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今、米国株が下げている本当の理由は、
サプライチェーンの乱れから来るインフレ問題!
9月以降、米国株が下げていますが、その理由としては中国の恒大集団がデフォルトしそうなこと、連邦債務上限の引き上げ問題が解決してないこと、年内にテーパリングが開始されそうなことなどが指摘されています。
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NYダウチャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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しかし、投資の現場で一番問題視されているのは、このところ利益警告(業績の下降修正)を出す会社が続出している点です。その要因として多くの企業が挙げているが、サプライチェーンが乱れて原材料や商品が届かず、そのためにインフレ圧力を生じ、企業のマージン(利ざや)が圧迫されている問題です。
具体的には、ベット・バス&ビヨンド(ティッカーシンボル:BBBY)やシャーウィン・ウイリアムズ(SHW)、ミラーノール(旧ハーマン・ミラー、MLHR)などの企業が、サプライチェーンの乱れから来るインフレ問題に言及しています。
今日はこの問題にフォーカスしたいと思います。
ベトナムの工場閉鎖やコンテナ・コストの高騰など、
サプライチェーンの乱れは複合的な原因から発生!
サプライチェーンの乱れが発生している原因はひとつではありません。複数の小さな問題が重なった結果、サプライチェーンに大きなボトルネックが生じていると理解すべきです。
例えば、ベトナムでは今夏から新型コロナウイルス感染症が蔓延しており、7月以降、外出禁止令が出され、工場も閉鎖された状態が続いています。米国企業は、中国への依存度を下げるために商品の発注先を中国以外のアジア諸国に分散しはじめていたのですが、その矢先にベトナムの工場が閉鎖されてしまい、出鼻を挫かれた格好になっています。
また、米国では、経済再開が進むにつれてトラック運転手が不足しはじめました。さらに、港湾作業も遅延気味です。ロスアンゼルスの南に位置するロングビーチ港は米国の代表的なコンテナ港ですが、新型コロナウイルスの影響で荷物の積み下ろし作業が遅延。沖待ちのコンテナ船は、普段なら1〜2隻しか居ないのですが、今は70隻を超える船が沖合で順番待ちをしています。その結果、中国から米国・西海岸へのコンテナ・コストは、2020年5月に1600ドルだったのが2021年9月には1万9200ドルまで跳ね上がっています。
今、アメリカでインフレが酷くなっている理由のひとつは、このようなサプライチェーンの乱れから来る「コスト・プッシュ・インフレ」だと言われています。
これからクリスマス商戦の期間に入りますが、その大事な時期にサプライチェーンの乱れによって商品が思うように届かないということで、浮足立つ小売業者も増えています。
世界的なエネルギー不足もインフレに拍車!
長期金利が上昇し、株式市場にとってネガティブ要因に
企業が利益警告(業績の下降修正)を出す要因としては、世界的なエネルギー不足の問題も挙げられます。こちらも、サプライチェーン問題と同じく、複数の小さな問題が重なることで全体として大きな問題に発展しています。
例えば、中国政府は、地球温暖化ガスの発生を抑制するために石炭による発電量を抑えているのですが、そのことが液化天然ガス(LNG)の需要を増やし、価格を上昇させる要因となっています。
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また、英国では例年より風が吹かずに風力発電の発電量が落ち込んいますが、それによって電力不足が生じ、欧州でもLNG価格が急騰しています。
一方、米国では、シェール革命で天然ガスや原油の生産量が飛躍的に伸びたことで、慢性的なダブつきの問題が生じていましたが、近年ようやくLNGの輸出施設が整備され、アメリカで余った天然ガスが輸出市場に回されるようになりました。これは、米国における天然ガスの需給関係が引き締まることを意味し、実際に天然ガス価格は上昇基調にあります。
バイデン政権はシェール開発に消極的なので、当面、天然ガスの生産量はあまり伸びないと思います。このことは、既存業者が天然ガスの価格上昇の恩恵をこうむることを意味します。
エネルギー価格の上昇はインフレを促進し、長期金利が上昇する要因となります。そして長期金利の上昇は、株式バリュエーションにとってネガティブ要因です。
企業業績の圧迫や長期金利の上昇など、株式市場に逆風が吹くなか
あえて投資をするのであれば「天然ガス関連銘柄」へ
今は企業業績が圧迫されていることに加え、長期金利の上昇も逆風となっており、株式投資を有利に進められる環境ではありません。この状況であえて投資するとすれば、天然ガス関連株くらいしか買えるものはないと思います。
天然ガスの生産量としては、EQT(ティッカーシンボル:EQT)、エクソン・モービル(XOM)、サウスウエスタン・エナジー(SWN)、アンテロ・リソーセズ(AR)の順番で規模が大きいです。
エクソン・モービルは、天然ガスだけでなく世界中で原油を生産している大企業なので、「天然ガス価格の上昇を買う」という意味では面白みの少ない投資対象です。一方、EQTとサウスウエスタン・エナジーは良い会社なのですが、将来の生産分の少なからぬ量をすでにヘッジのために売りつないでおり、今後、天然ガスの価格が上昇してもあまり恩恵を享受できません。その点で言えば、先ほど挙げた天然ガス関連株のなかで一番ヘッジ比率が低いのはアンテロ・リソーセズです。
アンテロ・リソーセズは、コロラド州デンバーに本社があり、ペンシルバニア州とウエスト・バージニア州にまたがるマーセラスに天然ガス田を持っています。また、アンテロ・リソーセズは、アパラチア山脈地方で最も優良な天然ガス田を保有しており、その生産コストは他社より低く抑えられています。
これらの点から、他の銘柄に比べてアンテロ・リソーセズの値動きが一番良いのではないかと期待できます。
【今週のまとめ】
今は無理をして株を買う状況ではないが、
それでも買いたい人は「アンテロ・リソーセズ」をチェック!
サプライチェーンの乱れとインフレ問題、長期金利の上昇など、今は株式投資にアゲンストの風が吹いています。こういう場面では、あまり無理しないほうがいいでしょう。
それでも何か株を買いたいというのであれば、天然ガスの価格上昇から恩恵を受けるアンテロ・リソーセズが面白いと思います。
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アンテロ・リソーセズ(AR)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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