「お宝銘柄」発掘術!

「水資源」関連銘柄は、世界的な半導体不足にも関係する注目の投資テーマ!「東レ」「日立造船」など、海水淡水化プラントのメーカーを中心に6銘柄を紹介

2021年4月23日公開(2022年6月30日更新)
村瀬 智一
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 台湾が深刻な干ばつに見舞われています。もともと台湾は河川の配置などの関係から、利水の面で地形的にあまり望ましい国土ではありません。そんな台湾では、水資源として台風が大きな役割を果たしているのですが、2020年は台風が一度も台湾に上陸しませんでした(「通過」と「上陸」は異なります)。その結果、現在の台湾は、過去50年で最も深刻な干ばつが続いているのです

 台湾政府は、2月に一部地域で給水制限を実施していましたが、さらに最悪の事態に備え、4月に入って100万以上の企業や住民を対象に給水制限を開始しました。

世界の半導体の不足の解決につながる「水資源」関連銘柄に注目!
海水淡水化プラントのメーカーなどをピックアップ

 そんな水不足の影響で不安視されているのが、半導体の製造です。台湾は、半導体製造の世界最大手であるTSMC(台湾積体電路製造)を筆頭に、世界の半導体生産能力の6割超を占めています。半導体の生産工程では、ウエハーの清掃や洗浄に大量の水が使われるため、台湾の水不足がこれ以上悪化すると半導体製造工場が操業停止に追い込まれる可能性もあります

 ご存知の通り、現在、世界的に半導体が供給不足となっており、世界の自動車メーカーの多くも「半導体を確保できない」という理由で減産を余儀なくされている状況です。

 半導体は、需要が高まったからといってすぐさま増産できるわけではなく、設備増強などが必要なため、実際に供給が増加するまでにタイムラグが生じます。例えば、東京エレクトロン(8035)は、半導体製造装置の市場拡大が継続しているとして、1月下旬に2021年3月期の業績予想を上方修正しましたが、受注から売り上げまでのタイムラグを考慮し、2022年の上期までは強い需要に支えられると見込んでいます。

 そんな中、今後、台湾で水不足が深刻化して半導体製造がストップしかねない状況は、世界の半導体不足に「水資源不足」という新たな不安材料が出現したと言えるでしょう

 そこで今回は、この台湾の干ばつに対応する動きを想定し、海水淡水化など「水資源」関連の銘柄に注目しました。具体的な銘柄としては、海水淡水化プラントを手掛けている企業のほか、超純水製造装置やろ過膜の一種である逆浸透膜などのフィルターを手掛けている銘柄を取り上げています。

【日立造船(7004)】
日本や中東を中心に、海水淡水化プラント建設で多くの実績を誇る

 日立造船(7004)は、1971年に海水淡水化プラントの1号機を建設して以来、日本や中東を中心に海水淡水化プラントの建設で多くの実績を誇っています。淡水化に必要なエネルギーが最も少ない「逆浸透膜法」や、多数の運転実績があり大型施設に適している「多段フラッシュ法」、さらに「逆浸透膜法」に比べて約40%の省電力となる「多重効用法」など、海水淡水化に関する数多くの技術を有しています。

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日立造船(7004)チャート/日足・6カ月日立造船(7004)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【酉島製作所(6363)】
海水淡水化プラントに欠かせない「ポンプ」を製造

 酉島製作所(6363)は、海水を汲み上げたり、その海水をろ過する膜に超高圧で送ったりなど、海水淡水化プラントにおいて重要な役割を果たすポンプを製造する企業です。「海水取水ポンプ」や「浸透水ポンプ」「高圧海水供給ポンプ」「海水供給ポンプ」「送水ポンプ」など、さまざまなポンプを手掛けています。

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酉島製作所(6363)チャート/日足・6カ月酉島製作所(6363)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【東レ(3402)】
バーレーン王国とアラブ首長国連邦で逆浸透膜を受注

 東レ(3402)は、逆浸透膜を使って海水から塩分を除去し、飲料水や工業用水を製造する海水淡水化プラントの設計から製作、販売までを行っています。2020年にはバーレーン王国とアラブ首長国連邦で、海水淡水化プラント向け逆浸透膜の安定稼働実績が評価され、受注に至りました。

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東レ(3402)チャート/日足・6カ月東レ(3402)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【日東電工(6988)】
逆浸透膜に使われるメンブレンテクノロジーに早くから取り組む

 日東電工(6988)は、海水を高効率で真水に変換できる逆浸透膜を手掛けています。逆浸透膜に使われるメンブレン(高分子分離膜)テクノロジーに関しては、早くから積極的に取り組んできた企業です。分子設計技術や高分子合成技術、製膜技術、膜モジュール化技術、さらにシステム設計技術など、複数の技術をクロスオーバーさせながら、膜分離技術を発展させています。

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日東電工(6988)チャート/日足・6カ月日東電工(6988)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【オルガノ(6368)】
水処理のトータルエンジニアリング企業

 オルガノ(6368)は、水処理のトータルエンジニアリング企業で、超純水製造システムのほか、機能水製造システムなどを手掛けています。半導体や電子部品の洗浄に用いられる超純水は、電子技術の進歩とともに、今や「超超純水」と呼ばれるほど高い純度が要求されます。そんな超純水の製造には、極微量の不純物を分析する技術が必要となることから、オルガノでは分析技術も同時に開発しています。

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オルガノ(6368)チャート/日足・6カ月オルガノ(6368)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【野村マイクロ・サイエンス(6254)】
純水製造装置「ノムラックス」を手掛ける

 野村マイクロ・サイエンス(6254)は、電子産業用洗浄水や液晶基板洗浄水、半導体基板洗浄水などに使える水を製造する設備として、電気再生式イオン交換装置(EDI)を中枢部に備えた工場量産型の純水製造装置「ノムラックス」を手掛けています。設備はすべて野村マイクロ・サイエンスの工場で一環生産されており、ユニット型のため増設や移設が容易に行えるのが特徴のひとつです。

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チャート/日足・6カ月チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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ササクラ(6303)】
多段フラッシュ型の技術をもとに各種装置を手掛ける

 ササクラ(6303)は、海水淡水化装置の専門メーカーです。多段フラッシュ型海水淡水化装置の技術をもとに、大型から小型までの各種装置や逆浸透式の淡水化装置を手掛けています。なお、陸上用の海水淡水化装置の他にも船舶用の造水装置も扱っています。

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【東洋紡(3101)】
世界で初めて一段法海水淡水化モジュールを製造

 東洋紡(3101)は、1970年代に世界で初めて、中空糸膜による逆浸透の原理を利用した海水淡水化装置の心臓部となるモジュール「ホロセップ」を開発しました。東洋紡グループが製造する中空糸型逆浸透膜は、1日あたり約160万トン、約640万人分の1日の使用量に相当する真水をつくり出します。

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 今回は、台湾の干ばつをきっかけとして、半導体の生産に欠かせない「水資源」の関連銘柄に注目しました。

 なお、台湾の干ばつや半導体の供給不足とは別に、中東地域では慢性的に水不足であり、世界的にも「水資源」ビジネスに対する関心が高まっています。その辺りを踏まえ、「水資源」関連銘柄に関しては、今後、長い目で注目しておくといいでしょう。
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