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「カナダグース」は、ダウンジャケットなどを
製造・販売する老舗アパレル・メーカー
今回は、1957年にカナダのトロントで創業され、米国のナスダック市場に上場されているカナダのパフォーマンス・アパレル・メーカー、カナダグース(ティッカーシンボル:GOOS)を紹介します。
パフォーマンス・アパレルとは、スポーツウェアやアウトドアウェアのような高い機能性を持った衣服のことで、カナダグースでは、ダウンジャケットなどの極寒に耐えうる外套やニットウェア、アクセサリーなどを製造・販売しています。流行に左右されることなく、「防寒」という自社製品にとって最も重要な機能性をひたすら追求しているオーセンティックなブランドです。
カナダグースは、他のアパレル・メーカーと違ってカナダの8カ所の自社工場で過半数の商品を製造しています。
新型コロナウイルスの感染拡大後、カナダグースはカナダ政府の通達により工場を一時閉鎖しました。しかし、それは新会計年度に入ったばかりのタイミングだったため、今年の生産計画を最適化するのにちょうど良いタイミングでした。言い直せば、売上急落による過剰在庫のリスクはありません。
「カナダグース」は、売上の半分以上を
マージンが非常に高い「直販店」と「ネット通販」が占める
カナダグースの売上の割合を見ると、直販店とネット通販が55%、卸売りが44%となっています。このうち前者のマージンは47%と極めて高いです。
カナダグースは、2014年からインターネットでの直販を開始し、現在、世界13カ国で展開しています。ネット通販は、比較的歴史の浅い事業部と言えますが、着実に売上を伸ばしています。
2016年からは直営店の展開も始めました。第1号店はカナダのトロント、第2号店は米国のニューヨークですが、直営店はいまでも世界でわずか20店舗しか展開していません。
この直営店の少なさは、現在、カナダグースにとってプラスに働いています。新型コロナウイルスの感染拡大で実店舗の来店客数はどこも減少しているのですが、カナダグースは直営店の数が少ないため固定費や人件費が経営を圧迫することはありません。
卸売に関してもこだわりがあり、カナダグースは卸売パートナーを選定するに当たり、長期で付き合えて信頼できる相手とだけ組む方針を掲げています。
カナダグースは、各地域の土地柄に合せて、ネット通販、自社店舗、卸売のメリハリをつける販売経路戦略をとっています。
■カナダグースのエリアごとの販売チャンネル | ||||||
エリア | ネット通販 | 自社店舗 | 卸売パートナー | |||
カナダ | あり | 9店舗 | 成熟 | |||
米国 | あり | 5店舗 | 成長余地あり | |||
欧州 | あり | 3店舗 | 成長余地あり | |||
中国 | あり | 6店舗 | なし | |||
日本 | なし | なし | あり | |||
韓国 | なし | なし | あり |
カナダグースの地域別売上高は、下の円グラフのようになっています。
カナダグースはカナダの会社なので、カナダの売上高が多いことは当然ですが、世界のラグジュアリー・グッズの売上の観点から言えば、今後はアジア、とりわけ中国や韓国での成長が期待できます。
なお、カナダグースは無借金経営です。
近年の「カナダグース」の売上高は右肩上がり!
ただし、来期以降は新型コロナの影響により売上がダウンすると予測
カナダグースの会計年度は3月末〆で、2020年度の売上高は9.58億ドルでした。
過去3年間の売上高成長率は年率+27%で、着実に成長しています。
冬物衣料を扱っている関係で、売上高の78%が第2四半期(7~9月)と第3四半期(10~12月)に集中しています。そのため、2月から世界中に影響を及ぼした新型コロナウイルスは、2020年度のカナダグースの売上高にほとんど悪影響を与えませんでした。
カナダグースの決算はカナダドルで報告されています。しかし、我々が米国株としてカナダグースを売買する場合の建値は米ドルです。そこで、米ドルに換算した1株当たり利益(EPS)の数字を下に示しておきます。為替レートは1カナダドル=0.76米ドルで計算しました。
カナダグースの株価は、2018年には72ドルの高値を付けていますが、いまはその半値以下の値段で取引されています。カナダグースは無借金経営のため倒産リスクが少ないこと、将来も十分な成長余地を残していることなどを考えると、またとない“買いチャンス”だと思います。
【今週のまとめ】
今後も着実な成長が期待できる「カナダグース」は、
株価が大きく調整しているいまが絶好の買い場!
カナダグースは、オーセンティックな防寒具のアパレル・メーカーで、これまで着実に成長してきました。無借金経営や適正な在庫、保守的な販売経路戦略など、いまやっている事業を今後も計画通り進めるだけで、さらなる成長が期待できます。
現在、株価は大きく調整していますが、これは新型コロナウイルスの悪影響が過大視された面も大きいと思います。つまり、いまは絶好の買い場とも言えるので、興味のある方はぜひ検討してみるといいでしょう。
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