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高齢者の数がほぼピークを迎える2040年を見据え、
医療・福祉分野における人材確保や業務の効率化が大きな課題に
厚生労働省は12月6日、高齢者の数がほぼピークを迎える2040年に向けて地域医療の将来像を示す新たな「地域医療構想」の案を公表しました。それによると、85歳以上の人口は2040年に1006万人と、2020年の616万人から63%増加して、ほぼピークを迎えると推計されています。そして85歳以上の人口増加に伴い、今後、医療や介護を必要とする人の数が一段と増えるとのことです。
そこで大きな問題となってくるのが、医療従事者の確保です。厚生労働省が8月26日に公表した「新たな地域医療構想を通じて目指すべき医療について」によると、医療・福祉分野の就業者数の需要は、2018年の826万人から2040年には1070万人に増加すると推計されており、医療・福祉分野における人材の確保や業務の効率化が大きな課題となっています。
この課題を解決する手段として期待されるのが、情報通信技術(ICT)の導入です。ICTを活用して報告書を自動作成するなどの業務を効率化することができれば、医療従事者の負担が軽減し、医療・介護現場における人手不足の解消に貢献することが期待できます。また、医師や看護師、介護福祉士、薬剤師といった医療従事者間のコミュニケーションをICTで円滑化し、それぞれの専門スキルを連携することで、患者が受ける治療や介護のクオリティの維持・向上も見込めます。
外来患者数がピークを迎えて減少に転ずる一方で
「在宅医療」を受ける在宅患者数は増加傾向が継続
もうひとつ、日本人の高齢化に伴って需要の増加が見込まれるのが、自宅で医師の診療を受ける「在宅医療」です。
前述した「新たな地域医療構想を通じて目指すべき医療について」によると、足腰が弱るなどの理由で病院に通えない高齢者が増加しています。病院で診察を受ける「外来患者数」はすでに多くの地域で減少に転じており、全国的に見ても2025年にピークを迎えてその後は減少していくと予測されています。それに対して、自宅で診察を受ける「在宅患者数」は増加が止まらず、2040年には85歳以上の在宅患者数が1日あたり7万8400人と、2020年より62%増加すると推計されています。
こうした状況を踏まえ、前述した「地域医療構想」では、今後、需要が高まる「在宅医療」への対応の強化など、通院や入院に限らない医療体制の整備が盛り込まれています。
具体的には、地域の実情に応じ、医療機関などの連携によって24時間の提供体制を構築するとともに、オンライン診療の積極的な活用など効率的な医療体制を強化することが求められるとしています。
そこで今回は「在宅医療」に関連する企業に注目しました。銘柄としては、在宅医療サービスを手掛けている企業や在宅医療機器などを展開している企業のなかから、中小型株を中心に選定しました。
なお、今回選定した銘柄は総じて弱いトレンドが続いていますが、足元で底値を打ってからのリバウンドを見せつつあるので、基本的に押し目狙いのスタンスとなります。
【JSH(150A)】
在宅医療事業として精神科の訪問診療の導入支援を手掛ける
JSH(150A)は、在宅医療事業と地方創生事業の2つを展開しています。在宅医療事業では、精神科の医師・医療機関に対して訪問診療の導入支援を実施。さらに、訪問診療を実施している医療機関と連携し、看護師や作業療法士による精神科訪問看護を提供しています。株価は9月半ば辺りから下落の勢いが強まり、11月27日には一時435円まで売られて上場来安値を更新。その後はボトム圏での推移が続いていますが、底堅さが意識されてきており、リバウンド狙いのスタンスになります。
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【ファインデックス(3649)】
訪問看護計画の立案・評価を行うクラウド型システムを開発
ファインデックス(3649)は、医療用ソフトウエアや医療機器、行政組織のDXを推進するソリューションなどを開発・提供しています。日本訪問看護財団や愛媛県訪問看護協議会と共同で、クラウド型の「在宅アセスメントシステム」を開発。訪問看護計画の立案・評価による業務の効率化と質の向上を支援します。株価は下落トレンドが続くなか、12月2日には一時770円まで売られて年初来安値を更新。しかし、その後のリバウンドで25日移動平均線を突破して75日移動平均線に接近しており、さらなる上昇を試す展開が期待されます。
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【シーユーシー(9158)】
全国で運営する指定訪問看護ステーションを24時間365日体制へ移行
シーユーシー(9158)は、医療機関向けの経営支援事業やホスピス事業、居宅訪問看護事業を展開。居宅訪問看護事業では、全国で指定訪問看護ステーションを運営しており、24時間365日体制への移行を順次進めています。また、訪問看護ステーションに併設する8カ所の居宅介護支援事務所では、医療職スタッフと連携し、医療ニーズの高い患者であっても自宅で過ごしやすいケアプランを作成します。株価は、10月30日につけた2061円を戻り高値に調整が続いていましたが、足元では75日移動平均線を下値支持線とした底堅さが見られており、ここからのリバウンドを期待したいところです。
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【アインホールディングス(9627)】
「かかりつけ薬剤師・薬局」として訪問医療に取り組む
アインホールディングス(9627)は、全国に1200店舗以上の薬局を展開する調剤薬局大手で、在宅医療にも参画しています。薬剤師が医師と同行、あるいは単独で患者の自宅や高齢者施設を訪問し、薬物治療をサポート。地域医療への貢献を目指す「かかりつけ薬剤師・薬局」として訪問医療に取り組んでいます。株価は、12月6日に発表された2025年4月期・上期の業績が計画を下回ったことが嫌気され、マドを空けて急落しましたが、これにより3月の急伸前の水準まで下げてきたことから、調整一巡感からの上昇が意識されます。
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【メイテックグループホールディングス(9744)】
画像診断装置用の電子部品や在宅医療用の機器を開発
メイテックグループホールディングス(9744)は、製造業の設計・開発工程を中心としたエンジニアの派遣を中核として、さまざまな業界で事業を展開。医療・医療機器では、血液分析装置の基本設計のほか、X線や超音波など各種画像診断装置の設計を行っています。また、治療機器を中心とした在宅医療用機器の開発も手掛けています。株価は、下落トレンドが続いていましたが、11月26日につけた安値2807.5円をボトムに足元では緩やかなリバウンドを見せており、直近で25日移動平均線を突破。さらなるリバウンドを狙いたいところです。
⇒メイテックグループホールディングス(9744)の最新の株価はこちら!
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【エア・ウォーター(4088)】
携帯用酸素吸入や在宅中心静脈栄養法の関連機器を手掛ける
エア・ウォーター(4088)は、酸素や窒素、アルゴン、炭酸ガス、水素、ヘリウムなど、さまざまな産業ガスを手掛けています。ヘルス&セーフティー事業では医療用ガスや病院設備、呼吸器関連を中心とした医療機器などを展開。在宅医療の分野としては、携帯用酸素吸入関連商品や、さまざまな栄養素を含む輸液剤を点滴する在宅中心静脈栄養法の関連製品などを手掛けています。株価は下落が続いていましたが、足元で上値を抑えていた25日移動平均線を捉えてきており、上昇トレンドへの転換を期待した押し目狙いのスタンスでのぞみましょう。
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以上、今回は将来的な需要増加が見込まれる「在宅医療」の関連銘柄を発掘しました。
厚生労働省は11月29日に公表した2024年度の補正予算案で、医療・介護分野でのデジタル化の推進に1447億円の予算を計上。ICT機器の導入による業務の効率化を支援し、医療・介護分野での生産性の向上を目指しているとのことです。
少子高齢化の波から逃げることができない日本において、医療・介護関連は今後ますます重要度が増してくる分野であることは間違いありませんので、個人投資家としても幅広くアンテナを張っておく必要があるでしょう。
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