「お宝銘柄」発掘術!

【2024年最新版】「インバウンド」関連銘柄を解説!外国人観光客の関心は“日本の日常”が感じられる庶民的なお菓子や、保存状態がいい中古ブランド品に移行

2024年2月16日公開(2024年2月16日更新)
村瀬 智一
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コロナ禍が一段落してインバウンド消費がV字回復!
2024年は訪日客数が年間3310万人と過去最高に

 中国では2月10日から8日間に渡る「春節」の大型連休に入りますが、中国政府によると今年は過去最多となる延べ90億人が移動すると予想されています。この期間は、中国だけでなく台湾や韓国、東南アジアなどでも大型連休となり、多くの人が帰省や国内外の旅行を楽しみます。台湾に本社を置くアジア最大級の旅行予約サイト「KKday」によれば、日本は、春節休暇があるアジアの国と地域の旅行者のなかで、最も人気の旅行先とのことです。

 新型コロナウイルスに対する水際措置が2023年4月に撤廃されると、インバウンド消費はV字回復を遂げました。観光庁が1月17日に公表したデータによると、2023年の訪日外国人の旅行消費額は5兆2923億円と過去最高でした。訪日客数で見ても、2023年は2506万人とコロナ禍前の2019年の約8割まで回復しています。JTBでも、2024年は訪日外国人数がさらに回復し、年間3310万人と過去最高になると予測しています。

爆買いなど「モノ消費」から景色やグルメなど「コト消費」へ、
訪日外国人の消費動向がコロナ禍を挟んで大きく変化!

 一方、訪日外国人客の消費傾向は、コロナ禍を挟んで大きく変化しており、これまでの「爆買い」などに見られる「モノ消費」から、その土地ならではの景色やグルメなどの体験を求める「コト消費」に需要が移りつつあると言われています。

 消費動向が変化した大きな理由は「リピーターが増えている」こと。2回以上日本を訪れたことがある訪日外国人の数は全体の6割を占めており、そうしたリピーターにとっては、爆買いよりも日本人の日常の暮らしや文化を体験できるほうが魅力的なのです。

 最近では、そば打ちや和菓子づくり、滝行や座禅など、日本に来なければ味わえない「非日常」の体験が人気となっており、この非日常を求めて日本を訪れる外国人が多くなっているようです。訪日外国人の関心に関するアンケートでも「大衆料理を楽しむ」がトップで、次いで「四季の体感」「温泉入浴」「自然・景勝地の観光」が続いています。実際、牛丼店や回転寿司店、ラーメン店、街中のコンビニなど、日本の庶民的な店がなにより魅力的だと感じる訪日外国人が増えています。つまり、求めているのは、金さえ払えば手に入るものではなく日本でしか体験できない「コト」であり、大衆向けの飲食店や安価で受けられるサービスは、その体験スポットとなっているのです。

 また、かつてのような爆買いがなくなった今、多くの外国人観光客が訪れているのが「中古ブランド品」の販売店です。高級ブランドの人気商品は世界的に品薄で中古品の需要が高まっていることに加え、最近の円安、さらには「使用後は保存袋に入れる」という日本人の習慣が「日本の中古ブランド品は保存状態がよい」という高い評価につながり、日本の中古ブランド品が人気となっています。

 そうした状況を踏まえ、今回は「インバウンド」関連銘柄に着目。なかでも、特に最近注目されている分野に絞って銘柄を選定しました。

【カルビー(2229)】
「じゃがポックル」が「日本で買いたい食品・お菓子」の2位に

 カルビー(2229)はスナック菓子メーカー大手であり、ポテト系スナック菓子では70%超のシェアを有しています。訪日観光情報サイト「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」が行った台湾人を対象とした調査によると、訪日時に購入したい商品としては「お菓子」が最多で、「日本で買いたい食品・お菓子」としてカルビーの「じゃがポックル」が2位にランクインしました。なお、スナック菓子の「じゃがりこ」など68商品を6月以降に値上げする計画です。株価は、2600円水準での底固めを経て、年初以降は上昇基調が強まっています。中長期のトレンドとして、2019年10月の高値3775円が意識されます。

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カルビー(2229)チャート/月足・5年カルビー(2229)チャート/月足・5年(出典:SBI証券公式サイト)
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【明治ホールディングス(2269)】
ナッツ系チョコレート全般がインバウンド需要により好調

 明治ホールディングス(2269)は、「アーモンドチョコレート」などのナッツ系チョコレート全般でインバウンド需要が好調です。2023年12月には、日本ならではの和素材を使用することでインバウンド需要を狙った新商品「アーモンドチョコレート抹茶」を発売。また、「きのこの山」などのロングセラー商品についても、インバウンド需要を取り込んでいるようです。株価は、2023年8月と11月に荒い値動きを見せましたが、足元で52週移動平均線を下値支持線とした底堅さが見られることから、押し目狙いのスタンスとなります。

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明治ホールディングス(2269)チャート/週足・1年明治ホールディングス(2269)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【江崎グリコ(2206)】
「ポッキー」が訪日外国人の間でお土産として人気に

 江崎グリコ(2206)は、外国人に人気の高いチョコレート菓子「ポッキー」を販売。「ポッキー」は米国など30以上の国と地域で販売しており、世界の累計販売箱数は100億箱を超えています。日本には、地域限定商品など海外にないフレーバーもあり、お土産への需要が高いようです。株価は、長らく2015年8月の高値7300円をピークとした下落トレンドが続いていましたが、2023年3月の安値3270円でボトムを形成し、足元では決算評価から上昇基調を強めています。目先的には2020年6月の戻り高値5330円が意識されそうです。

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江崎グリコ(2206)チャート/月足・10年江崎グリコ(2206)チャート/月足・10年(出典:SBI証券公式サイト)
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【三菱鉛筆(7976)】
日本の文房具をお土産として購入する訪日外国人が増加!

 三菱鉛筆(7976)は、鉛筆やシャープペンシル、ボールペン、サインペンなどの筆記具を主力とするメーカー。「なめらかな書き味」という新しいカテゴリーの油性ボールペン「ジェットストリーム」がロングセラーとなっています。日本の文房具は、高品質なうえデザイン性や機能性にも長けており、訪日外国人のお土産としても人気です。株価は、強い上昇トレンドが継続。上向きで推移する13週・26週移動平均線が下値支持線として意識されており、押し目を狙いたいところです。

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三菱鉛筆(7976)チャート/週足・1年三菱鉛筆(7976)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【コメ兵ホールディングス(2780)】
1月の月次売上高が前年同月比26.4%増と好調!

 コメ兵ホールディングス(2780)は、中古品の買い取り・販売などの「ブランド・ファッション事業」と、乗用車用タイヤなどの「タイヤ・ホイール事業」を展開。日本の中古ブランド品は品質が良く、さらに円安で割安感が高まっていることから、需要が良好。2024年1月の月次売上高は、インバウンドを中心にバッグなど高額品の需要が堅調だったことで、前年同月比56.4%増と大幅な伸びとなりました。株価は、2023年8月の高値6390円をピークに調整が続き、2023年末には3705円まで売られました。しかし、その後は52週移動平均線を下値支持線にリバウンドが続いており、2月6日には5130円まで買われました。2月13日発表の2024年3月期・第3四半期決算を受け、足元で利益確定の流れが強まっているので、押し目を狙いたいところでしょう。

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コメ兵ホールディングス(2780)チャート/週足・1年コメ兵ホールディングス(2780)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【トレジャー・ファクトリー(3093)】
インバウンド需要が旺盛でブランド品の販売が好調

 トレジャー・ファクトリー(3093)は、総合リユースショップ「トレジャーファクトリー」や服飾専門リユースショップ「トレファクスタイル」、ブランド専門リュースショップ「ブランドコレクト」など複数の業態で店舗展開しています。2024年1月の全店売上は前年同月比18.5%増、既存店では同8.3%増となりました。インバウンド需要が旺盛でブランド品の販売が好調だったほか、小物の販売が好調だったことなどから、全店、既存店ともに前年実績を超えています。株価は、2023年4月の高値1910円をピークに下落が続き、10月24日には一時1042円まで下げましたが、その後は上昇トレンドに転換。13週・26週移動平均線を突破して52週線を捉えてきたことから、さらなる上昇に期待したいところです。

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トレジャー・ファクトリー(3093)チャート/週足・1年トレジャー・ファクトリー(3093)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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 以上、今回は最新の「インバウンド」関連銘柄を発掘しました。

 2019年のインバウント消費は約4.6兆円と試算されています。日本政府は「通商白書2023」のなかで、インバウンド消費を自動車に次ぐ輸出産業として日本経済を牽引する存在と位置づけ、「少子高齢化が見込まれるなか、急速に成長するアジアを始めとする世界の観光需要を取り込むことにより、地域経済の活性化、雇用機会の増大などにつなげていく」としています。

 また、政府は2030年までの長期目標として「訪日外国人観光客数6000万人」「訪日外国人旅行消費額15兆円」を設定。それを実現すべく、フリーWi-Fiの整備やキャッシュレス決済の普及、多言語対応の強化など、外国人観光客を受け入れるための環境整備を推進していくことを掲げています。

 インバウンドの主人公であった中国は、経済現状が厳しくなり以前のように気軽に訪日できる環境ではなくなったとはいえ、中国人による需要は潜在しています。今後、中国からの訪日の増加が予想されることもあり、訪日外国人の旅行消費額、客数ともさらに伸びる余地があることから、将来的にインバウンド消費はさらに拡大することが期待されます。そこを踏まえ、改めて「インバウンド」関連銘柄を再チェックしておくことをおすすめします。
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大型株/新興株/Jリート

【別冊付録】
増益割安株は1178銘柄
上場全3916社の最新理論株価

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●Big8を定点観測!GAFAM+αを分析!
●買いのオススメ株
トランプ株/高配当株
●人気の124銘柄を徹底診断
ナスダック/ニューヨーク証券取引所

◎第4特集
ザイクラブ拡大版!2024年はどうだった?
ザイ読者の悲喜こもごも&2025年の投資戦略
ザイ編集部員のプチ反省&自慢大会も!


◎連載も充実!

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◆10倍株を探せ!IPO株研究所2024年10月編
◆おカネの本音!VOL.29兒玉遥さん
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