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EUがクリーン・エネルギーの貯蔵に関する合意を可決!
そこで注目される「電解槽」と「燃料電池」とは?
7月13日にEUの欧州議会は、太陽光発電などのクリーン・エネルギーの貯蔵に関する合意を可決しました。これにより、2024年までに最低でも6ギガワット、そして2050年までに500ギガワットの「電解槽(でんかいそう)」をつくることが決まりました。
電解槽とは電気分解を行う装置のことで、電気を使って水から水素と酸素をつくり出すことができます。実際に宇宙ステーションでは、太陽光発電で得た電気を使い、水から酸素をつくっています。
これの逆の行程、つまり水素と酸素から電気をつくる仕組みを「燃料電池(フュエルセル=FC)」と言います。
燃料電池で電気をつくると副次的に水ができてしまいますが、燃料電池で走るEV(電気自動車)の場合、水は捨てればいいので問題ありません。
この「水+電気⇒水素+酸素」と「水素+酸素⇒水+電気」という2つの化学反応は「可逆的」です。つまり、クリーン・エネルギーでつくった電気は、電解槽で水素にすることで貯蔵可能となり、必要に応じて燃料電池で電気に戻して利用することができるのです。このことは、次世代の動力テクノロジーを理解する上で欠かせません。
EUが推進する「燃料電池」は、
将来的にガソリンエンジン並みの低コストに!
冒頭で、EUは2050年までにクリーン・エネルギーを使った500ギガワットの電解槽をつくると説明しました。その主な目的は、地球温暖化ガスを出さずに水素の供給を確保することで、この水素が将来的に燃料電池で走るEVなどの重要な燃料源になります。
水素を燃料とする「水素燃料電池」は、重量物の運搬や非常用電源、産業向け動力源に向いています。例えば、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)やウォルマート(WMT)の倉庫では、すでに燃料電池を活用したフォークリフトが大活躍しています。
現在のところ水素燃料電池のEVは、ガソリン自動車に対してコスト面で割高です。
1キログラムの水素は、ちょうど1ガロン(約3.8リットル)のガソリンと同じエネルギーを発生させます。現在、水素1キログラムの販売価格は16ドルなので、ガソリン代が1ガロン=2ドルであることを考えると8倍も割高になります。しかし、将来的に水素が量産できるようになると、ゆくゆくは水素の1キログラムの価格は2〜3ドルまで下がると言われています。
今回は、そんな燃料電池に関連する注目銘柄を紹介してきましょう。
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【プラグパワー】
複数の企業買収により、「燃料電池」に関する
垂直統合されたビジネス・モデルを構築
今回紹介するプラグパワー(ティッカーシンボル:PLUG)は、1997年に創業されたイオン交換膜(PEM)を利用した燃料電池の会社です。
プラグパワーの製造した燃料電池は、アマゾンやホーム・デポ(HD)、カルフール、ウォルマートなどの倉庫で稼働するフォークリフトを駆動しています。また、業務車の動力源も提供中です。
プラグパワーは2020年6月、液体水素のメーカーであるユナイテッド・ハイドロジェンを買収しました。ユナイテッド・ハイドロジェンは、テネシー州チャールストンに6.4トン/日の生産能力を持つ液体水素プラントを所有しています。これは、民間液体水素会社としては最大のプラントになります。
プラグパワーは、今後、ユナイテッド・ハイドロジェンの液体水素プラントの生産能力をさらに拡張し、10トン/日の生産を目指します。
また、今後は液体水素の配達ネットワークの構築にも力を入れます。そのため、液体水素タンカーやガス・トレーラーを買い揃えるほか、カリフォルニア州パームスプリングスにもプラントを建設する予定です。
プラグパワーは、さらに別に電解槽の会社、ギナーELXも買収しました。ギナーELXは、ゼネラル・エレクトリック(GE)をルーツとする由緒正しい企業であり、いままでは航空宇宙産業などに電解槽を納入してきました。
これらの一連の買収によってプラグパワーは、燃料電池に関連する技術や原料など一切の必要なものを内製できるようになり、垂直統合されたビジネス・モデルとなりました。
プラグパワーの2019年の売上高は2.3億ドルで、利益は8600万ドルの赤字でした。プラグパワーは、向こう5年で売上高を5倍にする計画です。
プラグパワー(PLUG)/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【バラードパワー】
トラックや鉄道などのヘビー・デューティーな用途にも耐える
信頼性の高い燃料電池モジュールを提供
バラードパワー(ティッカーシンボル:BLDP)は、カナダのブリティッシュ・コロンビア州に本社を置く「イオン交換膜(PEM)」を利用した燃料電池モジュールの会社です。
バラードパワーは、トラックやバス、鉄道、海運といったヘビー・デューティーな用途で使う燃料電池を得意としています。燃料電池EVは、バッテリーEVより登坂力に優れているうえ、厳寒や酷暑といった厳しい環境下でも高い信頼性を保ちます。
中国のウェイチャイ・パワーが、バラードパワーの主要顧客であり、18.9%を保有する株主でもあります。
バラードパワー(BLDP)/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【ニコラ】
ディーゼル・エンジンに変わる燃料電池トラックに関し、
販売から燃料、メンテナンスまでをパッケージにして販売
ニコラ(ティッカーシンボル:NKLA)は、水素燃料電池を利用したトラックのメーカーです。
世界のトラックの市場規模は約1600億ドルで、今はディーゼルが主流となっています。メーカーとしては、ダイムラーやボルボ、パッカー、カミンズなどが主な企業です。しかし、ディーゼル・エンジンは、年々厳格になってゆく排ガス規制をいずれクリアできなくなると予想されています。
ニコラは、単に燃料電池トラックだけを売るのではなく、燃料からメンテナンスまですべてを含めたパッケージ販売を計画しており、「7年間・70万マイル」のリース契約で、1マイル当たり95セントの保有期間コストを目標にしています。
そのために全米で水素ステーションを建設する計画です。水素ステーションは1カ所当り1500万ドル前後のコストがかかると言われていますが、その水素ステーションは前出のプラグパワーが受注することが予想されます。
ニコラ(NKLA)/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【まとめ】
「燃料電池」は量産による低コスト化で、さらなる普及が見込める!
今のうちから「燃料電池」関連銘柄をチェックしておこう!
EUはクリーン・エネルギー政策を果敢に進めており、それに伴い、アメリカでも水素自動車や燃料電池技術が注目を浴びています。関連銘柄としては、プラグパワーやバラードパワー、ニコラなどが挙げられます。
現時点では、水素燃料電池はガソリンに対してコスト面では勝てません。しかし、量産によりいずれコストは下がってくると予想されるので、今のうちに注目しておくといいでしょう。
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