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「南海トラフ地震臨時情報」は8月15日夕方に無事解除されたが、
西日本や首都圏で大震災が発生するリスクは依然として存在
8月8日の午後4時42分、宮崎県沖の日向灘を震源とするマグニチュード7クラスの地震が発生しました。これを受けて気象庁は同日の19時15分、南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が発生する可能性が平常時と比べて高まっているとして「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。
結果として警戒されていた大規模地震が起こることはなく、8月15日の17時をもって「南海トラフ地震臨時情報」は解除されました。ただ、だからといって南海トラフ地震が発生する恐れがなくなったわけではありません。
関東から九州の広い範囲に大きな被害をもたらす恐れのある南海トラフ地震は、今後30年以内に発生する確率が70~80%と予測されており、その意味ではいつ発生してもおかしくありません。政府の想定では、南海トラフ地震が起きると、最悪、死者は32万人を超え、経済被害も220兆円を超えるとされています。
想定される大規模地震は他にもあります。例えば、南関東地域での発生が予想される首都直下地震は、30年以内に発生する確率が70%程度と予測されており、国の想定では、最悪の場合、死者が約2万3000人、経済被害が95兆円に達するとのことです。
東日本大震災における被害額の推計が16.9兆円だったことを考えると、南海トラフ地震や首都直下地震が発生したときの被害がいかに巨大なのかがわかるかと思います。
「国土強靱化年次計画2024」では、河川管理施設や下水道管など
震災時に大被害が想定される老朽化した社会インフラへの対応を重視!
「災害大国」ともいわれる日本ですが、これまで大規模な自然災害が発生して甚大な被害を受けるたびに、長期間にわたって復旧・復興を図る「事後対策」を繰り返してきました。
そうした「事後対策」ではなく、自然災害に対する事前の備えとして、普段から最悪の事態を念頭に置き、人命や社会の被害を最小化して迅速に復興することを目的として、政府は2023年6月に「国土強靱化基本法」を改定。さらに、2024年7月には「国土強靱化年次計画2024」を決定しました。
「国土強靱化年次計画2024」では、既存インフラの老朽化対策に大きなウエートが置かれています。高度成長期に数多く建設された河川管理施設や下水道管など社会インフラは、すでに老朽化が進んでおり、この問題に対して適切な対応をしなければ、大規模地震によって社会経済システムが機能不全に陥る恐れがあります。実際、1月に発生した能登半島地震においても各地で大規模停電や水道管破裂による長期の断水といった問題が発生しています。
そこで今回は「防災・減災」の関連銘柄に注目しました。具体的な銘柄としては、8月に発生した日向灘地震を受け、より注目が集まると見られる九州や関西を地盤とする企業を取り上げています。
【ヤマックス(5285)】
九州を地盤とするコンクリート二次製品メーカー
ヤマックス(5285)は、土木用と建築用のコンクリート二次製品を手掛けており、九州を地盤に全国へ製品を供給しています。生コンクリートを原材料としたコンクリート二次製品は、道路や農業、河川、下水道など幅広い用途に対応。例えば、道路下のトンネルや水路などの空間を確保するカルバートや、垂直面や急斜面における土砂の崩壊を防いで土留めの役割を担う擁壁などを製造しています。株価は、8月5日の急落で840円まで売られましたが、その後のリバウンドで52週移動平均線を回復。直近で52週移動平均線を下値支持線に13週移動平均線を捉えており、ここからのさらなるリバウンドが期待されます。
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【ハンズマン(7636)】
九州地方を中心にDIY型ホームセンターを展開
ハンズマン(7636)は宮崎県都城市に本社を置き、九州地方を中心にDIY型ホームセンターを展開しています。1年間に数個しか売れない商品があっても販売を継続するなど顧客の声をもとに品揃えを増やしており、現在では業界平均の3倍にあたる約23万アイテムもの商品を扱っています。ちなみに、電動工具・作業工具などDIY製品の品揃えだけで2万5千品目を誇っており、家一軒を建てるのに必要な材料も全部そろうとのことです。株価は、8月5日につけた安値700円をボトムにリバウンドを見せており、足元では上値抵抗線として意識されている5週移動平均線近くでの攻防を見せています。同線を明確に上放れてくるようだと、上昇の勢いが強まりそうです。
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【若築建設(1888)】
北九州を地盤とする海上土木事業のパイオニア
若築建設(1888)は、北九州を地盤とする海上土木事業のパイオニアとして、港湾建設や空港建設などの大プロジェクトに携わりながら事業範囲を拡大し、全国に展開しています。「日本資本主義の父」と呼ばれ、新1万円札にも採用された渋沢栄一の関連企業でもあります。株価は、5日につけた年初来安値2917円からのリバウンドで、一気に13週・26週移動平均線を突破。両線を下値支持線とした一段のリバウンドに期待したいところです。
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【富士ピー・エス(1848)】
プレストレスト・コンクリートを用いた製品を提供
富士ピー・エス(1848)は、福岡県を地盤として公共土木分野に注力する建設会社です。ひび割れを自由に制御することができるPC(プレストレスト・コンクリート)技術を用いた土木・建築工事の請負や、PC土木・建築製品の製造販売を全国で行っています。株価は、8月7日につけた安値392円をボトムにリバウンドを見せています。まだ、上昇の勢いは弱いのですが、一時は週足のボリンジャーバンドの「−3σ」を大きく下回っており、売られ過ぎシグナルによる買い戻しが期待されます。
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【奥村組(1833)】
トップレベルのトンネル技術や免震技術を誇る
奥村組(1833)は、土木・建築両事業に投資開発事業などを加えた関西地盤のゼネコンで、国内トップレベルのトンネル技術や免震技術などを有しています。土木事業では道路や鉄道、河川、上下水道、エネルギー施設などの社会インフラ整備、さらには国土強靭化やインフラの長寿命化に関連する事業に取り組んでいます。株価は、8月5日の急落で52週移動平均線を割り込み、一時4190円まで売られました。週足のボリンジャーバンドが「−3σ」を一時割り込んだこともあり、売られ過ぎからのリバウンドを狙いたいところです。
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【東洋建設(1890)】
海洋土木工事に強みを持つ建設会社
東洋建設(1890)は、1929年に「兵庫県の沖合を埋め立てて一大工業港・コンビナートを建設する」という目的のもとに設立された建設会社で、海洋土木工事に強みを持ちます。日本最大級の水工実験設備を備えた研究開発施設を保有しており、波や水流と構造物に関する研究など技術提案力を強化しています。8月5日の下落で52週移動平均線を割り込む場面も見られましたが、長い下ヒゲを残す形で切り返しており、上向きで推移する52週移動平均線を下値支持線とした長期的な上昇トレンドは継続していると見られます。
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以上、今回は「防災・減災」関連銘柄を発掘しました。
なお、前述した「国土強靱化年次計画2024」は、これまで進めてきた「防災インフラの整備・管理」や「ライフラインの強靱化」に加え、「デジタルなど新技術の活用」や「地域防災力の向上」についても盛り込んでいます。そのため、今後、関連銘柄が注目される可能性もあるので、気にある人はチェックしてみるといいでしょう。
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