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さいたま市にある造幣局の支局で6月21日、11月の発行に向けて新500円硬貨の製造を始める打ち初め式が行われました。500円硬貨は1982年に初めて発行されましたが、デザインと仕様の変更は21年ぶりとなります。現在使用されている「ニッケル黄銅」という素材に加えて「白銅」と「銅」を使って2色3層構造としたほか、縁のギザギザの一部で幅や形を変えるなど、偽造防止のために最先端の技術を取り入れているそうです。
現在はキャッシュレス化の流れもあり、貨幣の流通枚数は減っています。日本銀行が発表している「決済動向」によると、2018年は5兆4790億円だった電子マネーの決済金額は、2019年は5兆7506億円、2020年は6兆342億円と年5%程度の伸びを見せています。さらにデビットカード決済では、2018年が1兆4131億円、2019年が1兆8287億円、2020年が2兆2665億円と、年20%を超える成長が続いています。こうした状況を見れば、1円や5円などの少額貨幣の流通枚数が減少していることも納得が行くでしょう。
しかし、500円硬貨に限っては流通枚数が増えています。これはデフレによって社会に「ワンコインランチ」など500円以下の商品が増加したことで紙幣のお釣りとして500円硬貨の利用頻度が高まっていることや、「500円玉貯金」の人気化などによるニーズがあるとの見方がされているようです。
2021年11月に発行される新500円硬貨に対応するため、
全国400万台以上の自販機でシステム改修が必要に!
今回の新500円硬貨は2021年11月に発行される予定ですが、当初、財務省では2021年度の上半期(4〜9月)の発行を予定していました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、ATMや駅の券売機、自動販売機などの改修作業に遅れが出たため、発行時期を延期していました。
日本自動販売システム機械工業会のデータによると、2020年12月末時点で飲料自動販売機が228万4600台、たばこ自動販売機が12万3000台、乗車券や食券などの券類自動販売機が6万1100台、両替機やロッカーといった自動サービス機が129万8100台など、自動販売機全体の普及台数は404万5800台にも上ります。さらに、ATMや両替機といった自動販売機以外のものを含めると、500円硬貨が利用できる機器の数は膨大なものになるでしょう。
新500円硬貨はサイズこそ従来と変わりませんが、重さは7.0gから7.1gに増えているほか、新たな偽造防止措置を施していることから、自動販売機で正常に認識させるためにはシステム改修が必要となります。しかし、そのためには上記の規模の台数に対して作業員が実際に出向いて改修作業を行う必要があり、緊急事態宣言に伴う移動制限などにより、これまで作業が進んでいなかったようです。
今後は11月に向けて自動販売機のシステム改修を進めていくほか、新たな機器の設置も増えてくることが考えられます。そこで今回は、「新500円硬貨」に関連する銘柄として、自動販売機やATM、両替機器などを手掛けている企業に注目しました。
延期されていた新500円硬貨の製造が始まったことにより、関連する企業では、これまで業績に織り込めなかった需要を反映させることができるようになるため、業績予想の上振れが期待できます。
【富士電機(6504)】
缶・PET自動販売機やカップ自動販売機で国内トップシェア
富士電機(6504)は、パワー半導体とパワーエレクトロニクス技術をコアとした、エネルギーの安定供給や安定化に向けた「パワエレシステム エネルギー」が売上高の過半数を占めています。その一方、売上高の10%超ではあるものの自動販売機を含む食品流通事業も手掛けており、缶・PET自動販売機とカップ自動販売機では2019年度実績で国内トップシェアを誇ります。そのため今回のシステム改修に伴う需要も大きいでしょう。
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【芝浦メカトロニクス(6590)】
グループ会社が自販機の開発・製造・販売・メンテナンスを手掛ける
芝浦メカトロニクス(6590)はグループ企業である芝浦自販機が、券売機や汎用自販機など各種自動販売機の開発から製造、販売、メンテナンスまでを手掛けています。また、SuicaやEdyなどの各種電子マネーやクレジットカード、QRコード決済などが利用できる複合決済対応機も提供しており、「キャッシュレス決済」関連銘柄としての一面も持っています。
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【沖電気工業(6703)】
ファミリーマート設置の「ゆうちょ銀行ATM」を納入
沖電気工業(6703)は、金融機関向けの総合現金管理ソリューションから、ドラッグストアや飲食店などのレジで利用する硬貨紙幣つり銭機、コンビニなどの狭い場所への設置に対応した省スペース型ATMまで幅広く展開。導入事例としては、ファミリーマートに設置される「ゆうちょ銀行ATM」も手掛けています。
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【日立製作所(6501)】
グループ子会社がATM関連機器や現金両替機を展開
日立製作所(6501)は、グループ企業の日立オムロンターミナルソリューションズが、現金自動取引装置や自動通帳繰越機などのATM関連機器、現金両替機、売上金入金機などを手掛けています。ちなみに日立オムロンターミナルソリューションズは、もともと日立製作所とオムロン(6645)の金融機関向け自動機器分野が合弁してできた企業ですが、2021年3月に合併を解消し、現在は日立製作所の完全子会社となっています。
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【富士通(6702)】
子会社がATMに関わるトータルサービスを提供
富士通(6702)は傘下の富士通フロンテックが、ATMのハード・ソフトの製造開発やATM監視・警送運用など、ATMに関わるサービスをトータルで提供しています。「本体アウトソーシングサービス」では、ATM本体と保守サービスをサブスクリプションの形で提供することで、初期投資の抑制などを実現。また「監視アウトソーシングサービス」では、ATM共同監視センターからの一括監視により、24時間365日の対応を実施しています。
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【日本金銭機械(6418)】
貨幣処理機器や金融関係機器などを手掛ける
日本金銭機械(6418)は、カジノやATM、券売機、自動販売機、各種キオスク端末機などをターゲットに、貨幣処理機器や金融関係機器などの開発・製造を行っています。例えば、硬貨還流装置は、混合硬貨一括投入機能や高性能硬貨センサーの採用により、高速処理を実現。紙幣鑑別機では、米ドルからユーロ、中国元、韓国ウォンまで、各国の通貨に対応します。
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【高見沢サイバネティックス(6424)】
駅前などに設置される駐輪場管理システムを展開
高見沢サイバネティックス(6424)は、券売機や精算機、定期券発売機などのほか、ホームドアや昇降式ホーム柵といった交通機器製品を幅広く展開しています。駐輪場管理システムも手掛けており、駅前などに数多く設置されていることから精算機のシステム改修の需要は高いと思われます。
⇒高見沢サイバネティックス(6424)の最新の株価はこちら!
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【グローリー(6457)】
「認識・識別技術」と「メカトロ技術」が強み
グローリー(6457)は、認識・識別技術とメカトロ技術をコアに、自動両替機や紙幣硬貨入出金機、つり銭機、さらにはコインロッカーや券売機などを手掛けています。導入先も、金融機関から交通機関、病院・薬局、レジャー施設、飲食店まで、幅広く展開しています。
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以上、今回は「新500円硬貨」関連の銘柄を紹介しました。取り上げた銘柄は、今回の新500円硬貨に限らず、新貨幣が登場する局面で物色される傾向がある企業なので、銘柄リストとして保存しておくといいでしょう。
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