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米国株「ルート」は、年末年始の“小型株ラリー”に向けて今が格好の仕込み場!「タックスロスセリング」が一巡した今、年末年始に向けたリバウンドに期待!

2020年12月21日公開(2022年9月20日更新)
広瀬 隆雄
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毎年クリスマス前後は米国市場が強いので、
今週〜来週は強気のトレードがおすすめ!

 今週の12月25日(金)はクリスマスですが、米国ではクリスマスの前後は相場が高いことで知られています

 下のグラフは、米国を代表する株価指数であるS&P500が1980年以降、クリスマスの前後3日間にどのように動いたかを示したものです。

 クリスマス前後3日間のすべてで、平均パフォーマンスがプラスになっている点に注目してください。このことからも、今週と来週は強気で臨むべきだということがわかります

12月後半に小型株のパフォーマンスが良いのは、
「タックスロスセリング」で売られた後のリバウンドが原因

 もうひとつ、この時期の市場の特徴としては、小型株のほうが大型株よりパフォーマンスが良い傾向にあることが挙げられます。下のグラフは、大型株指数のラッセル1000と小型株指数のラッセル2000について、12月後半と1月前半のパフォーマンスをそれぞれ比較したものです。

 これを見ると、大型株指数(ラッセル1000)より小型株指数(ラッセル2000)のほうがパフォーマンスが良く、しかも、それは1月前半より12月後半のほうが際立っていることがわかります。

 この現象が起こる理由としては、よく「タックスロスセリング」が指摘されます

 「タックスロスセリング」とは税金対策のひとつで、「その年、株式投資で大きなキャピタルゲインを得た投資家は、少しでも税金を減らすため、年末までに含み損が一番大きくなっている株を処分して実現損を出すことでキャピタルゲインと相殺する」という手法です。そのため、今年IPOした後に株価が一本調子で下げたような銘柄は、「タックスロスセリング」の格好の標的になります。

 しかし、12月15日を過ぎると「タックスロスセリング」は一巡するので、そこで売られた銘柄はこの後はリバウンドしやすいと思います。つまり「タックスロスセリング」の標的となった企業は、今が狙い目と言えるでしょう

10月のIPO後に大きく下落した「ルート」は、
最も「タックスロスセリング」の影響を受けた銘柄のひとつ

 自動車保険のルート(ティッカーシンボル:ROOT)は、2020年10月27日に新規株式公開(IPO)されたばかりの銘柄ですが、値決め価格から48%も下げています。そのため、恐らく今年最もタックスロスセリングの影響を受けた銘柄のひとつだと考えられます

 ルートが事業を展開する自動車保険市場は、毎年2660億ドルの保険料売上高がある巨大市場です。自動車保険市場では、ウォーレン・バフェットが代表を務めるバークシャー・ハサウェイの中核会社、ガイコーやオールステートなどの古い体質の企業が幅を利かせています。

 自動車保険は、これまで消費者の年齢、性別、既婚かどうか、学歴、住んでいる場所など、運転とは直接関係ない属性によって保険料率を決定してきました。しかしルートは、ウェブを通じたマーケティングとデータ分析による最適な保険料率の設定を武器として、先行企業の牙城に斬り込もうとしています

 具体的には、「テレマティック・デバイス(クルマの中に装着する運転モニター装置)を駆使してドライバーの運転状況を把握し、安全運転なら保険料金を安くします」という価値提案を行っています。

 テレマティック・デバイス自体は、プログレッシブ(PRG)など既存の自動車保険会社も提供していますが、これまではスピード違反や急ブレーキなどの限られた危険行為しか記録できませんでした。しかしルートのデバイスは、それらに加えて運転中のスマホ使用などの危険行為もキャッチできるようになっています。

 ルートの第3四半期の保有契約(Premiums in Force)は、前年同期比+41%の6億ドルでした。一方、直接既経過保険料(Direct Earned Premium)は、第3四半期が前年同期比+54%の1.65億ドルで、年初来(9月まで)が前年同期比+53%の4.71億ドルでした。

 ルートの第3四半期の修正粗利益マージンは970万ドル(前年同期は-2720万ドル)、修正粗利益マージンは19.2%(前年同期は-34.2%)でした。また、純利益は70万ドル(前年同期は-3650万ドル)、直接ロスレシオは89.8%(前年同期は113.3%)でした。

 ルートに対する批判として「顧客離反率が高い」「ロスレシオが高い」という指摘がありますが、これらは新規参入企業が背負わなければいけない宿命であり、時間が経過してデータの蓄積が進めば、次第に安全運転のドライバーが長期に渡ってルートの顧客として定着してゆくことが期待できます

【まとめ】
今週は年末年始の“小型株ラリー”に向けた格好の仕込み場なので、
「タックスロスセリング」で売られた「ルート」に注目!

 今週は「タックスロスセリング」が終り、年末年始の“小型株ラリー”に向けて格好の仕込み場になると予想されます。そして、「タックスロスセリング」の後にリバウンドが期待できる株のひとつが、IPO後に株価が一本調子で下がった銘柄です。

 今年のIPO銘柄の中でも、特に惨めなパフォーマンスだった株のひとつがルートです。ルートは、自動車保険という巨大市場でガイコーやオールステートなどの大手と競争しているので、目先は苦戦を強いられると思います。しかし、データ・サイエンスに基づいた価値提案は若いドライバーにとって魅力的なので、今後の業績改善は十分に期待できます。

 つまり、ルートは「タックスロスセリング」の影響を最も大きく受けたため、年末年始に向けては狙い目だと考えられます。

⇒ルート(ROOT)の最新株価はこちら!

ルート(ROOT)チャート/日足・2カ月ルート(ROOT)チャート/日足・2カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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