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東名高速の足柄SAで、全国の高速道路で初となる
燃料電池車向けの「水素ステーション」がオープン!
9月15日、東名高速道路の足柄サービスエリアにおいて、全国の高速道路のサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)で初となる水素ステーションがオープンしました。開業したのはカセットコンロなどで知られる岩谷産業(8088)。同社は現在、高速道路以外の53カ所で水素ステーションを営業しており、今後もFCV(燃料電池自動車)の普及促進や利便の性向上を目指し、全国で水素ステーションの整備を進めて行く計画とのことです。
水素ステーションの整備は、政府にとっても重要な課題と認識されています。資源エネルギー庁が7月に公表した「モビリティ分野における水素の普及に向けた中間とりまとめ」にも、「燃料電池自動車は、航続距離が長く、充てん時間が短いといった強みを有していることから、今後は乗用車に加えて、トラックやバスなどの商用車での需要が拡大していくことが期待されている」「その普及に向けては、車両や水素の価格が高いこと、水素ステーションの整備といった課題がある」と書かれています。
また、以前「水素トラック(燃料電池トラック)」関連銘柄を取り上げた際にも書きましたが、6月に改定内容が公開された「水素基本戦略」では、2040年における水素(アンモニアを含む)の供給量を年間1200万トン程度に拡大する数値目標が盛り込まれたほか、大規模なサプライチェーンの構築に向けて今後15年で官民合わせて15兆円程度の投資計画を策定することなどが示されました。
【※関連記事はこちら!】
⇒「水素トラック(燃料電池トラック)」関連銘柄を紹介! 政府主導の「水素基本戦略」による“15兆円”の投資やトヨタとダイムラーの協業などで「水素」の需要増に期待
2024年4月から施行される道路法などの改正により、
全国の高速道路における「水素ステーション」建設の加速に期待!
このように以前から政府によって推進されていた水素ステーション整備ですが、この9月にも新たな動きが出てきました。それは、国土交通省が9月22日に公表した「道路法施行令及び建築基準法施行令の一部を改正する政令案」で、水素ステーションを高速自動車国道や自動車専用道路に設置しやすい環境を整えるため、道路法上の占用物件や建築基準法を緩和し、2024年4月1日から施行することが明らかになりました。
これまではSA・PA内の「道路区域」とされる駐車場内などに水素ステーションを設置することができず、前述した足柄SAの水素ステーションも道路区域でないエリアに設置されました。しかし、今回の規制緩和により2024年4月以降はSA・PAの空きスペースなどに水素ステーションを設置できることになるため、本格的に水素ステーションの整備が加速することが期待できます。
そこで今回は、改めて「水素」関連銘柄に注目。2024年4月1日の施行を意識しつつ、少し長めのスパンで投資すべき銘柄を取り上げました。具体的には「水素」に関連した製品などを手掛ける企業のなかから、株価やチャート形状などのテクニカル面を考慮しつつ、押し目を狙える銘柄を選定しています。
【岩谷産業(8088)】
全国で水素ステーションを展開する「水素」関連の中核銘柄
岩谷産業(8088)は全国で水素ステーションを展開しており、「水素」関連銘柄としては中核的な位置づけになります。前述したように、FCV(水素燃料自動車)は特にトラックやバスといった商用車の長距離輸送での普及が見込まれており、高速道路上などでの水素ステーションの整備需要の拡大が期待されます。株価は、9月19日につけた高値8040円をピークにいったん調整しましたが、足元では10月5日の安値6859円をボトムにリバウンドの動きを見せています。目先的には25日・75日移動平均線が上値抵抗線として意識されやすいことから、両線を突破してからのさらなる上昇を狙うスタンスとなります。
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【テクニスコ(2962)】
室温で動作可能な高感度水素センサーを開発
テクニスコ(2962)は、2023年の9月に岡山大学・学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の紀和利彦教授と共同で、室温で動作可能な高感度水素センサーを開発したことを発表。この技術は、FCVや燃料電池などの安全性の向上に貢献するとのことです。株価は、10月10日に872円まで買われた後は調整が続いていますが、下値支持線として意識される25日移動平均線まで下げてきたことから、押し目買いのチャンスと言えるでしょう。
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【日本精線(5659)】
パラジウム合金圧延箔を使った水素分離膜モジュールを手掛ける
日本精線(5659)は、高純度水素ガスの製造・精製分野に適用可能なパラジウム合金圧延箔を使った水素分離膜モジュールを手掛けています。独自の金属フィルター加工技術との融合により作製されるもので、水素ステーションの水素製造装置や家庭用燃料電池の水素精製プロセス、半導体産業で使用される超高純度水素ガス精製分野などでの需要が期待されます。株価は、9月25日につけた高値5040円をピークに調整しており、10月4日には一時4560円まで売られました。しかし、200日移動平均線が下値支持線として意識されるなか、足元のリバウンドで25日・75日移動平均線を上値抵抗線とした攻防を見せており、両線の突破を想定した押し目狙いのスタンスになります。
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【豊田合成(7282)】
商用車向けの大型高圧水素タンクを市場投入
豊田合成(7282)は2023年の3月、水素で走るFCトラック(燃料電池トラック)向けに需要拡大が見込まれる大型の高圧水素タンクを市場投入しました。豊田合成が、トヨタ自動車(7203)のFC「MIRAI(2代目)」向けに生産している乗用車用タンクと比較して、約8倍の水素が充填できるとのことです。株価は、9月20日につけた3567円をピークに調整が続いていますが、足元では13週移動平均線辺りでの底堅さが見られ、押し目狙いの銘柄として要注目です。
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【NOK(7240)】
燃料電池に用いられるセルシール部材などを手掛ける
NOK(7240)は、燃料電池に用いられる水素、酸素、水蒸気および冷却水用のセルシール部材や、水素ガスの圧力を調整する水素制御ソレノイドバルブ、低温環境や高圧部位などの条件で使用できる耐水素用Oリングなどを手掛けています。株価は、9月21日につけた2166円を“戻り高値”に調整が続いていますが、直近で8月4日につけた安値1830円に接近してきており、ここからの「二点底(ダブルボトム)」の形成が期待できます。
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【三菱化工機(6331)】
バイオガスから水素を製造する装置をタイに導入
三菱化工機(6331)は、2023年の6月にトヨタ自動車(7203)、豊田通商(8015)と共同で、バイオガスから水素を製造する装置をタイ国内に初めて導入しました。三菱化工機は水素製造装置を担当しており、現地の鶏糞や廃棄食料由来のバイオガスから水素を製造しています。株価は足元で調整が続いていますが、26週移動平均線が下値支持線として意識されやすく、押し目狙いのスタンスになります。
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以上、今回は「水素」関連銘柄を発掘しました。
前述した「水素基本戦略」には、「水素が世界的に普及し、水素関連市場も拡大の一途である中、我が国の技術・製品を国内外の市場に普及させ、日本企業の産業競争力の強化に繋げることは、産業政策の観点から重要である」と記されています。このように「水素」は日本にとって非常に重要な産業と考えられているため、関連銘柄についてはこれからも動向を見守っていきたいと思います。
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