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欧米の金融不安が大幅に後退した結果、
NYダウが3日続伸と米国株は堅調に推移
イエレン米財務長官は3月23日、下院歳出委員会小委員会の公聴会で証言し、正当化される場合、当局には預金保護で追加措置を講じる用意があると述べました。また、28日に開かれる上院銀行委員会の公聴会ではリャン米財務次官(国内金融担当)が証言し、最近の銀行破綻を受けて講じた異例の措置を規制当局として繰り返し動員する用意を表明するとのことです。
シリコンバレー銀行(SVB)などの経営破綻と規制面の政府対応を巡って、米国の政策当局が、混乱の波及を防ぐために米国民の預金の安全性を確保する姿勢を明確に打ち出していることは、市場の金融不安を大幅に後退させています。
実際、3月27日のNYダウは3日続伸し、前週末比194.55ドル高の3万2432.08ドルでした。
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この日は、米・連邦預金保険公社(FDIC)が26日、ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズグループが経営破綻したシリコンバレー銀行を買収することで合意したと発表したことや、米・ブルームバーグ通信が25日に「米当局は銀行向け緊急融資ファシリティーなど一段の銀行支援を検討している」と報じたこと、さらに、欧州の株式市場で27日、前週末に大きく売られたドイツ銀行株が反発したことなどが好感されました。
もちろん、欧米の金融不安の解消に関しては、それなりの時間が必要だと見ています。ただ、欧米の当局が適切な政策を迅速に打ち出す可能性が非常に高いため、「〇〇ショック」と呼ばれるような急落が発生する可能性は非常に低いと思います。このため、日本株は「上値が重い一方で、下値も堅く、膠着感の強い相場が当面続く」というのがメインシナリオです。
日経平均株価は「中期的には下降トレンド」が続くが、
足元では自律反発による「短期的な上昇トレンド」が発生中!
日経平均株価に関しては、3月16日の2万6632.92円を起点にした自律反発相場が継続していると認識しています。ただし、3月23日以降は25日移動平均線が3日連続で下降しており、28日もほぼ横ばいで推移しています。また、75日移動平均線も28日時点で11日連続で下降中のため、現在は「中期的には下降トレンド」と見ています。
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一方、3月28日の終値が2万7518.25円と5日移動平均線(28日現在2万7453.32円)を上回り、かつ5日移動平均線自体が22日以降は5日連続で上昇中のため、「短期的には上昇トレンド」が発生中と考えられます。今後、日経平均株価が5日移動平均線を下回り、かつ5日移動平均線自体が下降するまでは、現在の「リバウンド」が継続する見通しです。
このままリバウンドが続くケースでは、3月10日と13日で空けた窓(2万7906.97円~2万8118.74円)を埋める水準が「第一の戻りメド」、3月9日と10日で空けた窓(2万8424.24円~2万8558.88円)を埋める水準が「第二の戻りメド」です。逆にリバウンドが終了したケースでの「押し目メド」は、1月20日と1月23日で空けた窓(2万6553.53円~2万6788.76円)を埋める水準です。
なお、個人投資家の相場の体感温度を示すとされる東証マザーズ指数は、非常に弱い動きを続けています。東証マザーズ指数の3月28日の終値は740.62ポイントと、5日移動平均線(28日現在749.35ポイント)、25日移動平均線(同753.47ポイント)、75日移動平均線(同755.54ポイント)のすべてを下回っています。つまり、日経平均株価はそこそこ堅調ですが、東証マザーズ指数は底値圏で低迷しています。このため、小型株を中心に信用取引を活用して短期売買を好む「アクティブな個人投資家」の手の内やマインドは、悪化したままだと見ています。
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このような状況下で、3月22日からIPOラッシュとなっており、3月22日から4月26日までの間に28社が上場します。
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投機的なマネーはパチンコ用語の「新台」にも例えられる直近IPO銘柄に集中するため、値動きの鈍い既上場の保有銘柄を売って「新台」の購入資金を捻出する動きが継続する見通しです。売られる銘柄は、信用買い残が積み上がっているうえ、株価が25日移動平均線を下回り、25日移動平均線自体も下降中の「チャートが悪化した銘柄」が中心になるでしょう。
日経平均株価は2万7500円あたりの「もみ合い」となっていますが、東証マザーズ指数が示すように「アクティブな個人投資家」の相場の体感温度は非常に低いため、「アクティブな個人投資家」好みの小型株に関しては、当面、調整が続く可能性が高そうです。このため、内外の機関投資家が手掛けるような「大型の好業績株」や「高配当利回り株」を選好することをおすすめします。
余力のある「好業績のPBR1.0倍割れの大型株」から
自社株買いなどの株価対策が相次ぐ可能性は高い!
ところで、岡三証券グループ(8609)が3月24日、「新たな株主還元方針に関するお知らせ」を発表しました。成長と還元のバランスや資本効率の向上を図るため、株主還元における指標目標として「総還元性向50%以上」を設定し、同日公表の新中期経営計画の対象期間において、PBR1.0倍を超えるまで年間10億円以上の自己株式取得を継続的に実施するとのことです。これを受け、27日の岡三証券グループの株価は前週末比80円高の481円と、ストップ高水準で取引を終えました。
今後も、岡三証券グループのようにPBR1.0倍割れ企業からの同様の株価対策が相次ぐ可能性は高いと見ています。よって、株価対策を講じる余力のある「好業績のPBR1.0倍割れの大型株」は魅力的な投資対象と考えています。
金融不安が燻り続けている現状のような投資環境では、リスクの高い「高PERのグロース株」よりも、リスクの低い「低PERのバリュー株」を狙うべきでしょう。また、キャピタルゲインよりもインカムゲインを優先したいところです。
そして、小型株中心の運用を行っている方に対しては、資金管理を通常時よりも厳格にして、証券口座内の現金比率を高めておくこともおすすめします。また、小型株中心に信用取引を行っている方には、通常時よりもレバレッジ比率を低く抑えておくことも推奨します。というのは、「〇〇ショック」が起こる確率は低いと見てはいるものの、「日経平均株価は底堅いのに、小型株は“ジリ安(少しずつジリジリと安くなること)”が続く」という状況は十分起こり得ると見ているからです。
とにかく、欧米の金融不安が燻り続ける状況では、多くの投資家はリスク回避的な投資行動を取り続けるはずですから、当面は「ハイリスク・ハイリターン」は狙わず、「ローリスク・ローリターン」狙いでコツコツと稼いでいきましょう。
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