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先週のナスダックやハイパー・グロース株の急落は、
米国の長期金利の急激な上昇が原因!
先週(3月1日〜5日)、ナスダック総合指数は週間ベースで2.1%下落しました。2月16日の高値から計算すると-8.9%の調整となります。
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また、個別株では、テスラ(ティッカーシンボル:TSLA)が1月25日の高値から-33.6%下落しました。
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このように今回のナスダック総合指数の下げは、このところ株価上昇が著しかったハイパー・グロース株が中心でした。その意味で、今回の調整は局地的と言えるでしょう
今回の急落の原因は、米国の長期金利の急激な上昇です。
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この長期金利の上昇は、景気の先行きに関して楽観論が広がったことが原因です。一般に、長期債は景気が強くなると売られる傾向があり、債券価格が下落すると債券利回りは逆に上昇するのです。
楽観論の背景には、製薬会社の工場における新型コロナウイルス向けワクチンの製造がようやく軌道に乗りはじめたこと、ワクチンが行き渡るにつれて新規に陽性と判断された人の数が減少の一途を辿っていること、さらに、議会が1.9兆ドルの追加景気刺激策をいよいよ可決しようとしていることなどがあります。
債券利回りが上昇しても株式が下落しない
「業績相場」の局面が来るのは、少なくとも1年以上は先
債券利回りと株式バリュエーションは、シーソーの関係にあります。つまり、一方が上昇すると他方は下がります。
債券利回りが上昇しても株式が下落しないケースもありますが、それは好景気で1株当たり利益(EPS)がバリュエーションの剥落よりも速いペースで伸びるからです。そのような局面を、市場参加者は「業績相場」と形容します。
しかし、まだ連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めが始まっていませんから、今の相場は「金融相場」の真只中です。「金融相場」から「業績相場」へバトンタッチするのは、少なくとも1年以上先の話になる思います。
市場参加者は景気の先行きに関して楽観的だが、
このまま景気が一気に回復するとは限らない!
先ほど述べたような理由から、投資家は景気回復に対して大変楽観的になっています。その気持ちはわからないでもないですが、これからすべてが上手く行き、景気が一気に回復するとは考えない方がいいと思います。
まず、新型コロナウイルスの感染拡大前から起算すると、合計700万人分の雇用が失われ、まだ元通りにはなっていません。しかも、再就職できた人も、パートタイムなど新型コロナウイルス前に比べると不利な条件で雇用されている場合が多いです。
リモートワークの経験は、経営者をして「どこに無駄があるか?」をハッキリ認識させました。その一例は、オフィス・スペースです。また、自宅からリモートで仕事できないITスキルの低い社員については、ずっと雇用し続ける必要性は低いと判断されやすいでしょう。つまり、コロナ禍が終息した後も経営のスリム化の余地は大きいのです。
これらのことは、現在の米国経済は余剰キャパシティーがたくさんある、いわゆる「たるみ」の状態に置かれていることを示唆しています。普通、そういう局面では賃金は上昇しにくいですし、手のつけられないインフレになるリスクも低いです。
また、経済活動の再開に関しても、すんなり行くことを誰もが願っていますが、そうならないリスクも大きいと思います。
まず、ワクチンの増産が思い通り進まないリスクがあります。集団免疫を実現できず、毎年、ワクチンを打たなければいけない状態になることも想定しておかなければいけません。
一度ネット通販の便利さに慣れた消費者が、ゴーストタウン化して、わくわくできないショッピングモールに戻らないリスクもありますし、映画館もひょっとするとお手軽なストリーミング・サービスに駆逐されてしまうかもしれません。
ビジネスの局面では、今までなら何が何でも対面で営業しなければならなかったところが、ズームのミーティングで済ませることが増える可能性があります。その場合、航空会社のビジネスクラスの商売は大打撃を受けるでしょう。
さらに、このところの長期金利の上昇で住宅ローン金利も上昇しています。これが、住宅ブームに冷水を浴びせるかも知れません。
つまり、経済活動の再開がすんなりと実現し、景気が強烈に回復するとは決まってないのです。
長期金利の上昇により「バリュー株」が人気だが、
むしろ株価下落中の「ハイパー・グロース株」こそ狙い目!
今回の長期金利の上昇で、急成長株はどれも売り叩かれ、地獄絵図が繰り広げられています。しかし今の相場は、バリュー株の投資家のほうにむしろ慢心が見られ、危険なように思います。バリュー株の多くは、もうお世辞にも「割安だ」と言えない水準まで買い進まれているからです。
私の考えでは、むしろ今まで良いとわかりきっていてもバリュエーションが高くて手を出せなかったピカピカのハイパー・グロース株を仕込んだほうが良い気がします。
具体的には、以下のような銘柄です。
・ズームビデオ(ティッカーシンボル:ZM)
・オクタ(ティッカーシンボル:OKTA)
・ヴィーヴァ・システムズ(ティッカーシンボル:VEEV)
・ピンタレスト(ティッカーシンボル:PINS)
・ファイバー(ティッカーシンボル:FVRR)
【ズームビデオ(ZM)】
ビデオ会議の代表的サービスは今後も力強い成長が続く
ズームビデオは「ZOOMしよう」のように、ビデオ会議を実施することについて「動詞化」するほどポピュラーになりました。1月期の決算は、EPSが予想79セントに対して1.22ドル、売上高が予想8.11億ドルに対して8.82億ドル、売上高成長率が前年同期比+368.8%と素晴らしい内容でした。
過去12カ月の売上高で10万ドルを超える大口顧客数は1644(前年同期は641)でした。また、今期355が新規で大口顧客に加わりました。
ズームフォンを採用している従業員10名以上の企業は1万700社(前年同期は2900社)でした。そのうち60%がマスマーケット(大衆向け市場)、40%がアップマーケット(富裕層向け市場)でした。従業員10名以上の企業の課金顧客数は46.7万社(前年同期は8.2万社)で、売上高に占める割合は63%(前年同期は80%)でした。
ネット・ダラー・エクスパンション比率は130%で、11期連続で130%以上を維持しています(※ネット・ダラー・エクスパンション比率とは「ドル建ての売上膨張率」のことで、「既存契約からの売上高+新製品など追加することで今まで以上に売った分-解約で失った売上高」を元に計算される)。
第1四半期のEPSは予想70セントに対して新ガイダンス95〜97セントが、売上高は予想8.35億ドルに対して新ガイダンス9億〜9.05億ドルが提示されました。また、2022年度のEPSは予想2.96ドルに対して新ガイダンス3.59〜3.65ドルが、売上高は予想35億ドルに対して新ガイダンス37.6億〜37.8億ドルが提示されました。
つまり、会社側は今後も力強い成長が続くと見ているわけです。
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【オクタ(OKTA)】
オースゼロの買収でターゲット市場を2倍近く広がる
オクタは「誰が会社のクラウドにアクセスできるのか」というパスワード権限をクラウド上で管理するサービスを提供している会社です。1月期決算は、EPSが予想-1セントに対して6セント、売上高が予想2.22億ドルに対して2.35億ドル、売上高成長率が前年同期比+40.3%でした。
総顧客数は1万社に達しており、これはIPO時に比べると3倍になっています。とりわけ、年間契約金額で10万ドルを超える大口顧客が今期170社新たに加わりました。
また、ダラー・ベースト・ネット・リテンション率は121%でした(※ダラー・ベースト・ネット・リテンション率とは「ドル建ての売上継続率」のこと)。
オクタは3月3日、ソフトウェア・デベロッパーにとても信頼されているオースゼロ(Auth0)を65億ドルで買収すると発表しました。オースゼロは、市場規模250億ドルと言われているカスタマー・アイデンティティー市場で強味を発揮しています。つまり、オクタはオースゼロを買収することで、ターゲット市場を2倍近く広げることができます。
オクタの第1四半期のEPSは予想6セントに対し-21〜-20セントが、売上高は予想2.38億ドルに対して新ガイダンス2.37億〜2.39億ドルが提示されました。一方、2022年度のEPSは予想4セントに対して新ガイダンス-49〜-44セントが、売上高は予想10.7億ドルに対して新ガイダンス10.8億〜10.9億ドルが提示されました。
EPSの数字が悪化しているのは、オースゼロの買収を機に営業・マーケティングに力を入れ、一気にマーケットシェアを取りに行くことを狙っているからです。
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【ヴィーヴァ・システムズ(VEEV)】
製薬会社の業務を効率化するソフトウェアを提供
ヴィーヴァ・システムズは、製薬会社を顧客とし、研究開発や臨床試験、新薬承認、マーケティングなどの重要な活動を効率化するソフトウェアを、クラウドを通じて提供している企業です。1月期決算は、EPSが予想63セントに対して78セント、売上高が予想3.8億ドルに対して3.97億ドル、売上高成長率が前年同期比+27.4%でした。
サブスクリプション売上高は前年同期比+27%の3.23億ドル(前年同期は2.54億ドル)、プロフェッショナル・サービス売上高は7395万ドル(前年同期は5740万ドル)でした。また、営業キャッシュフローは6835万ドル(前年同期は3911万ドル)、営業利益は前年同期比+64%の9880万ドル(前年同期は6040万ドル)でした。
第1四半期のEPSは予想74セントに対して新ガイダンス77〜78セントが、売上高は予想4億ドルに対して新ガイダンス4.08億〜4.1億ドルが提示されました。また、2022年度のEPSは予想3.12ドルに対して新ガイダンス3.20ドルが、売上高は予想17.2億ドルに対して新ガイダンス17.55億〜17.65億ドルが提示されました。
ヴィーヴァ・システムズは、顧客にとって必要不可欠なサービスを提供しているため、今後も安定的に業績を伸ばしてゆくと思います。
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【ピンタレスト(PINS)】
動画を集めるサービス「ストーリー・ピン」を開始
ピンタレストは、消費者が自分の気に入った画像を整理し、次の旅行や買い物の際のアイデアを集めるためのサイトを運営しています。第4四半期決算は、EPSが予想32セントに対して43セント、売上高が予想6.47億ドルに対して7.06億ドル、売上高成長率が前年同期比+76.4%でした。また、グローバル月次平均ユーザー数は+37%の4.59億人、ユーザー当たり単価は+29%の1.57ドルでした。
ピンタレストは2020年9月から、動画を集めることができる新サービス「ストーリー・ピン」を開始しました。このサービスを活用すると、広告主は短い説明ビデオを製作し、ピンタレスト上に表示することができます。
第1四半期売上高は、コンセンサス予想+59%に対して新ガイダンス+70%が提示されました。ピンタレストのサービスは、他のSNSのように不適切コンテンツやヘイトなどで汚染されるリスクがないため、広告主は安心して広告を出すことができます。
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【ファイバー(FVRR)】
アフターコロナも「ギグ・エコノミー」のトレンドは続く
ファイバーは、ギグワーカーが単発の仕事を見つけるための「仕事のマーケットプレース」です。ファイバーの第4四半期決算は、EPSが予想10セントに対して13セント、売上高が予想5410万ドルに対して5590万ドル、売上高成長率が前年同期比+89.5%でした。
アクティブ・バイヤー数は前年比+45%の340万人、アクティブ・バイヤー当り支出額は前年同期比+20%の205ドルでした。また、テイク・レートは27.1%で、前年同期に比べて40ベーシスポイント改善しました。GAAPグロスマージンは82.6%でした。
第1四半期の売上高は、予想5773万ドルに対して新ガイダンス6300万〜6500万ドルが提示されました。一方、2021年の売上高は、予想2.59億ドルに対して新ガイダンス2.77億〜2.84億ドルが提示されました。
ファイバーは新型コロナで恩恵をこうむった企業のひとつですが、経済再開後もギグ・エコノミーは長期のトレンドになると予想されるので、ビジネスの落ち込みはあまり心配しなくていいと思います。
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【今週のまとめ】
現在の長期金利の上昇は近く一巡するので、
売り叩かれている「ハイパー・グロース株」に妙味が
最近の長期金利の上昇で、ハイパー・グロース株の一角が大きく売られています。しかし、長期金利の上昇は近く一巡すると思われるので、その場合、安値で売り叩かれているハイパー・グロース株が見直されると思います。今のうちにチェックしておきましょう。
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