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新型コロナウイルスの感染拡大を防止する水際対策として、日本ではこれまで厳しい入国制限が実施されてきましたが、10月1日から、中長期滞在資格を持つ外国人を対象にその制限が緩和されました。入国制限を緩和したことで新型コロナウイルスの感染再拡大が起こることを心配する人もいるかと思いますが、今回の措置はあくまで「制限の一部緩和」です。14日間の待機などの措置を受け入れ団体が確約する必要がある条件付きの緩和であり、政府としても慎重に対応している印象があります。
また10月4日には、韓国との間で、ビジネス関係者を対象に往来を再開させることで合意したことも報じられています。
観光庁が「富裕層の訪日外国人」の集客を検討するなど、
政府は「インバウンド」需要の回復を目指す
このように、少しずつではありますが諸外国との往来再開への道筋が見え始めてきた中、これに関連してひとつ気になる話題が出てきました。それは「観光庁が海外の富裕層客の誘致に向けた検討を始めた」というニュースです。
具体的には、有識者会議を開催して、長期滞在を好む富裕層の観光客向けの施設誘致策や観光資源を活かしたツアーづくりなどを議論し、年度末までには富裕層に特化した訪日客数や消費額などの数値目標をつくる方針のようです。
もともと政府は、訪日外国人数について2020年に4000万人、2030年に6000万人とする目標を掲げていました。日本政府観光局(JNTO)が発表した年間訪日外国人客数の推計値を見ると、2019年は約3188万と過去最高を更新しましたが、2020年については新型コロナウイルスの影響で目標達成が不可能となりました。そこで政府は、改めて「2030年6000万人」を目標として据え直すのに加え、富裕層の集客にも注力していく狙いなのでしょう。
そこで今回は、改めて「インバウンド」関連銘柄に注目してみました。
幅広い「インバウンド」関連銘柄の中から、
入国制限緩和の初期段階で恩恵を受けそうな銘柄をピックアップ
「インバウンド」は、新型コロナウイルスのネガティブな影響が直撃する投資テーマなので、その関連銘柄の株価は軒並み大きく下落しました。しかし、そうした新型コロナウイルスの影響は、時間の経過とともに市場では織り込み済みになってきています。それに加えて、最近では、前述のような「インバウンド」関連銘柄に追い風となる政府の動きも見られるようになりました。
つまり、訪日外国人が激減し、関連ビジネスが大底を打った今だからこそ、「インバウンド」関連銘柄は狙い目だと言えるでしょう。
「インバウンド」は、旅行関係だけではなく、訪日外国人に人気の高い小売系や化粧品なども含まれるかなり幅広いテーマです。その中で今回は、入国制限緩和の初期段階ではビジネス目的や長期滞在における富裕層が意識されると考え、まずは、旅行会社を中心に銘柄を選定。さらに、富裕層の訪日数の回復によって恩恵を受けるであろうホテルやリゾート関係の銘柄をピックアップしました。
【HIS(9603)】
コロナ禍の中で全社的な改革を推進!
HIS(9603)は言わずと知れた大手旅行会社で、連結子会社としてハウステンボスも保有しています。足元の業績はかなり厳しい状況になっているのは間違いありませんが、代表の澤田氏の指揮の下、コロナ禍の中で全社的な改革を推進しています。「インバウンド」需要が実際に戻ってくることが確認されれば、株価が見直される可能性は十分にあるでしょう。株価は、リバウンドが一巡した後に値動きの少ない膠着状態が続いていますが、入国制限の緩和による再評価が期待されます。
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【ハナツアー(6561)】
インバウンド需要回復に備えて、日本の観光地の紹介動画を制作中!
HANATOUR JAPAN(6561)は「インバウンド」専門のBtoB向け旅行会社です。「インバウンド」需要の回復に備えて、日本の観光地の紹介動画を制作中であることを上期決算の説明資料の中で述べています。また、2021年4月30日まで事業休止を予定していた連結子会社の友愛観光バスについて、「需要の回復が見込まれる拠点において、10月1日から事業を再開する」と発表したことも高評価です。株価は、リバウンド一巡後に横ばいの推移が続いていますが、ここから上値抵抗線として意識されている200日移動平均線を突破してくると、さらなる上昇が狙えます。
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【KNT-CTホールディングス(9726)】
新型コロナウイルス感染症の関する補償を設定
KNT-CTホールディングス(9726)も大手の旅行会社です。オンラインとリアルを駆使した「Remote(リモート)修学旅行」や、新型コロナウイルス感染症の発病に関する補償などを組み込んだ「コロナお守りパック」を旅行商品に付保するなど、「ウィズコロナ時代」に向けた取り組みを加速させています。株価は、リバウンド一巡後に“もち合い”が続いていますが、最近では200日移動平均線が下値支持線として意識されており、レンジ相場からの上放れが期待できます。
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【エアトリ(6191)】
格安航空券やLCCなどの比較サイト「エアトリ」を運営
エアトリ(6191)は、格安航空券やLCC(国内線)の比較サイト「エアトリ」を運営しています。Go To トラベルキャンペーンの需要を順調に取り込んでおり、相対的に早期回復が見込まれる国内旅行需要の獲得に注力しています。また、ヘルスケア事業を新規に立ち上げるなど、ライフイノベーション事業領域を強化して事業基盤を強化することを打ち出しています。株価は10月に入ってから上昇基調が強まっています。10月6日には、9月16日につけた直近の戻り高値1565円を上回ってきたので、一段の株価上昇が期待できます。
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【リゾートトラスト(4681)】
需要旺盛なメディカル事業が業績を下支え
リゾートトラスト(4681)の主な事業内容は、「会員権事業」「ホテルレストラン事業」「ゴルフ事業」「メディカル事業」の4セグメントで構成されています。新型コロナウイルスの影響でホテルレストラン事業が“重し”となっているものの、需要旺盛なメディカル事業が業績を下支えしています。会員権事業でも、営業活動が正常化してくる中で緩やかな立ち直りが期待され、ホテル稼働率が少しずつ回復している点は安心感に繋がりそうです。株価は、8月に入ってから上昇トレンドでしたが、9月半ば以降は戻り高値水準での“もち合い”が続いています。ただ、上昇する25日移動平均線が下値支持線として機能しているので、もち合いからの上放れが期待できます。
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【ロイヤルホールディングス(8179)】
事業再編やコスト削減など、業績回復のための動きを加速!
ロイヤルホールディングス(8179)は、「ロイヤルホスト」「てんや」などの外食事業が主力ですが、その他にもホテル事業や機内食事業なども手掛けています。いずれのセグメントもコロナ禍の影響を大きく受け、現在は事業再編やコスト削減、成長期待分野への注力など、業績回復のための動きを加速させています。入国制限の緩和が進めば、ホテル事業や機内食の需要回復への思惑が高まりやすいでしょう。株価は、緩やかな上昇基トレンド継続していますが、200日移動平均線に上値を抑えられています。下値は上昇する25日移動平均線が下値支持線として機能しており、200日線突破を試す展開に注目です。
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中長期滞在者を対象にした入国制限が緩和されることで、今回は「インバウンド」関連の中でも、旅行会社やホテル・リゾートに関連する銘柄を選定しました。株価を見ると、リバウンド一巡後の“きっかけ待ち”の水準に位置している銘柄も多いので、今回の入国制限緩和をきっかけに上昇トレンドへの転換に期待したいところです。
また、今後、入国制限の緩和がより一層進むと、小売業や化粧品など以前から「インバウンド」関連として注目されていた銘柄に物色が広がる展開になると予想されるので、そうした銘柄も早めにチェックしておくといいでしょう。
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