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「iDeCo」「NISA」「つみたてNISA」の中で、最も優先すべきなのは節税メリットが高い「iDeCo」だ!60歳までに必要ない資金は必ずiDeCoで運用しよう!

2017年10月31日公開(2023年10月25日更新)
山崎 俊輔
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「iDeCo」と「NISA」はどちらを優先すべきか

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 節税メリットを受けながら資産を運用したい人にとって、「iDeCo」や「NISA」はおすすめの制度です。この2つの制度は併用できますが、運用資金が限られるなかでは、「どちらを優先したほうが得をするのか知りたい」と考える人も多いのではないでしょうか。

 ただし、「iDeCo」と「NISA」のどちらを優先するかは悩ましい問題です。どちらにもユニークな特徴があり、どちらにも若干の使いにくさがあるからです。

 さらにややこしいのは、2018年1月からスタートする「つみたてNISA」がその選択肢に加わることです。まず、現行の「NISA」と「つみたてNISA」は選択式なので、どちらを活用するかを選ばなければいけません。また、「iDeCo」と「つみたてNISA」は併用できますが、似た性格を持った制度なので、運用資金にあまり余裕がなく、どちらかを優先する場合は迷ってしまう人が多いはずです。

 そこで今回は、「iDeCo」「NISA」「つみたてNISA」のどれを優先するのが最も有利になるか、また併用するならどのような考え方で活用するべきか、注意点も合わせて解説したいと思います。

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「iDeCo」「NISA」「つみたてNISA」の違いとは?
「iDeCo」だけにある「所得控除」のメリットに注目!

 まずは「iDeCo」「NISA」「つみたてNISA」の違いを6つのポイントで確認しておきましょう。それぞれの違いを理解することは、使い道を見極めるためにも重要になります。

最優先すべきは節税メリットが最も大きい「iDeCo」!
「iDeCo」をメインに老後の資産形成を始めよう!

 「iDeCo」「NISA」「つみたてNISA」の違いを押さえたところで、まずは「iDeCo」をベースに資産を形成する方法から考えてみましょう。

 税制優遇の面から3つの制度を見ると、「iDeCo」は掛金の全額が所得控除になる分、最も大きなメリットがあると言えます。ですから、基本的にはまず「iDeCo」を開設し、その拠出限度額まで活用したうえで、それ以上、将来に向けて資産を形成する余力の資金がある場合、「NISA」ないし「つみたてNISA」を活用するのが最も効果的です。

 「iDeCo」では掛金の全額が所得控除の対象になりますから、「税金を納めずに済んだ分、自分の老後のために資産を多く積み立てられた」ことになります。実質的な税率(所得税+住民税)が20%だと仮定した場合、年間27.6万円の「iDeCo」への拠出額のうち、20%の5.52万円は税金を払わずに済んだことになります。

 20%の課税を免れるのは、25%の運用益を得たのとほぼ同じ意味です。本来なら27.6万円の所得にそのうちの20%である5.52万円が課税されて、手取りが22.08万円になっていたところ、iDeCo口座に拠出したことで5.52万円の収益を得て27.6万円まで増やすことができた、と考えることができるからです。課税されないことほど効率的な資産“運用”はありませんから、ぜひとも活用したいところです。

 ただし、「iDeCo」に積み上げたお金の資金使途は「老後資金」に限定されるという点には、注意しなければなりません。近い将来や60歳より前の時点で必要になる資金をよく把握せずに、余剰資金を満額「iDeCo」口座に入れてしまい、子どもの入学金が足りない、といったようなうっかりミスをしないようにする必要があります。

 また「NISA」はとりあえず口座開設だけをして、入金や投資は別途タイミングを見て行うことができますが(リスク商品を購入するとき初めて資金を入れればよい)、「iDeCo」は、手続き上「口座開設完了=引き落とし開始」となるので、「とりあえず口座だけ作ろう」というわけにはいきません。「iDeCo」はメリットの大きい制度ですが、こうした注意点を踏まえたうえで、活用を始めるようにしましょう。

「iDeCo」より「NISA」を優先すべきなのは、
どうしても60歳より前に資金が必要になりそうな人だけ!

 今度は「NISA」や「つみたてNISA」を資産形成のメインに据えて、「iDeCo」を併用する場合を考えてみましょう。

「iDeCo」を活用する優先順位を「NISA」や「つみたてNISA」よりも落とすのは、「iDeCo」の掛金の全額が所得控除の対象というメリットを活かせなくてもやむを得ない事情がある場合だけです。これがなければ、「iDeCoファースト」にしない理由はないからです。

 「iDeCo」をあえて使わない理由があるとすれば、それは要するに、資金のニーズが60歳より前にある、ということでしょう。iDeCoの節税メリットが強力なのは、「老後の資産形成に資する制度」と国が認めているからであり、その絶対条件になるのが「60歳以降の資金の受け取り」です。

 例えば、住宅購入資金の一部や子どもの学費準備資金の一部をリスク資産も組み入れて作る場合などは、資金が必要なタイミングが60歳より前になりますから、基本的に「iDeCo」は活用できません。そのため、投資を用いてこれらの資金の準備をしたいのであれば「NISA」や「つみたてNISA」を使うことになります。

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 ただ、この場合は運用リスクを少しでも回避するためのバランス感覚が必要になります。せっかく節税メリットが大きい「iDeCo」を使わず、いつでも資金が引き出せる「NISA」や「つみたてNISA」を選んでも、大きく相場が下落して資金不足になっては本末転倒だからです。運用リスクを避けるための対策としては、3つの方法が挙げられます。

(1)将来、必要になるお金の全額を投資資金で準備しようとせず、定期預金も併用して準備をすすめる(定期預金分は元本割れしないですむ)
(2)投資に求める期待リターンを過剰に設定しない(リスクが高まるため)
(3)資金を用いるタイミングが近づいてきたら利益確定するなどして、安全性を高めるための運用の見直しを行う(子どもの高校や大学の入学前年度には利益確定して、相場の急落で入学金が不足しないようにするなど)

 また、「iDeCo」を後回しにしたうえに、老後資産形成をまったく行わない状態はあまりおすすめできません。「iDeCo」の場合、年間で拠出できる限度額が少ないので、50歳代になってから一気呵成に積み立てを行うようなことができないからです。ですから、「NISA」や「つみたてNISA」を始めた場合でも、毎月「iDeCo」にも資金の一部を振り向けていくことが好ましい併用方法だと思います。

 「iDeCo」は毎月の最低積立金額を5000円としています。また2018年からは掛金の年単位化が認められるようになり、拠出金の上限金額が月単位ではなく年単位で認定されるので、掛金を拠出できない月は翌月の拠出額を増やすなど、月々の拠出に対する心理的なハードルが少し下がります。「毎月5000円、ボーナス時3万円をiDeCoに拠出して、月平均1万円は老後に積み立てる」というようにがんばれると、老後の安心感が相当高まるのではないでしょうか。

 ここまで見てきたように、「iDeCo」「NISA」「つみたてNISA」の3つの中では、節税メリットが大きい「iDeCo」を最優先して老後の資産形成を行い、余裕があれば「NISA」もしくは「つみたてNISA」を併用するのが最もお得な方法です。「iDeCoファースト」の姿勢で早速資産形成を始めましょう。

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山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)[ファイナンシャルプランナー]
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。
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どの金融機関でiDeCo口座を開設した場合でも、別途、国民年金基金連合会へ支払う加入時手数料2829円、国民年金基金連合会と信託銀行へ支払う手数料合計171円(毎月)かかる。受取時は給付手数料440円(1回毎)を信託銀行に支払う。還付時には、国民年金基金連合会と信託銀行への還付時手数料として合計1488円(1回毎)がかかる。運営機関変更時の手数料は「他の金融機関から」変更の場合で、「他の金融機関に」変更する場合は4400円の手数料が発生する場合がある。下記の金額は掛金を拠出する場合(すべて税込)。
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