「お宝銘柄」発掘術!

“セキュリティクリアランス(SC)制度”の関連銘柄を紹介! 国際的な情報連携に欠かせない情報セキュリティサービスやDX推進に関わる「大手IT企業」に注目!

2024年3月15日公開(2024年3月14日更新)
村瀬 智一
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最先端技術などの「重要経済安保情報」の取り扱い者を規制する
「セキュリティクリアランス制度」に関する法案が閣議決定!

 2024年2月27日に「セキュリティクリアランス(SC)制度」を創設する法案が閣議決定され、今通常国会に提出される予定となっています。

 セキュリティクリアランス制度とは、人工知能(AI)や量子技術、サイバー攻撃に関する情報など、漏えいすると日本の安全保障に支障を与える恐れのある情報を「重要経済安保情報」に指定し、国が信頼性を確認した人や組織に限って取り扱いを認める、という制度です。

 日本の情報保全制度としては2014年に施行された「特定秘密保護法」があり、防衛や外交、スパイ活動などの分野で特に秘匿が必要な情報を「特定秘密」に指定して、その扱いを規制しています。しかし近年は「特定秘密」に含まれない人工知能や量子技術といった最先端テクノロジーなども軍事転用が可能であり、流出すれば安全保障上の脅威となる恐れが高まっています。

 そこで、経済安全保障を強化する一環として、「特定秘密」ほど機密性は高くないものの日本の安全保障に支障を与える恐れのある情報を「重要経済安保情報」に指定し、国が信頼性を確認した人にだけアクセスを限定するセキュリティクリアランス制度の制定が求められています。

「セキュリティクリアランス制度」に関わるテーマとして
情報セキュリティに関わる「ITサービス」の関連銘柄に注目!

 米国と英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国は、国を超えた機密情報共有の枠組みである「ファイブ・アイズ」に参加しており、国家の安全のためにインターネットや他国の軍事活動を監視し、その情報を共有しています。日本がこのような枠組みに参画するには、他の参加国と同水準のセキュリティクリアランス制度が制定されていることが求められます。実際にファイブ・アイズに加盟している5カ国を始め、ドイツや韓国などの諸外国はすでにセキュリティクリアランス制度を導入しており、主要国のなかで未導入していないのは日本だけとなっています。

 また、政府の枠組みだけでなく、国を超えた民間同士での情報のやり取りや共同研究開発でも、セキュリティクリアランス制度が求められます。政府からセキュリティクリアランス制度の認証を受けることで、企業は最先端テクノロジーに関する技術開発が進めやすくなるほか、海外企業との共同受注といったビジネスチャンスの拡大を期待することができます

 ただ、企業がセキュリティクリアランス制度の認証を受けるには、セキュリティ管理者の任命や入退室管理システム、監視カメラ、ネットワーク隔離といった、機密情報を扱うためのシステム整備が求められることになります。

 そこで今回はセキュリティクリアランス制度の創設に関連するテーマとして、情報セキュリティに関わるサービスを展開する「ITサービス」関連の銘柄に注目しました。具体的な銘柄の選定は、売上規模の大きい大手企業を中心としました。

【富士通(6702)】
企業活動全体の視点から継続的なセキュリティ対策を支援

 富士通(6702)は、企業活動全体の視点から継続的なセキュリティ対策を支援。セキュリティ統制や情報漏えい対策、不正アクセス対策、サイバー攻撃対策、クラウドセキュリティなど、企業に必要なセキュリティ対策を体系化し、提供しています。株価は、上向きで推移する13週移動平均線に沿った上昇トレンドを形成。3月7日に2万5110円まで買われた後、調整を見せていることから、押し目の狙いのスタンスで。

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富士通(6702)チャート/週足・1年富士通(6702)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【NTTデータグループ(9613)】
マネージドセキュリティサービスの売上高が世界第2位に

 NTTデータグループ(9613)は、グループ企業の全社員を対象とする世界最大規模のセキュリティ環境の導入によって得られたノウハウを活用し、企業に対してコンサルティングから構築、運用まで、全領域に対応したセキュリティサービスを提供。IT分野を中心とした調査を行う米国の調査会社ガートナーが発表した「セキュリティー・アウトソーシング市場レポート2022」において、マネージドセキュリティサービスの売上高で世界シェア第2位と評価されました。株価は、3月5日に2514円まで買われた後は調整していますが、13週移動平均線が下値支持線として意識されており、押し目を狙いたいところです。

⇒NTTデータグループ(9613)の最新の株価はこちら!

NTTデータグループ(9613)チャート/日足・週足・1年NTTデータグループ(9613)チャート/日足・週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【日立製作所(6501)】
クラウドサービスが政府のセキュリティ評価制度に登録

 日立製作所(6501)は、2023年10月にITプロダクツ事業部門と米国の子会社のHitachi Vantaraを再編し、海外ITサービス事業の売り上げを1兆円まで伸ばす目標を公表。また、日立製作所が提供するクラウドサービス「エンタープライズクラウドサービス G2」は、2021年6月、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)において、政府が求めるセキュリティ要求を満たすサービスとして登録されました。株価は、3月5日に1万3330円まで買われた後は調整の動きを見せており、13週移動平均線辺りが買いのタイミングになりそうです。

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日立製作所(6501)チャート/週足・1年日立製作所(6501)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【NEC(6701)】
サイバーセキュリティ事業の新会社を発足

 NEC(6701)は、2023年4月にサイバーセキュリティ事業の新会社「NECセキュリティ」を発足しました。セキュリティ運用・監視データの活用により、全体最適でのセキュリティ・リスク・マネジメントを支援し、セキュリティ業務のDXを実現。高い専門性を有するセキュリティスペシャリストが、安全なDX推進を支援します。株価は、3月7日に1万590円まで買われた後に下落しましたが、下値支持線として意識される13週移動平均線に接近しており、押し目買いのチャンスと言えるでしょう。

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NEC(6701)チャート/週足・1年NEC(6701)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【BIPROGY(8056)】
「エンドポイントプロテクション」などを提供

 BIPROGY(8056)は、ソフトウェアの請負開発やコンサルティング、クラウドを通じたサービスなどを提供しています。セキュリティ分野としては、セキュリティスペシャリストによる運用監視やインシデント対応支援によりエンドポイント(パソコンやスマホなど、システムの末端に接続された端末)を守る「エンドポイントプロテクション」などを提供しています。株価は、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドを形成。2月26日の高値4726円をピークに足元で調整しているため、13週移動平均線辺りで押し目を狙いたいところです。

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BIPROGY(8056)チャート/週足・1年BIPROGY(8056)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【SCSK(9719)】
脆弱性診断から、セキュアなサイトの構築・運用

 SCSK(9719)は、各業界向けの基幹系システムや情報系システム、金融業界向けのシステム開発などを提供。グループ会社のSCSKセキュリティが、コンサルティングや脆弱性の診断・評価、トレーニングなどのセキュリティサービスを手掛けています。株価は1月23日につけた高値3005円をピークに調整の動きを見せていましたが、26週移動平均線が下値支持線として機能していることから、押し目狙いのスタンスとなります。

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SCSK(9719)チャート/週足・1年SCSK(9719)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 以上、今回はセキュリティクリアランス制度の創設に関連するテーマとして、「ITサービス」関連を発掘しました。

 このまま日本が「ファイブ・アイズ」などの動きに取り残されれば、機密性の高い情報に関わる国際共同研究や海外政府からの受注などで日本企業が不利になりかねません。逆に、主要国から信頼に足ると認められるセキュリティクリアランス制度を創設することができれば、国際的に一歩踏み込んだ情報連携が可能になり、技術の進歩にもつながることが期待されます。

 国際的な情報の共有化は、今後の成長機会を広げるうえで意義は大きいため、セキュリティクリアランス制度については、今後ますます注目されてくることが予想できます。また、セキュリティクリアランス制度の普及は、セキュリティサービスや安全性の高いDX推進を提供する企業にとって業績を拡大させる大きなチャンスと言えるので、有力な投資先としてチェックしておくといいでしょう。
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