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このところ食品価格を値上げする動きが目立っています。
その背景には、コロナ禍で落ち込んだ経済活動の正常化が進んだことで、中国をはじめとする世界的な需要の拡大によって小麦粉や食用油、牛肉などの原材料の価格が高騰していることに加え、原油相場の上昇によって物流コストも上昇していることが挙げられます。これまでは価格を据え置き、容量を減らすといった形で対応していた企業も多かったのですが、それでは対応しきれないほど原材料や物流コストが高騰しているのです。
吉野家、松屋などの大手牛丼チェーンに加え、
ニチレイ、味の素などの冷凍食品も相次いで値上げを発表
例えば、吉野家ホールディングス(9861)は10月29日、牛丼チェーン「吉野家」で主力商品の牛丼を7年ぶりに値上げしました。また、競合の松屋フーズホールディングス(9887)も9月28日、「松屋」の「牛めし」の価格を引き上げました。
値上げの波は冷凍食品にも及んでいます。冷凍食品は、コロナ禍において中食需要を背景に好調が続いていますが、ニチレイ(2871)は11月納品分から、家庭用で約4~8%、業務用で約3~10%、出荷価格を値上げすることを決定。味の素(2802)は11月30日、タイで製造している鶏肉冷凍食品について、家庭用を2022年2月から約6~10%、業務用を3月から約6〜8%引き上げることを発表しました。同様に、マルハニチロ(1333)も11月30日、2022年2月から家庭用冷凍食品の一部商品の値上げを発表。調理品で約2〜10%、農産品で約5〜23%の値上げとなるようです。
さらに、正月料理に欠かせない魚介類も価格の高騰が目立っており、軒並み2割から4割ほど値上がりしていると報じられています。スケソウダラのすり身の価格も前年から10%程度上昇しているようで、かまぼこや竹輪、さつま揚げなど、おでんに欠かせない練り物などにも影響が出ています。
食品価格の高騰による低価格帯商品の需要増加を見込み、
食品スーパーや業務用スーパーの関連銘柄に注目!
このように食品の値上げが続くことで、より低価格帯の製品やお得感のある商品を求める消費者のニーズは高まると考えられます。そこで今回は「食品スーパー」に関連する銘柄に注目しました。
足元では、南アフリカで発見された新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)の感染拡大が警戒されていますが、状況次第では「巣ごもり消費」に関連した銘柄として再度物色対象として注目される可能性もありそうです。
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銘柄選定では、食品スーパーや業務用スーパー、総合スーパーなどに関連する銘柄のなかから、今期の予想売上高が500億円以上で、増収率がプラスの銘柄をピックアップしました。
【神戸物産(3038)】
10月の月次業績が6カ月連続で前年同月を上回る
神戸物産(3038)は、業務用食品スーパー「業務スーパー」を運営しています。国内に食品加工工場を23拠点所有しており、直接仕入れにより中間業者をカットするなどしてローコスト運営を実現。また、世界中に350を超える協力工場を持ち、本場の商品を直輸入することで、低価格での販売を実現しています。10月の月次業績では、売上高が前年同月比14.8%増の337億円と6カ月連続で前年同月を上回っており、株価も足元で25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが継続しています。
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【ハローズ(2742)】
中国、四国、近畿地方の6県で食品スーパーを展開
ハローズ(2742)は、中国、四国、近畿地方6県の主要都市に店舗を展開する食品スーパーです。2022年2月期の上期業績は、売上高が前年同期比5.5%増の808.80億円、営業利益が同3.7%増の40.20億円でした。新型コロナウイルスの影響で中食需要が増えるなか、2021年4月から7月にかけ、広島県内に3店舗を出店して売り上げを伸ばした効果が出たようです。株価は下落トレンドを続いているので、“底打ち”を見極めたいところです。
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【アークス(9948)】
最短5時間で配達するオンライン特化のスーパーをオープン
アークス(9948)は、北海道および東北地方のグループ各社とともに、地域に密着したスーパーマーケットを展開しています。2021年10月に、グループの中核企業であるラルズが、オンラインに特化したスーパーマーケット「アークス オンラインショップ」をオープン。インターネットで注文すると、最短5時間で自宅に配送してくれるほか、実店舗の駐車場で車に乗ったまま商品を受け取ることも可能となっています。株価は弱い値動きが続いており、ひとまず2000円割れ水準での押し目狙いが意識されます。
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【スーパーバリュー(3094)】
都市型スーパーセンターなどを首都圏で展開
スーパーバリュー(3094)は、従来型の食品スーパーに加え、食品スーパーとホームセンターを融合した都市型スーパーセンターを首都圏で展開しています。2022年2月期の上期業績は、巣ごもり消費の減少や消費者の節約志向、さらには前年の特需の反動から、生活必需品などが営業赤字でした。今期は増収減益を見込んでいますが、株価は足元で年初来安値を割り込んで来ました。すでにPERは6倍台に低下しているため、押し目狙いのスタンスになります。
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【エコス(7520)】
茨城、東京を主力とする食品スーパーチェーン
エコス(7520)は、茨城や東京を主力とする食品スーパーチェーンです。ポイントカードを活用した販売促進や週間の販売計画に連動した売場づくり、自社電子マネーの導入による顧客利便性の向上などで、集客の拡大に努めています。2022年2月期の上期業績は増収減益で、株価は年初来安値の水準で推移しています。こちらもPERが6倍程度なので、押し目を狙いたいところです。
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【大黒天物産(2791)】
PB(プライベートブランド)商品「D-PRICE」の開発に注力
大黒天物産(2791)は、複合型メガディスカウントランド「ラ・ムー」やコンビニスタイルのミニスーパー「ら・む〜マート」、100円均一ショップと生鮮食料品スーパーが一体となった「バリュー100」などを運営しています。プライベートブランド「D-PRICE」に力を入れており、徹底した市場調査をもとに商品を開発しています。2022年5月期の第1四半期における営業利益は2割減益でしたが、期初計画に対する進捗率は計画通りです。株価は足元で下落が続いており、7月20日につけた安値5980円に接近。底入れを想定した押し目狙いのスタンスになります。
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以上、今回は「食品スーパー」関連銘柄を発掘しました。
なお、原油相場については、11月24日に米国や日本など協調して石油備蓄の放出を決定したことや、オミクロン株の感染拡大懸念の影響により、いったんは落ち着きを見せています。しかし、今回の石油備蓄放出によって、OPECプラスが供給拡大を停止してくるとの見方もあり、原油価格の上昇による物流コストの増加については、一気に改善することはなさそうです。
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「食品スーパー」関連銘柄は、株価の弱い動きが目立つものの、生活防衛の観点からも注目されやすいとので、きちんとチェックしておくといいでしょう。
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