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栃木県宇都宮市を走るLRT「宇都宮ライトレール」の
開業1年目の累計利用者数が目標の1.2倍の473万人に!
栃木県の宇都宮市と芳賀町の間を最短42分で結ぶ、全長14・6キロの次世代型路面電車「宇都宮ライトレール(愛称:ライトライン)」が、2024年8月26日に開業から1周年を迎えました。8月24日までの累計利用者数は約473万人と、開業前の予測を2割上回る好調ぶりで、2024年3月期の決算では売上が当初計画の1.46倍、純利益が計画の約3倍になりました。
「宇都宮ライトレール」は「LRT」と呼ばれる交通システムに分類されます。LRTはLight Rail Transitの略で、LRV(低床式車両)を活用した次世代型の路面電車システムです。車両の床が低く、道路と停留所の段差も小さいため、車椅子やベビーカーでも乗り降りしやすい「バリアフリー」設計を実現しやすいのに加え、通常の電車に比べると振動や騒音が抑えられるのがメリット。また、バスと違って専用の軌道(線路)上を走るため、交通渋滞の影響がなく、正確な時間で運行できます。
少子高齢化や中心市街地の空洞化が進む宇都宮市は、LRTを街づくりの軸にすることで、都市の再生を実現しようとしています。クルマ社会になりやすい地方都市において、マイカーを利用できない交通弱者が困らないようにLRTなどの公共交通を整備し、子どもから高齢者まで便利に暮らし続けることができる「ネットワーク型コンパクトシティ(NCC)」を目指しているとのことです。
宇都宮ライトレール沿線は人口が増加し、地価も上昇!
経済効果はLRTの整備費用などを含めて約900億に
宇都宮市では、宇都宮ライトレールが整備されたことで、通勤・通学や商業施設へのアクセスなどの利便性が向上。宇都宮市全体では人口が減少しているものの、宇都宮ライトレール沿線では、2019年に比べて1.7%人口が増えています。また、宇都宮市だけではなく芳賀町でも人口が増加しており、その多くが子育て世帯とのことです。
国土交通省が2024年3月発表した栃木県内の公示地価(2024年1月1日時点)を見ても、宇都宮ライトレール沿線では前年比で商業地が約6%上昇、住宅地が約11%上昇しており、住宅地の上昇率は上位3位を宇都宮ライトレール沿線が占める結果となりました。
宇都宮ライトレールは、沿線の地価上昇や地域経済への貢献など、めざましい成果を挙げており、宇都宮市によるとその経済効果は、LRT整備費用などを含めて約900億円と試算されています。
宇都宮市は今後、宇都宮ライトレールをさらに西側に延伸する計画を立てており、2026年の着工と2030年代前半の開業を目指しています。これが実現すると、JR宇都宮駅と東武宇都宮駅がLRTで結ばれることになり、さらなる利便性の向上が期待できいます。
そこで今回は次世代型路面電車「LRT」の関連銘柄に注目。宇都宮ライトレールにおいてLRV(低床式車両)や停留所、各種設備・システムなどの開発・製造を手掛けている企業に中心に選定しました。
【IHI(7013)】
グループ会社の新潟トランシスが宇都宮ライトレールの車両を製造
IHI(7013)は、グループ会社である新潟トランシス(NTS)が、宇都宮ライトレールに車両を納入しています。NTSは、LRV製造のトップメーカーで、これまでに富山市や熊本市、岡山市など、数多くの自治体にLRVを納入した実績があります。株価は、順調なリバウンドが続いており、直近で7月半ば以来の年初来高値を更新。6000円辺りでの値固めを経て、2014年12月につけた高値6370円(分割考慮済)が意識されそうです。
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【阪急阪神ホールディングス(9042)】
日本初となる純国産の超低床LRV「リトルダンサー」を製造
阪急阪神ホールディングス(9042)は、グループの鉄道車両メーカー・アルナ車両がLRVの製造を展開。2001年には、はじめての純国産LRVとなる超低床LRV「リトルダンサー」シリーズを開発しました。株価は、順調なリバウンドが続くなか、足元で上値抵抗線として意識されていた200日移動平均線を突破し、52週移動平均線を捉えてきました。1月の年初来高値4758円が目先のターゲットですが、そこを超えてくるようだと高値更新からの一段高が期待できます。
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【ナブテスコ(6268)】
あらゆるタイプに適した鉄道車両用のドア開閉装置を手掛ける
ナブテスコ(6268)は鉄道のほか、航空、自動車、産業用ロボットなどの制御機器を製造。鉄道分野では、小型軽量化や保守の簡易化を実現したユニットブレーキのほか、新幹線からLRVまであらゆる車両に適応する自動ドア開閉装置などを手掛けています。株価は、8月初旬の急落後のリバウンドが続くなか、25日移動平均線が上値抵抗線として意識されます。いったんは押し目買いを狙いながら、25日移動平均線の突破にも期待したいところです。
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【明電舎(6508)】
宇都宮ライトレールに車両走行用の電力を供給する変電機器を納入
明電舎(6508)は、宇都宮ライトレールに車両走行用の電力を供給する変電機器を納入。明電舎が強みを持つ省メンテナンスの真空遮断器や、冷媒に純水を使用した環境配慮型のヒートパイプシリコン整流器、さらには全変電所を遠隔制御する電力管理システムなどが採用されました。株価は、8月初旬の急落後に見せたリバウンドで26週移動平均線を上回る場面もありましたが、そのまま上昇を保つことができずに下落。下向きで推移する13週移動平均線が上値抵抗線として意識されるなか、25日移動平均線辺りでの底堅さを見極めつつ、押し目狙いのスタンスで。
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【セーレン(3569)】
2023年に運行を開始した福井鉄道の新型車両の内装を担当
総合繊維メーカーのセーレン(3569)は、2023年から運行を開始した福井鉄道の新型車両の内装を担当。独自のデジタルプロダクションシステム「ビスコテックス」を活用し、小ロット、短納期、在庫レス、カスタマイズなどを実現します。株価は、8月初旬の急落後のリバウンドが続いており、5月以降、上値を抑えられていた13週移動平均線を突破してきました。26週・52週移動平均線の突破を意識したリバウンド狙いがおすすめです。
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【東洋電機製造(6505)】
コンバータ装置やパンタグラフなどの鉄道車両用電機品を製造
東洋電機製造(6505)は鉄道車両用の電機品を開発・製造しており、コンバータ装置やインバータ装置、高速度遮断器、主電動機、パンタグラフ、主幹制御器、モニター装置など、幅広い製品を手掛けています。株価は、足元のリバウンドで13週・26週移動平均線を上回ってきました。両線を下値支持線としたリバウンド狙いになりますが、流動性が低いことから押し目を狙いたいところでしょう。
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以上、今回は宇都宮ライトレールが開業1周年を迎えたことで注目を集める次世代型路面電車システム「LRT」の関連銘柄を発掘しました。
宇都宮ライトレールの成功を受け、沖縄や和歌山市でもLRT整備構想が持ち上がるなど、LRTは街の活性化の手段として注目されています。人口減少に悩む自治体が多いなか、将来の選択肢を広げるLRTは「人口減少の中でも地方都市が生き残っていける街づくり」を実現する大きな武器となる可能性が十分にあることから、投資テーマとしても要注目です。
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