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先週末9月24日の日経平均株価は、前日比609.41円高の3万248.81円と3日ぶりに大幅反発し、3万円の大台を回復しました。終値で3万円台に乗せるのは9月17日以来、1週間ぶりのことでした。FOMC(連邦公開市場委員会)を受けて米国株が堅調に推移したことに加え、中国の恒大集団の債務問題に対する懸念がいったん後退したことで、買い戻しが加速した結果です。
その後も日経平均株価は3万円を割ることなく推移し、9月28日は前日比56.10円安の3万183.96円でした。
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米国市場では長期金利の上昇や新型コロナ感染者の減少などを受け、
「金融株」や「アフターコロナ関連株」「景気敏感株」が堅調に推移
9月21日~22日にかけて開かれたFOMCのドットチャート(FOMCメンバーによる金利予想の分布図)では、利上げ開始の時期が2022年に前倒しされました。また、FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は、テーパリング開始決定について「早ければ11月の会合で委員会が条件に達したと決断するだろう」と述べました。
その一方、「資産購入縮小の時期とペースは、より厳格なテストに従って判断する利上げ時期についての直接的なシグナルではない」と述べ、利上げには慎重に臨む姿勢を改めて強調しました。このハト派的な議長発言を、米国の株式市場は好感しました。
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ただし、株式市場の好反応とは対象的に、9月22日のFOMCの翌日以降、長期金利の上昇トレンドが続いています。27日の米国10年物国債利回りは、前週末比0.03%高の1.48%で、朝方には一時1.51%と6月後半以来、3カ月ぶりの水準まで上昇する場面もありました。この日は、8月の耐久財受注が前月から1.8%増え、市場予想の「0.6%増程度」を大きく上回ったことが、債券の売り材料になったようです。
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また、9月27日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物における期近の11月物は前週末比1.47ドル高の1バレル75.45ドルで、一時は75.75ドルと7月上旬以来の高値をつける場面もありました。
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WTI原油先物の値上がりの主因は、新型コロナウイルスの感染者数が減少する傾向にあって原油需要が強まる見通しにもかかわらず、8月下旬に米国の南部に上陸したハリケーン「アイダ」の被害を受けたメキシコ湾岸の製油所がまだ全面再開していないため、需給関係がタイトになっていることが挙げられます。
このような状況を受け、ゴールドマン・サックスは9月26日、3カ月先のWTI原油の価格見通しを従来の77ドルから87ドルに引き上げました。
「長期金利上昇」や「新型コロナ感染者減少」「景気回復期待の高まり」「原油先物高」を受け、米国の株式市場では、利ざや拡大期待で「金融株」が、感染者減少&経済正常化期待で「アフターコロナ関連」「景気敏感株」が、そして原油先物高で「資源・エネルギー関連株」が堅調です。
一方、長期金利が上昇するとPERなどで相対的な割高感が意識されやすい「ハイテク株」などのグロース株が売られています。
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国内でも、緊急事態宣言の全面解除が了承されたことで、
「アフターコロナ関連株」「景気敏感株」などが物色の中心に
日本では、政府が9月28日、現在19都道府県に発令中の「緊急事態宣言」や8県に出されている「まん延防止等重点措置」を30日をもって全面解除することを決定しました。飲食などの制限も段階的に解除されるとのことです。
このように、日本も米国同様、感染者数の減少による経済正常化への期待を抱ける状況になっています。したがって、東京株式市場でも「アフターコロナ関連株・景気敏感株」や「資源・エネルギー関連株」が物色の中心になるでしょう。
逆に、米国のグロース株安の影響で「高PERのハイテク株」は物色の蚊帳の外に置かれる見通しです。
中国・恒大集団の経営危機や深刻な電力不足により、
中国の経済成長が鈍化する「チャイナ・リスク」に注意!
一方、当面は「チャイナ・リスク」を意識しておく必要がありそうです。「リーマン・ショック」のような金融危機の発生リスクではなく、中国の経済成長が鈍化するリスクです。
というのは、中国不動産大手・恒大集団の経営危機が、別の同業大手にも資金難という形で飛び火している可能性が高いからです。中国のニュースサイト「証券時報網」の9月27日までの報道によれば、資金繰りに支障をきたし始めているのは同業大手の融創中国とのことです。
ただし、中国当局もこの手の問題には神経質になっており、一部に報道規制と見られる動きまで出ているそうです。実際、融創中国に関する証券時報網のニュースも、すでにインターネット上から削除されたとのことです。
習近平総書記は、8月17日に開催された中央財経委員会会議で、「中国は、以前の『先に豊かになれる者や地域を富ませることを認める(先富論)』から『全国民の共同富裕を促進するへ(共同富裕論)』へと変換する。これは2つ目の百年目標だ」と宣言しました。
中国当局は、これまでにも不動産市場の行き過ぎを抑制する政策を推し進めてきました。例えば、「灰色のサイ」と呼ばれる債務問題の深刻化を警戒し、2020年8月には「資産負債比率が70%超」「純負債資本倍率が100%超」「短期債務倍率が100%を割り込む」という「三条紅線(3つのレッドライン)」を示して不動産業者の債務増加を抑制し始めました。これは、2021年1月1日から実施され、2023年6月までに対象企業の負債を削減することを目標としています。
さらに、中国人民銀行(中央銀行)は2020年12月31日、不動産への過剰融資リスクの軽減に向け、銀行に融資上限を設定する新たな規制を公表しました。総融資残高に対する不動産融資と住宅ローンの割合に上限を設けたのです。
現時点では、中国の不動産市場は当局のコントロール下にあり、日本のバブル崩壊のような深刻な調整が起こる状況にはないので、ソフトランディングが可能だと見ています。しかし、不動産価格の上昇ピッチの鈍化や不動産開発投資の減少は、ボディーブローのように中国の景気に響いてくる可能性があることは意識しておくべきでしょう。
また、中国当局が環境対策として石炭を主燃料とする火力発電所の発電抑制に動いたことが要因で深刻な電力不足が起きており、全国の約3分の2の地域で電力供給が制限されたそうです。アップル(AAPL)やテスラ(TSLA)向け部品を生産している台湾企業の工場が操業を停止しており、日系企業にも影響が出始めているそうです。
習近平国家主席は「2030年までに二酸化炭素の排出量をピークアウトさせ、60年までに実質ゼロにする」との目標を掲げています。この急激な電力政策の変更も、今後、激変緩和措置など何らかの対策を講じない限り、中長期的に製造業に悪影響を与えそうです。
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日経平均株価の見通しは引き続き「強気一択」だが、
米国の長期金利上昇が逆風になる「グロース株」は避けよう
当面の日経平均株価に関しては、25日移動平均線(28日前場現在2万9321.74円)と25日移動平均ベースのボリンジャーバンドプラス1σ(28日前場現在3万420.03円)との間を推移する「バンドウォーク」がメインシナリオです。
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なお、日経平均株価が25日移動平均線を割り込むまで、日本株については「強気一択」との見方は不変です。ただし、足元で「チャイナ・リスク」が高まってきたため、「次期衆院選の投開票日までは積極的な市場参加が報われる可能性が高い」との見通しは「中国発の悪材料が飛び出したら、相場の大幅調整がありえる」に変更します。
個別の物色に関しては、米国の長期金利の上昇が逆風になるグロース株は避けましょう。また、中国経済の成長鈍化が業績にマイナス寄与する銘柄群も避けるべきです。それら以外の銘柄群の中から、新型コロナ感染者数の減少による日本経済の正常化が業績にプラス寄与する銘柄が狙い目となります。
同時に、これまで以上に「中国発のニュースヘッドライン」に注意を払いましょう。そして「ネガティブなニュース」が出たら、買いポジションを躊躇なく手仕舞い、“脱兎の如く”株式市場から逃げ出しましょう。当面の運用に関しては、くれぐれもリスク管理を厳格にしてください。
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