週移動平均線を下値支持線とした底堅い値動きが続いています。心理的な上値抵抗線である4000円突破からのさらなる株価上昇を想定し、押し目を拾っておきたいところです。

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神戸物産(3038)チャート/週足・1年神戸物産(3038)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【トレジャー・ファクトリー(3093)】
「生活防衛」の観点からリユース(中古)市場の拡大に期待

 トレジャー・ファクトリー(3093)は、総合リサイクルショップ「トレジャーファクトリー」や古着専門店「トレファクスタイル」などを首都圏で展開しています。大型家具や家電、洋服、雑貨、ブランドアイテム、スポーツ・アウトドア用品など、多彩な商品の買い取り・販売を行っていますが、「生活防衛」の観点からリユース市場の拡大が見込まれます。株価は長期的に強いトレンドが継続して1月16日には2770円まで買われたものの、その後は急速に利益確定の動きが強まっているので、26週移動平均線を下値支持線とした押し目狙いのスタンスとなります。

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トレジャー・ファクトリー(3093)チャート/週足・1年トレジャー・ファクトリー(3093)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)】
訪日外国客の上限の撤廃以降、免税関連の売上が改善

 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)は、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を主力に、総合スーパーの「アピタ」「ピアゴ」「長崎屋」などを展開しています。12月の既存店売上高は前年同月比3.4%増で、7カ月連続で前年実績を上回っています。訪日外国客の上限が撤廃されて以降は免税関連の売上も改善したことに加え、12月にはクリスマス関連や旅行関連の売上が伸長しています。株価は2022年8月半ばに急伸し、9月には一時2732円まで買われました。その後は13週移動平均線に上値を抑えられる格好で緩やかな調整が続いていますが、足元で下値支持線として意識される52週移動平均線に接近しており、押し目拾いのタイミングと言えるでしょう。

⇒パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)の最新の株価はこちら!

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)チャート/週足・1年パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【パルグループホールディングス(2726)】
グループ会社が300円ショップ「3COINS」を運営

 パルグループホールディングス(2726)は、グループ企業のパルが300円の商品を中心とした雑貨屋「3COINS(スリーコインズ)」を運営。生活雑貨やインテリア雑貨、服飾雑貨など、さまざまなアイテムを幅広く取り揃えており、メディアでも頻繁に取り上げられています。株価は、1月12日に一時2724円まで買われた反動もあって足元では調整していますが、切り上がる13週・26週移動平均線が下値支持線とした上昇トレンドは依然として継続しています。

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パルグループホールディングス(2726)チャート/週足・1年パルグループホールディングス(2726)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【サイゼリヤ(7581)】
原材料費の高騰にも負けず「値上げをしない方針」を表明

 サイゼリヤ(7581)は、イタリアンファミリーレストラン「サイゼリヤ」を運営しています。原材料価格の高騰が続くなか、同社社長が1月12日、売り上げがコロナ前の95%まで回復していることや、より業務の効率化を進めることで価格の維持は可能だと述べ、改めて値上げしない方針を明らかにしました。株価は、切り上がる13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドを形成し、1月12日には3260円まで買われました。直近で過熱感も意識されるため、3000円前後での押し目を拾いたいところです。

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サイゼリヤ(7581)チャート/週足・1年サイゼリヤ(7581)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【ニトリホールディングス(9843)】
雑貨に特化した「デコホーム」を700〜800店まで拡大目指す

 ニトリホールディングス(9843)は、家具・インテリア用品小売業の大手で、「ニトリ」「デコホーム」などを展開しています。近年は雑貨に特化した「デコホーム」が順調で、現在164店舗を展開。商品の50%近くを「ニトリ」と違うラインナップにすることで差別化を図っており、より小さなショッピングセンターへの出店などを含め、国内で700~800店まで拡大させる狙いのようです。株価は2022年10月につけた11465円を安値に、上昇トレンドが継続。足元で調整を見せていますが、下値支持線として意識される13週移動平均線に接近しており、押し目狙いのタイミングと言えます。

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ニトリホールディングス(9843)チャート/週足・1年ニトリホールディングス(9843)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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 以上、今回は「生活防衛」関連の銘柄を発掘しました。

 なお、足元では物価の上昇に加えて、少子化対策の財源として消費増税の可能性も浮上しており、消費水準を切り下げる動きから王将フードサービス(9936)吉野家ホールディングス(9861)くら寿司(2695)など、手頃な価格帯の「外食」関連銘柄も注目されそうです。さらに、旅行が手控えられる一方でキャンプ需要が高まる可能性もありそうなので、個人投資家としては、こうした消費の変化にも注意しておきたいところです。
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