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「経済財政運営と改革の基本方針」の閣議決定により、
「少子化からの脱却」や「高齢化の加速」などが話題に
政府は6月16日、日本の経済財政運営の指針となる「経済財政運営と改革の基本方針2023」、いわゆる「骨太の方針」を閣議決定しました。
今回の基本方針では、「少子化からの脱却」に向けた取り組みとして、子ども関連予算を大きく増やすことが話題となりました。具体的には、2024年度からの3年間で国・地方の事業費ベースで年3兆円台半ばの予算を確保することに加え、こども家庭庁の予算を2022年度の4.7兆円から2030年代初頭までに倍増させるとのことです。
さらに、児童手当を2024年10月分から拡充。所得制限をなくす、対象年齢を広げて高校生にも給付、第3子以降の手当を増額する「多子加算」の対象を0歳~高校生に広げて金額も月3万円に増額する、などが決まりました。
基本方針では、その他にも労働市場の改革や経済・食料安全保障、所得向上に向けた対策なども示されましたが、それらのなかで注目したいのが「高齢化の加速」に対する対策です。
2050年には介護職員が122万人も不足することから、
「介護現場におけるテクノロジー活用」の重要度がアップ!
第一生命経済研究所の星野卓也氏の試算によると、2050年度に介護保険で「要介護」か「要支援」に認定される人は941万人と、2020年度から4割近く増えると見られています。それに対して、施設や訪問で介護を行う「介護職員」は302万人が必要とされるものの、今の就業構造を前提にすると約6割にあたる180万人しか確保できず、122万人も足りない状況になりそうだとのことです。
介護職員の数が足りないとなると家族による介護が必要となってきます。実際、経済産業省の試算によると、仕事をしながら介護をする「ビジネスケアラー」は、2030年時点で318万人まで増加し、経済的な損失は9兆円超に達するとのことです。
政府は、そうした介護の人手不足問題の解決策として、現場で働く職員の残業の縮減や給与改善などを行うとしています。具体的には、介護ロボットやICT機器の導入、経営の見える化、事務手続きや添付書類の簡素化、行政手続きの原則デジタル化などによる経営改善や生産性の向上が必要で、政府はこれらの取り組みを推進するとしています。
厚生労働省が2月に発表した「介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業(結果概要)」によると、見守り支援機器について、導入している施設・事業所の現在の使用頻度は「ほぼ毎日」が最も多く、91.1%に達しています。また、導入理由や導入後の効果としては、「職員の精神的・肉体的負担軽減」「業務の効率化」「ヒヤリハット(事故寸前のミス)・介護事故の防止」「ケアの質の向上」が上位に挙げられました。
見守り支援機器は費用負担が大きいことなどから、導入している施設の割合は全国で3割程度にとどまっています。しかし、近い将来において明らかに介護職員が足りなくなることから、介護ロボットなど介護現場におけるテクノロジー活用は間違いなく重要になるでしょう。
そこで今回は「介護ロボット」の関連銘柄に注目。関連事業を手掛ける銘柄の中から、株価やチャート形状などのテクニカル面を考慮して選定しました。
【CYBERDYNE(7779)】
ロボットスーツ「HAL 腰タイプ介護・自立支援用」を手掛ける
CYBERDYNE(7779)は、医療・介護・福祉の現場や重作業、はエンターテイメントなどで利用可能なロボットスーツ「HAL」を手掛けています。例えば、「HAL 腰タイプ 介護・自立支援用」の場合、介護者が装着することで介護動作時の腰の負荷や腰痛の発生リスクを低減させる「介護支援用途」と、要介護状態の人が装着することで弱った足腰などをサポートする「自立支援用途」の2つの用途が想定されています。株価は、5月17日につけた安値255円をボトムに強いリバウンドの動きが継続。足元で2022年11月以来の水準を回復しており、2022年8月の高値463円が意識されます。
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【FUJI(6134)】
自治体と協力して高齢者を対象とした見守り実証試験を実施
FUJI(6134)は、電子部品実装ロボットなどで培った技術を活かし、介護分野にも進出。移乗サポートロボット「Hug」は、要介護者のベッドから車椅子、車椅子からトイレへの乗り移りといった移乗動作をサポートします。また、6月から愛知県武豊町と連携し、町内に住む独居高齢者を対象とした生活行動の見守りと、迷い人の可能性検知の効果測定を目的とする実証試験を実施しています。株価は、6月1日につけた直近安値2237円をボトムに上昇の勢いを増しており、2021年9月の高値3200円が意識されます。
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【ナブテスコ(6268)】
モーションコントロール技術を活かした「歩行車用車輪ユニット」を展開
ナブテスコ(6268)は、「モーションコントロール」と呼ばれる動きを精密に操る技術を強みとしており、自動ドアや油圧機器、航空機の飛行姿勢制御システムなどを手掛けています。介護分野では、油圧の電子制御と四節リンク機構を組み合わせた「四軸油圧電子制御膝継手ALLUX」や、モーションコントロール技術を活かした「歩行車用車輪ユニット」を展開しています。株価は、足元のリバウンドで200日移動平均線を突破しており、1月の高値3795円を意識したトレンドが期待されます。
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【THK(6481)】
電動昇降車椅子や電動車椅子入浴装置の部品を手掛ける
THK(6481)は、機械の「直線運動部のころがり化」を実用化した「LMガイド」を開発し、メカトロニクス機器の高精度化・高速化・省力化などを飛躍的に向上させました。介護分野では、電動昇降車椅子でTHKのボールねじやスライドレールといった製品が、電動車椅子入浴装置でボールスプラインなどの製品が使用されています。株価は、3月半ば以降、3000円を挟んだ保ち合いを続けていましたが、足元で3000円辺りが下値支持線として意識されてきました。保ち合いの上放れから、3月につけた高値3295円の突破が期待されます。
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【ソルクシーズ(4284)】
IoTによる見守り支援システム「いまイルモ」を開発
ソルクシーズ(4284)は、金融系のシステム開発に強みを持つ企業で、産業・公共・クラウド系の分野にも注力しています。介護事業としては、IoTによる見守り支援システム「いまイルモ」を手掛けており、2022年4月には、東京海上日動ベターライフサービスが運営する介護付有料老人ホーム「ヒルデモアたまプラーザ・ビレッジ3」に採用されました。株価は、5月半ばにマドを空けての上昇で上値抵抗線となっていた200日移動平均線を突破し、その後は切り上がる25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドを形成しています。トレンドとしては、2021年9月の高値592.5円(分割考慮済)が意識されます。
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【ハイレックスコーポレーション(7279)】
電気を使用しない入浴支援装置を提供
ハイレックスコーポレーション(7279)は、輸送用機械器具の製造を軸に自動車分野で事業を展開しており、特にコントロールケーブルでは世界的なシェアを持っています。この技術を核に、医療、船舶、建設、福祉、住宅といった幅広い分野の事業を手掛けています。介護分野では、入浴支援装置(バスアシスト)を開発。シャワーの水圧を利用し昇降する装置で、電気を使用せずに要介護者の入浴をサポートします。株価は、6月5日に1060円まで売られた後、200日移動平均線を挟んだ攻防を見せています。200日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドへの展開を期待したいところです。
⇒ハイレックスコーポレーション(7279)の最新の株価はこちら!
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以上、今回は「介護ロボット」関連銘柄を発掘しました。
今回は「ロボット」に注目しましたが、「介護」関連銘柄はその他にも数多くあります。その一部を以下に紹介しておくので、これら株価動向を注目してみるのもおすすめです。
■代表的な「介護」関連銘柄 | ||||||
銘柄(コード) | 商品・サービス | |||||
東リ(7971) | 医療施設や福祉施設などの床材やカーペット | |||||
住友理工(5191) | 高機能エアマットレス「体圧ブンさんフレンド」 | |||||
富士ソフト(9748) | 見守り・コミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」 | |||||
幸和製作所(7807) | 歩行車、シルバーカー、歩行補助カート | |||||
コニカミノルタ(4902) | 行動分析センサーで行動を把握する介護現場サポートシステム「HitomeQケアサポート」 |
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