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米国株の「業務用EV(電気自動車)トラック」関連銘柄に注目! EVメーカー「ニコラ」がゴミ収集車を受注したことで「実用車としてのEV」に成長期待が集まる!

2020年8月17日公開(2022年9月20日更新)
広瀬 隆雄
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全米第2位のゴミ処理会社「リパブリック・サービセズ」が、
「ニコラ」に業務用EVトラックを大量に発注!

 2020年8月10日、リパブリック・サービセズ(ティッカーシンボル:RSG)がEV(電気自動車)メーカーのニコラ(ティッカーシンボル:NKLA)に対して、2500台のゴミ収集車を発注しました

 ニコラが提供するのは、業務用EVトラック「トレ」をベースにしたゴミ収集車です。

業務用EVトラック「ニコラ・トレ」画像ニコラは、ローダー(積込装置)を含めた車体とシャーシの両方において「ゼロ・エミッション(環境に負荷を与える廃棄物がゼロ)」となる業務用EVトラックを開発する(画像出典:ニコラ)
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 通常、ゴミ収集車のシャーシとその上に載る車体は別々のメーカーが製作します。しかし今回の契約では、ニコラがシャーシだけではなくサイドローダー/フロント・ローダーを備えた車体も提供します。

 ゴミ収集車の路上試験は2022年からで、量産は2023年からを見込んでいます。また、リパブリック・サービセズは、契約数を5000台まで拡大する権利を持っています。

 リパブリック・サービセズは、アリゾナ州フェニックスに本社を置く全米第2位のゴミ処理会社で、今回の発注は同社が保有する全車両の13%に相当します。

 リパブリック・サービセズは以前から、これまでディーゼルや天然ガスを燃料としていたゴミ収集車を環境負荷の少ない「ゼロ・エミッション」にすることを計画しており、その結果、同じくフェニックスに本社があるニコラのEVトラックを選んだわけです。なお、ゴミ収集車にEVを採用するのは、リパブリック・サービセズが最初となります。

業務用EVトラック「トレ」は2021年末から販売予定!
当初、生産は外注するが、最終的には自社工場での生産へ移行

 今回受注したゴミ収集車のベースとなる業務用EVトラック「トレ」は、2021年末から発売される予定で、現在、発売に向けて200人のエンジニアが設計作業中です。

 「トレ」の製造は、イタリアのイベコ(IVECO)のドイツ工場に委託します。イベコは建設機械やトラクターのメーカー、CNHインダストリアル(ティッカーシンボル:CNHI)の子会社です。ただし、2021年第4四半期には、現在建設中のニコラ・アリゾナ工場が完成するので、それ以降はアリゾナ工場に生産を移す予定です。

 ニコラは、業務用EVトラック「トレ」とは別に、「バジャー」というピックアップトラックの製造も計画しています。こちらは、未だ生産パートナーが決まっていません。しかし、今は世界的にピックアップトラックの生産キャパシティが余っているので、ニコラがわざわざ自前で工場を建てる必要はないと判断しています。

ニコラは、長距離トラック市場での事業展開を考え、
顧客企業の拠点に「FCEV」用の水素ステーションを建設

 「クラス8」と呼ばれる大型トラックに関し、テスラを含む多くのメーカーが短距離トラック市場への参入を試みています。しかし、短距離市場は全体の15%に過ぎず、本当に大きな市場は長距離トラック市場です

 長距離トラック市場参入にあたっての問題は、バッテリーEVが1回の充電で走れる走行距離に限界があるため、長距離走行に適さないということです。したがって、長距離トラック市場では、どうしても水素燃料電池を搭載したFCEV(燃料電池電電気自動車)を使う以外ありません

 ニコラは、「ニコラ2」という名称のFCEVを設計中で、2021年中にデザインを公開し、2023年から出荷する予定です。

 ただし、FCEVを運行するためには全米各地に水素ステーションを建設する必要があります。これには先行投資が必要であり、顧客企業の手には負えません。そこで、ニコラが大口の法人契約を結んだ顧客企業の必要拠点に水素ステーションを建設し、それをリースすることで顧客にとって保有期間コストを保証します。

 ニコラは、まず全米における「クラス8」の長距離トラック網の20%前後をカバーする水素ステーション網を構築し、最初の10年はそれに専心する考えです

 ここで問題になるのは「どうやって水素を配達するのか?」ということです。一番すっきりする方法は、それぞれの水素ステーションにおいて太陽光発電や水力発電などで電気をつくり、その場で水素を生成するやり方です。

 ひとつの水素ステーションで消費される水素を生成するには、20メガワッツ前後の電力が必要で、1日のうち20時間前後は水素をつくるために電気を消費する必要があります。昼間の太陽光発電のピーク時にニコラが余分な電気を全部買い取り、その分を使って夜間に水素を生成するわけです。
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 FCEVへの移行は、このようにインフラから整備する必要があり、面倒臭い印象を与えます。しかし、2031年頃までには現在のディーゼル・エンジンの技術ではどんなに工夫しても排ガス基準をクリアできなくなると予想されるため、遅かれ早かれ新しいテクノロジーを採用する必要があります。

【今週のまとめ】
「ニコラ」がゴミ収集車の大型契約を受注したことで、
業務用EVトラック市場に投資家の注目が集まる!

 今回、ニコラリパブリック・サービセズからまとまった数のゴミ収集車を受注したことは、「業務用EVトラックは夢物語ではなく現実のものとなってきている」ということを感じさせました。

 我々は、EVと聞くとテスラ(ティッカーシンボル:TSLA)のような高級でカッコイイ製品をイメージしますが、EVにはもっと幅広い活躍の機会があります。ゴミ収集車には華やかさはありませんが、ニコラの事業計画が地に足の着いたものであることを確認できたと思います。今後も、ニコラをはじめとする業務用EVトラック関連の銘柄には、注目しておきましょう。

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ニコラ(NKLA)チャート/日足・6カ月ニコラ(NKLA)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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リパブリック・サービセズ(RSG)/日足・6カ月リパブリック・サービセズ(RSG)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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