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日経平均株価は、2月6日の2万7821.22円を目先天井にした調整が2月22日の2万7046.08円で底入れしました。その後、2月24日~3月2日までは2万7500円付近で膠着しましたが、3月3日には一時2万7961.21円まで上昇し、終値も前日比428.60円高の2万7927.47円と2月6日の2万7821.22円を上抜きました。
そして、週明け3月6日は前週末比310.31円高の2万8237.78円と大幅に続伸し、2万8000円の大台を回復。終値ベースでの2万8000円回復は、2022年12月15日の2万8051.70円以来のことです。そして7日も3日続伸し、前日比71.38円高の2万8309.16円となりました。
つまり、日経平均株価は3月3日から7日の3営業日で、終値ベースで810.29円上昇し、需給的に「買い方有利・売り方不利の状況」に一変しました。
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日経平均株価の大幅高は「米国株高」「中国の景気回復期待」
「日銀の政策修正リスクの低下」などがの主な要因!
3月3日の日経平均株価の大幅高は「前日2日の米国株高が好感されたこと」「SQ前の先物の買い戻しが加速したこと」「中国の景気回復期待が高まったこと」、さらに「日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)を撤廃しても日本の国債市場の混乱が回避される見通しとなったこと」が主因でした。
「米国株高」については、3月2日のNYダウが続伸し、前日比341.73ドル高の3万3003.57ドル。また、ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発し、同83.50ポイント高の1万1462.98ポイントでした。タカ派とされるアトランタ連銀のボスティック総裁が2日、21~22日に開かれるFOMCでの利上げ幅について「0.25%に断固賛成している」と述べたことが、好感されました。
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「SQ前の先物の買い戻し」については、10日の株価指数先物・オプション3月物のSQ算出を前に、相場の急騰に慌てた先物の売り方の買い戻しが加速したようです。
また「中国の景気回復期待」は、経済指標の発表と重要イベントがあることで高まりました。具体的には、まず、中国国家統計局が3月1日に発表した2月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.6と前月比2.5ポイント上昇し、市場予想の50.5を上回りました。さらに、中国で4日から“両会(2つの会議)”と呼ばれる重要イベント「全国政治協商会議(政協)」と「全国人民代表大会(全人代)」が順次開幕することで、新指導部のもとで景気刺激策が打ち出される可能性が意識されています。
これらに加え、3月3日に日本経済新聞が「メガバンクなどの大手金融機関が国債購入を増やす機会をうかがっている。植田和男次期日銀総裁候補がいずれ政策修正に着手するとの観測が浮上。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の撤廃などで長期金利が上昇(債券価格が下落)すれば、国内勢の買いが活発になりそうだ」と報じました。日銀がYCCを撤廃するなどして日銀の国債購入量が減るケースでは、民間銀行を中心とした国内金融機関が日銀に代わる強力な買い手となり、国債市場の混乱や野放図な長期金利の上昇が避けられるとの見方が強まったのです。これは、日銀の政策修正に怯えていた株式市場にはポジティブな材料となりました。
一方、3月6日の日経平均株価の大幅高は「前週末3日の米国株高が好感されたこと」「中国の景気回復期待が、全人代でさらに高まったこと」「日銀の政策修正リスクが大幅に低下したこと」が寄与したと考えています。
「米国株高」については、具体的には3日のNYダウが3日続伸して前日比387.40ドル高の3万3390.97ドル、ナスダック総合株価指数も続伸して同226.02ポイント高の1万1689.01ポイントと、どちらも上昇しました。前日に一時4.09%と2022年11月以来の高水準をつけた10年物国債利回りが3.9%台後半まで低下したことが好感されました。なお、10年物国債利回りは前日比0.11%低い3.95%で取引を終えました。
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一方、「中国の景気回復期待」ですが、3月5日に開幕した全人代で、実質経済成長率の目標が「5%前後」と定められました。2022年の「5.5%前後」からは下がったものの、景気回復を最優先課題に据え、財政出動で下支えする方針を打ち出した形です。このため、翌日6日の東京株式場では、鉄鋼や機械株などの中国関連の銘柄群に買いが入りました。
「日銀の政策修正リスク」に関しては、3月9日~10日の金融政策決定会合で、現行の大規模な金融緩和策を維持する可能性が高まりました。というのは、日銀の中川順子審議委員が1日、全国CPIについて「政府の経済対策もあって、当面上昇ペースがはっきりと鈍化していく」との予想を示したからです。また、日銀の高田創審議委員は2日、2022年12月の政策見直しが市場機能に及ぼす影響を評価するには「一定の時間を要する」との考えを示しました。連日で2人の審議委員が「慌てて追加の修正をする必要はない」との趣旨の発言をしたため、今回の会合での修正は見送られる可能性が一段と高まったと、多くの投資家が認識しました。
「5日移動平均線を下回り、かつ5日移動平均線が下向きに転じる」まで
日経平均株価の現在の上昇トレンドは継続する見通し!
当面の日経平均株価については、3月3日〜7日の3日続伸で、需給が大幅に好転し、短期的な上昇トレンドが発生中と見ています。上値に関しては、まずは2022年11月24日の2万8502.29円が意識される見通しです。
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ただし、日経平均株価が「上向きの5日移動平均線」と「上向きの25日移動平均線」をともに上回って推移している限り、今回発生した上昇トレンドは継続中と判断するため、どこでピークアウトするかを予測することは難しいとも見ています。ピークアウトの見極めは「日経平均株価が5日移動平均線を下回り、かつ5日移動平均線自体が下向きに転じること」です。こうなったら、今回発生したトレンドはいったん終了した可能性が高いしょう。
そして「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きに転じる」という事態になったら、逆に「下降トレンドが発生」したと見ておけばよさそうです。
スケジュール的には、パウエルFRB議長が3月7日に米国の上院銀行委員会で、8日に下院金融サービス委員会で証言する予定です。また、週末10日には、2月の米・雇用統計が発表されます。当面の米国株式市場は、FRBの金融姿勢やマクロ指標に神経質に反応し続ける見通しです。
3月3日と6日の日経平均株価の大幅高の主因のひとつが「米国株高」だったことを考慮すると、議会証言や雇用統計次第で米国株が急落するようだと、日経平均株価も流石に無事では済まないと考えてもいます。
ですが、今後の東証による「PBR1倍割れ企業への指導」を根拠に、PBR1倍以下で配当余力が十分にある銘柄への物色は続く可能性が高いことに加え、中国の景気回復期待も根強いため、「PBR1倍割れ銘柄&中国関連銘柄」人気は継続する見通しです。
このため、米国株が急落し、日経平均株価もその影響を受けて“連れ安”したとしても、「○○ショック」のような無秩序な全面安は起きにくいと見ています。よって、米国株の影響やインデックス売買の影響を受けづらい銘柄群の「押し目買い・噴き値売り」で相場に臨むことをおすすめします。
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