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トンガ沖で起きた海底火山の大噴火により、
冷夏を原因とした食糧不足への警戒感が高まる
トンガ沖の海底火山「フンガトンガ・フンガハーパイ」で、日本時間の1月15日午後1時ごろ、大規模な噴火が発生しました。火山噴火の規模を示す世界共通指標の「火山爆発指数(VEI、0~8の9段階)」は6相当で、1991年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火以来の規模だったようです。
この大規模な噴火を受け、気象庁は1月16日にかけて日本の太平洋沿岸の広範囲に津波警報・注意報を出しました。実際、トンガ沖から約8000キロ離れた日本においても潮位の上昇や川が逆流する現象が見られ、高知県の漁港では引き潮に伴う漁船の転覆といった被害も報告されました。
こういった大きな自然災害が発生すると、株式市場では防災や減災に絡んだ銘柄に関心が集まりやすくなります。また、今回の噴火は1991年以来の爆発規模だったことから、市場関係者の間では、噴煙が成層圏に達して日光が遮られることで不作となり、穀物相場へ影響が出るのではないかと警戒視する見方が出ています。
東北大学名誉教授の近藤純正氏が1994年に日本気象学会に提出した論文によると、「過去300年間を調べてみると、東北地方では冷夏による大凶作は、世界的な大規模火山噴火の直後とその翌年に起こることが多い」とのことです。1913年以来、80年ぶりの規模となった1993年の冷夏についても、前述したピナツボ火山の大噴火による影響と見られています。
そのため、今回のトンガ沖の火山噴火でも、詳細な状況や影響が明らかになるにつれ、冷夏やそれに伴う食糧不足への警戒感が高まってくる可能性がありますので、今の段階から関連銘柄を確認しておくといいでしょう。
「食品卸」「冷凍食品」「業務スーパー」などの関連銘柄のなかから、
バリュエーション面やテクニカル面で妙味のある銘柄をピックアップ!
1993年の冷夏のときを参考に、「冷夏」で市場の話題となりそうな分野としては、まず「食品卸」関連が挙げられます。具体的には、三菱食品(7451)、加藤産業(9869)、伊藤忠食品(2692)、ヤマエグループホールディングス(7130)などが注目されそうです。
また、1993年は深刻なコメ不足となりタイから輸入米が入ってきましたが、日本人の食卓にはなかなか合わなかったことが記憶に残っています。そのため「株主優待でお米をもらえる」企業が注目されました。例えば、1月決算企業では、丸千代山岡家(3399)、2月決算でDDホ-ルディングス(3073)、ウエルシアホールディングス(3141)、イオンファンタジー(4343)、東京個別指導学院(4745)、エコス(7520)、ベルク(9974)、ヤマザワ(9993)、3月決算企業では、キャリアデザインセンター(2410)、オーシャンシステム(3096)、東洋合成工業(4970)、サカイ引越センター(9039)、丸三証券(8613)などが挙げられます。
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その他、「冷凍食品」関連としてニチレイ(2871)、東洋水産(2875)、日本水産(1332)など、「パン・小麦」関連として昭和産業(2004)、ニップン(2001)などが注目を集めそうです。
また、安い食材を求める流れから「食品スーパー」関連として神戸物産(3038)、G-7ホールディングス(7508)、マキヤ(9890)などが人気化する可能性があります。
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今回は、こうした「冷夏」関連銘柄のなかから、業績などのバリュエーション面やテクニカル面から妙味のある銘柄を選定しました。
【三菱食品(7451)】
食品卸業界のトップ企業で、成長市場への取り組みを積極的に行う
三菱食品(7451)は食品卸業界のトップ企業で、生活者のライフスタイルに基づく購買実態分析を行うことで、独自のライフスタイルマーケティングを展開しています。また、水産売場への新たな提案や業務用食材サービス「RYQUE(リクエ)」、さらには「EC対応」など、成長市場への取り組みを積極的に行っています。株価は、2021年12月1日につけた安値2656円を底値に緩やかなリバウンドが継続。また、PBRは0.7倍台と割安感があります。
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【エコス(7520)】
100株以上の保有で株主優待として「コシヒカリ2キロ」を贈呈
エコス(7520)は、食品スーパーマーケットチェーンです。株主優待制度として、保有株数が100~999株でコシヒカリを2キロ、1000~9999株で4キロ、1万株以上で8キロを贈呈しています。2022年2月期の営業利益は2ケタ減益を見込んでいますが、第3四半期の営業利益の進捗率は88.2%と順調なので、上振れに期待したいところです。株価は足元で上昇トレンドを強めており、1月12日には2021年9月の高値2037円をクリアしました。直近では調整の動きも見せているので、75日移動平均線水準での押し目狙いのスタンスがおすすめです。
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【日本水産(1332)】
第2四半期の営業利益の進捗率が56.3%と順調
日本水産(1332)は大手水産会社です。2022年3月期の営業利益として前期比35.5%増の245億円を見込んでいますが、第2四半期の営業利益の進捗率は56.3%と順調です。PBRが0.9倍と1倍を下回っているため、割安感が意識されます。株価は2021年10月14日につけた高値689円を天井に下落しましたが、12月14日の安値521円を底値に緩やかなリバウンドを見せてきています。直近では市場全体の地合いの影響で値下がりしていますが、ここから上昇トレンドへの転換に期待したいところです。
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【昭和産業(2004)】
ホットケーキミックスなど家庭向け製品が好調
昭和産業(2004)は、小麦、大豆、菜種、トウモロコシという4つの穀物を国内食品メーカーの中で唯一取り扱っている企業で、それらを小麦粉やプレミックス、植物油、糖化製品、配合飼料などに加工・販売しています。新型コロナウイルスの影響から飲食店向け製品は苦戦していましたが、家庭向けの小麦粉、お好み焼粉やホットケーキミックスなどのプレミックス、パスタなどの販売については好調です。株価は下落トレンドが続いているものの、PBRは0.8倍台と割安感が意識されやすく、2600円水準での押し目狙いがおすすめです。
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【神戸物産(3038)】
「業務スーパー」関連の中核的な銘柄
神戸物産(3038)は、「業務スーパー」関連の中核的な銘柄になります。冷夏により食料品の価格が高騰し、安価な商品の購買意欲が高まることが見込まれます。株価は4500円が上値抵抗線として意識され、足元で調整を見せています。2021年12月15日につけた直近安値の3665円を下回ってきたことから、10月4日の安値3510円を下値抵抗線とした押し目狙いがいいでしょう。
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以上、今回はトンガ沖で起きた火山噴火の影響で注目が集まりそうな「冷夏」関連銘柄を発掘しました。
「冷夏」関連としては、ここまでに挙げたほかにも、屋内施設でのレジャー需要なども高まる可能性があります。「冷夏」に関連しそうなセクターや銘柄は幅広いので、自分なりに探してみるといいでしょう。
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