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人気運用会社のARK(アーク)が、宇宙事業を行う企業を集めた
「ARK宇宙探査ETF(ARKX)」の上場を発表!
今アメリカで人気の運用会社ARK(アーク)が1月13日、近く「ARK宇宙探査ETF(ARKX)」というETFを上場すると発表しました。
現時点で、上場のタイミングやETFの組入銘柄に関しては明らかになっていません。しかし、米国証券取引委員会(SEC)に提出された申請書類を見れば、人工衛星や打ち上げロケット、ドローン、エア・タクシー、大気圏内の高高度を飛行する乗り物などを製造している企業が「ARK宇宙探査ETF」に含まれることは確実です。
現在、すでに宇宙事業を行っており、それなりの売上と利益を上げているのは軍事防衛関連企業です。
宇宙事業で最大の売上高を上げているのは、ロッキード・マーチン(ティッカーシンボル:LMT)で、2020年度には宇宙部門だけで118億ドル前後を売上げると会社側はコメントしています。これは、ロッキード・マーチンの全売上高の18%に相当します。
その次に宇宙事業の売上高が大きい会社は、ノースロップ・グラマン(ティッカーシンボル:NOC)です。2020年度は、宇宙部門だけで84億ドル前後を売り上げると見込まれます。これは、ノースロップ・グラマンの全売上高の23%に相当します。
この2社が宇宙開発の「二強」です。今回はこの2社のうち、特に宇宙部門の売上比率の高いノースロップ・グラマンに焦点を当てたいと思います。
「ノースロップ・グラマン」は、月着陸船の制作実績を持ち、
宇宙部門では「安全保障」や「商業人工衛星」など幅広い事業を展開
ノースロップ・グラマンは、1939年にロサンゼルスで創業されたノースロップ・エアクラフトが母体となっています。1994年にニューヨーク郊外に本社のあるグラマンと合併し、現在の社名になりました。
ノースロップ・グラマンは、人類が最初に月面着陸した際、月着陸船を製作した会社として知られています。ノースロップ・グラマンの宇宙事業は、2002年に買収したTRWと2018年に買収したオービタルATKなどにより強化され、今日に至っています。
現在、ノースロップ・グラマンの宇宙部門は、以下の6つの製品グループに分かれています。
| ■ノースロップ・グラマンの宇宙部門の製品グループ概要 | ||||||
| セグメント | 事業内容 | |||||
| 安全保障 | 敵国の巡航ミサイル打ち上げを監視・察知し、打ち落とす早期警戒システム | |||||
| 打ち上げロケット | 全長47m、直径3.7mの「SLS」ブースターや「オリオン」「キャスター」など各種モーターを提供 | |||||
| 有人飛行 | 次の月面着陸計画である「アルテミス計画」向けの支援宇宙船「シグナス」を製作 | |||||
| 商業人工衛星 | 中小型人工衛星のベストセラー「ジオスター」の製作 | |||||
| 科学研究 | 「アクア」地球観察システムなど | |||||
| 宇宙部品・積荷 | ソーラー・アレイ、タンクなど | |||||
ちなみに、ノースロップ・グラマンの宇宙部門は、専門誌『スペース・ニュース』から2020年度の「優秀イノベーション賞」を獲得しました。
なお、ノースロップ・グラマンは、宇宙事業以外のビジネスも展開しています。例えば、自動システム部門は、グローバル・ホークなどのドローンを製造。また、有人飛行機部門は、B-2やB-21レイダーなどのステルス爆撃機をつくっています。
「ノースロップ・グラマン」の主な顧客は米国政府なので、
景気に左右されず、売上高は毎年安定的に推移
ノースロップ・グラマンの売上高の83%は、米国政府との取引です。米国政府は、ノースロップ・グラマンとの契約を途中で終了することができます。また、予算の関係で契約条件が変更になる場合もあります。
新しい兵器の開発は、競争入札の形が取られます。ただ、ソ連の崩壊後に米国の軍事予算の見直しがあり、国防省は、軍事防衛関連企業のM&Aを促し、それぞれの分野で財務内容が健全な1社の企業に対して、安定的に発注を集約する方式に方向転換しました。
例えば、潜水艦ならゼネラル・ダイナミクス(ティッカーシンボル:GD)、空母ならハンチントン・インガルス(ティッカーシンボル:HII)、戦闘機ならロッキード・マーチン、爆撃機ならノースロップ・グラマンといった具合です。
この米国政府の方針により、ノースロップ・グラマンの売上高は安定的に推移しています。
近年は、いわゆる「ハラキリ入札」と言われるような不採算プロジェクトを抱え込むことは極めて稀になりました。それと引き換えに、業者の利幅は国防省によって厳格に管理されており、大体12%程度の営業利益マージンしか認められません。
一方で、米国政府からひとつのプロジェクトを受注すると、10数年から30年近くは同じ機種が使い続けられることも多いので、業績は比較的安定しています。
これらのことから、ノースロップ・グラマンのような軍事防衛関連株は景気に左右されない「半公益株」のような買われ方をします。
【今週のまとめ】
「ARK宇宙探査ETF」の上場により注目が集まる宇宙関連株の中でも、
宇宙部門の比率が高い「ノースロップ・グラマン」の人気化に期待!
近く、宇宙事業関連に投資する「ARK宇宙探査ETF」が上場されることから、宇宙関連株がにわかに注目を集めています。
すでに宇宙事業でガンガン売上高や利益を上げている企業ということになると、軍事防衛関連企業になります。その中で、要注目なのがノースロップ・グラマンです。
ノースロップ・グラマンは、アポロ計画において月着陸船を製作した実績を持つ企業であり、ARK宇宙探査ETFの中核を成す銘柄になると思われます。ノースロップ・グラマンの業績は安定的に推移しているので、ETF組み入れをきっかけに人気化することを期待したいところです。
ノースロップ・グラマン(NOC)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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