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自民党総裁選が実施予定の9月14日を前に、
株式市場ではすでに「菅総理誕生」のシナリオを意識
安倍首相の後継を決める自民党総裁選が、9月8日に告示、14日に投開票で調整中と報じられています。すでに、河野太郎氏(現防衛大臣)は立候補を見送る考えであることが伝わっており、出馬表明を終えた菅義偉氏(現官房長官)と岸田文雄氏(現政調会長)、そして石破茂氏の3者の争いとなっています。
しかし、9月2日時点では、党内最大の細田派(安倍首相の出身派閥)とそれに次ぐ麻生派に加え、二階派も菅氏の支持を決めたことが各所で報じられており、株式市場でも急速に「菅氏が安倍政権の政策パッケージを引き継いでいくシナリオ」が意識されてきています。
菅氏は、総理大臣の「女房役」とも呼ばれ、非常に高い調整能力が求められる内閣官房長官を長らく務めてきました。ただ、「新元号『令和』を発表した人」として一般の人にも広く認知されている一方で、実際に彼がどのような人物かをしっかりと知る人は実は少ないのではないでしょうか?
まず、菅氏は世襲議員ではありません。政治の世界を志しながらも一切ツテがなかった菅氏は、大学の学生課を通して法政大卒OBの国会議員事務所を紹介され、小此木彦三郎元通産大臣の秘書として働き始めました。そして秘書を11年間勤めた後、横浜市の市会議員に立候補して政治家としての第一歩を踏み出したという「叩き上げ」です。派閥中心の政治を嫌ってここまで無派閥でやってきていますが、一匹狼になりがちな他の無派閥議員を支えるなど周囲の人望も厚いようです。
ただ、菅氏が新首相となった場合、実行力が高いが故に剛腕をふるう側面がある点と、安倍首相に対する菅官房長官のような「女房役」として適切な人物が現時点で見当たらない点は、政権の不安定化に繋がる可能性があるため警戒しておくべきでしょう。
コロナ禍により、行政手続きにおけるデジタル化の遅れが露呈!
新政権にとって「行政のデジタル化」が重要な政策課題に
ポスト安倍政権の政策に関しては、自民党総裁選で誰が選ばれても、従来の「新型コロナへの対応と経済の回復を両立させることに最大限注力する」という大枠はまったく変わらないでしょう。
しかし、今回のコロナ禍によって、行政手続きにおけるデジタル化の遅れやIT活用の弱さがさまざまな場面で露呈し、政権批判の材料となりました。特に、デジタル・ガバメント閣僚会議の議長として社会全体のデジタル化を進める政策の中核を担ってきた菅氏は、「行政のデジタル化」の遅れを政権の課題として強く意識していることでしょう。
そのため、このまま菅氏が安倍首相の後継として正式に決まれば、行政手続きを電子申請に統一する「デジタルファースト法案」の早急な実施など、電子政府化に向けた動きが改めて加速していくことが期待されます。
そこで今回は、誰が首相になっても“国策テーマ”であることは変わず、さらに菅首相が誕生した場合には特に人気化が期待できる投資テーマとして「行政のデジタル化」に注目しました。
「行政のデジタル化」に関しては、以前の記事で「デジタルファースト法案」の関連銘柄として24銘柄紹介しましたが、今回はそこからさらに銘柄を絞り込みました。
【※関連記事はこちら!】
⇒「デジタルファースト法案」の閣議決定で業績アップが期待できるシステム開発・サービス企業はココだ! 地方自治体向け事業なら、小型株にもチャンスあり!
具体的には、今期の業績を勘案し、主力銘柄とも言える大型株から3銘柄、中小型株から1銘柄をピックアップ。さらに追加で、コロナ禍の中、新たに行政向け事業において実績を上げた1銘柄を紹介します。
【富士通(6702)】
「デジタルトランスフォーメーション」関連の成長投資を加速
富士通(6702)は世界的に知られるITサービス企業です。業績を見ると、第1四半期は大幅増益の着地となり、好調なスタートを切っています。「デジタルトランスフォーメーション(DX)」関連の成長投資を加速しつつ成長に見合った株主還元をしていく方針を掲げており、着実な収益性の改善が見られている中で中長期的な成長が見込めます。
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【野村総合研究所(4307)】
「ナビゲーション」から「ソリューション」まで一貫して提供
野村総合研究所(4307)は、他のSIer(システムインテグレーター)とは異なり、コンサルティングによって問題発見から解決策を導く「ナビゲーション」から、システム開発・運用などによって課題解決を実現する「ソリューション」までを一貫して提供できるのが強みです。第1四半期の業績は前年同期比約10%の営業減益となったものの、市場にはそれほどネガティブな印象を与えませんでした。むしろ、金融ITソリューションの受注が好調で、受注残高も産業ITソリューションを除くとおおむけ堅調に推移しているため、下期からの盛り返しに期待できます。
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【NTTデータ(9613)】
営業利益は減益だが、受注が17.7%増と好調なので不安感はなし
NTTデータ(9613)は、専業SIerです。第1四半期の営業利益は前年同期比10.6%減の267億円でしたが、受注は国内(公共・社会基盤領域や金融領域)の好調により17.7%増となっているため不安感はありません。北米での構造改革費用が剥落する2022年3月期には、利益面での復調も期待されます。
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【電算(3640)】
介護保険データの制度改正対応などの売上アップで、営業黒字に!
電算(3640)は、自治体向け業務ソフトを手掛ける企業で、第1四半期の営業損益は黒字に転換しました。公共分野における介護保険データの制度改正対応や基幹系システムの導入、自治体情報セキュリティクラウドの運用などの売上が伸びたことで、営業黒字となりました。
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【サイボウズ(4776)】
大阪府が、業務改善プラットフォーム「kintone」を採用
サイボウズ(4776)はグループウェア専業の企業で、誰にでも使いやすい利便性の高さが強みの業務改善プラットフォーム「kintone」を提供しています。大阪府は、この「kintone」を活用して「新型コロナウイルス対応状況管理システム」を構築。患者情報の管理伝達を一挙に効率化することで、現場の負担を解消しつつ、新型コロナウイルス感染症患者への対応を進めました。2020年7月21には、サイボウズと大阪府が事業連携協定を締結しましたが、他の行政府にも同様の取り組みが広がる可能性は十分あるでしょう。
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冒頭で「菅氏が安倍政権の政策パッケージを引き継いでいくシナリオ」が意識されていると書きましたが、もちろんすでに決定された話ではなく、菅氏以外の人が新総裁に決まる可能性は十分にあります。しかし、その場合であっても今後「行政のデジタル化」が積極的に推進されていく可能性は非常に高いので、今のうちからぜひチェックしておくといいでしょう。
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