<6845> アズビル 1589.5 +45.5
アズビル<6845>は、1906年創業の総合オートメーションメーカーだ。大型建物向けの空調自動制御システムや、工場・プラント向けの計測・制御機器・システム、ガス・水道メーターなどを手掛けている。主力事業はビルディングオートメーション(BA)とアドバンスオートメーション(AA)であり、「計測」と「制御」の技術を核に、機器販売だけでなく設計・施工・保守・改修まで一貫して提供するビジネスモデルを構築している。同社は単なる機器メーカーではなく、設計・施工・保守まで含めたソリューション提供力に強みを持つ。特にBA事業は長年の顧客基盤を活用したストック型ビジネスであり、継続的な収益を生み出す点が大きな特徴となっている。
2026年3月期の売上高は2,989億円(前期比0.5%減)、営業利益は473億円(同14.0%増)となった。売上高はライフオートメーション(LA)の一分野の事業を譲渡した影響でわずかに減収となったものの、受注段階からの採算改善や価格転嫁、原価低減施策が寄与し、本業の収益力は引き続き向上、営業利益は過去最高を更新した。研究開発費やDX投資、人件費の増加を吸収しながら2ケタ増益を達成した点は評価できる。
事業別では、主力のBA事業が好調だった。売上高は1,563億円(前期比5.1%増)、セグメント利益は289億円(同18.6%増)となった。国内では都市再開発による大型オフィスビル建設が続いているほか、省エネや脱炭素対応を目的とした改修需要も拡大している。さらに、データセンター向け需要も成長ドライバーとなっている。同社のBA事業は新築だけでなく、保守・メンテナンスや改修が売上の大半を占めるストック型ビジネスであることが特徴だ。新築需要だけでなく、建物のライフサイクルに応じてその後数十年にわたり継続する保守・改修需要を取り込めるため、景気変動の影響を受けにくい収益構造となっている。
AA事業も堅調に推移した。売上高は1,107億円(前期比3.6%増)、セグメント利益は178億円(同11.3%増)となった。化学やエネルギー分野を中心としたプロセスオートメーション(PA)は引き続き堅調であり、半導体製造装置向けなどのファクトリーオートメーション(FA)市場も下期から回復傾向が見られた。半導体関連需要は売上構成比としては限定的だが、今後の設備投資回復による恩恵が期待される。また、人手不足への対応や設備老朽化対策、脱炭素投資などは中長期的な追い風となる。
2027年3月期は国際財務報告基準(IFRS)適用後の予想として、売上収益3,150億円、事業利益482億円を計画している。会社側は引き続きBA事業が業績をけん引するとみている。国内外ともに受注環境は良好であり、豊富な受注残を背景に既設建物向けやサービス分野、海外案件の拡大が見込まれている。AA事業についても半導体製造装置向け需要の回復を織り込んでいるが、半導体分野での新製品増産に向けた投資の他、前期に高収益案件があった反動もあり、本年度については利益面で横ばいを想定している。
市場環境も同社にとって追い風だ。首都圏を中心とした再開発案件は2030年前後まで継続する見通しであり、さらに1990年代、2000年代初頭の建設ラッシュ時に建設された大型ビルが改修期を迎えている。空調制御システムの更新や省エネ化需要は今後も拡大が見込まれる。また、生成AIの普及に伴うデータセンター建設需要の拡大も追い風となる。工場・プラント分野では、脱炭素化やDX推進、人手不足対応を背景にクラウド・AIを活用したメンテナンスサービスや自動化から更に発展した自律化に向けた需要が拡大している。
中期経営計画では2027年度に売上高3,400億円、営業利益率15%、ROE14%を目標に掲げているが、利益面では既に目標を達成しており、会社側では中東情勢等、現状の不透明な情勢が見通せる段階で見直しを検討するとしている。成長戦略の柱は、GX関連ソリューション、データセンター向け事業、半導体関連需要、スマートメーター事業の拡大である。人的資本強化やDX投資、商品力強化を進めながら、国内だけでなく中国・東南アジア・北米など海外市場の拡大にも取り組む方針だ。
株主還元にも積極的だ。2027年3月期の年間配当は50円を予定しており、12期連続増配となる見通しだ。足元株価ベースの予想配当利回りは3%を超える水準にあり、安定配当銘柄としての魅力も高い。成長投資と株主還元の両立を進めている点は評価できる。
総じて同社は、都市再開発や省エネ需要、データセンター投資を追い風にBA事業が安定成長を続ける企業だ。AA事業も半導体や自動化需要の回復による成長余地を持つ。ストック型収益の厚さと高い収益性改善力を背景に、中長期で着実な利益成長が期待できる銘柄と言えるだろう。
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