つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2019年]
2018年10月16日 深野 康彦

まだ「つみたてNISA」を始められない人が抱えがちな
“8つの疑問”をわかりやすく解説! 金融機関&投信の
選び方や「iDeCo」との併用方法などにズバリ回答!

つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

 「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」がスタートして10カ月がたちました。しかし、「つみたてNISA」に関心があっても、最初の一歩がいまだに踏み出せないという人も多いようです。今回は、そうした人たちからよく聞く、「つみたてNISA」を始める前に抱きやすい疑問や不安について、まとめてお答えしましょう。
【※「つみたてNISA」を始めたあとの疑問・不安についてはこちら!】
「つみたてNISA」で投資デビューした人が抱きがちな疑問に回答!「運用商品や金融機関を変更したい!」「積立投資を中止したい!」などの悩みを一挙解決!

疑問① 
損をするのが怖くて投資を始められません。
「つみたてNISA」で絶対に損をしない投資はできますか?

 残念ながら投資に「絶対」はありません。また「つみたてNISA」には、元本保証の商品もありません。しかし、「つみたてNISA」なら、損をする確率を減らすことは可能です。

 積立投資を長く続ければ、一時的に損失が出ても、いずれプラスに転じる可能性が高くなります。「つみたてNISA」の非課税投資期間は最長で20年間もありますから、時間を味方につけて、運用成績がプラスになるまで積立投資を続ければいいのです。

 また「つみたてNISA」は、たとえば毎月1万円など、一定額の投資信託(またはETF)を買い付ける仕組みなので、投資信託の価格(基準価額)が高いときは少なく、価格が安いときには多く買うことになります。結果として、平均取得価格を抑える、つまり安く買える効果が期待できます。これも、損をしにくくなることにつながります
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つみたてNISAが投資の初心者におすすめな理由とは? 積み立て投資だから簡単で損しにくく、対象商品は低コスト&売買手数料無料、そのうえ節税もできる!

 さらに、株式や債券に分散投資するバランス型の投資信託を選べば、株式100%の投資信託よりもリスクを抑えることができます。バランス型の中でも債券の割合が高いほど、リスクは小さくなります(ただしそのぶんリターンも低くなります。疑問③も参照)。

疑問②
「つみたてNISA」を始める金融機関で迷っています。
口座を作る金融機関はどこがベストでしょうか?

 金融機関選びで迷ってしまい、「つみたてNISA」を始められない人は少なくないようです。通常、投資商品を購入する金融機関選びのポイントは、(1)コスト、(2)取扱商品、(3)使い勝手、の主に3つです。しかし、「つみたてNISA」では、事情が異なる面もあります。1つずつ見ていきましょう。
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つみたてNISA(積立NISA)を始めるなら、おすすめの証券会社はココだ!手数料や投資信託の取扱数などで比較した「つみたてNISA」のおすすめ証券会社とは?

(1)コスト→口座管理料などの手数料はどこでも無料で同じ!

 一般的には、ネット専業証券のほうが、銀行や対面型証券会社よりも各種手数料が安くなっています。しかし、「つみたてNISA」の場合は制度上、取扱商品の売買手数料はいずれも無料で、口座管理料もかかりません。したがって、コスト面では金融機関による差はまったくありません

 ただしSBI証券楽天証券などの一部ネット証券では、投資信託の保有残高や購入金額に応じてポイントが貯まるサービスもあるので、“お得度”を重視したい人はチェックしてみてもいいかもしれません(※金融機関により「つみたてNISA」は対象外、一部投資信託は対象外の場合があります)。 

(2)取扱商品→ネット証券は品揃えが豊富、対面型証券や銀行は少なくて選びやすい

「つみたてNISA」対象の投資信託の取扱本数は、ネット証券のほうが多くなっています。ネット証券大手と言われるSBI証券楽天証券松井証券カブドットコム証券マネックス証券は、いずれも130本以上の商品ラインナップがあります。それに対して、銀行や大手の対面型証券は、3~10本程度と取扱本数が非常に絞られている場合がほとんどです。多くの商品の中から選びたい場合は、ネット証券で口座を開いたほうがいいでしょう。なお、ネット証券大手5社のあいだでは、「つみたてNISA」の商品ラインナップの内容に大きな差はありません。

 一方で、「つみたてNISA」で初めて投資をするという人であれば、銀行や対面型証券会社のほうが、商品が絞られている分、迷わずに選べるとも言えます。取扱本数が少なくても、投資の基本となる国内型と海外型のインデックス型投資信託、そしてバランス型の投資信託がそれぞれ1本ずつはあるはずなので、最低限の選択は可能です。 

(3)使い勝手→自動積立なのでどこでも大差なし

「つみたてNISA」は、一度設定してしまえば、あとは自動的に積立投資が行われます。積立日や積立頻度の設定の自由度などで多少の差はあるものの、どの金融機関で口座を開設しても使い勝手は大きくは変わらないと言えます。ただ、給与振込などで日頃から使っている銀行なら、給与振込口座をそのまま「つみたてNISA」の引き落とし口座に指定できるため、投資初心者にとってはスタートのハードルが低くなるかもしれません。

 つまり結論としては、手数料や使い勝手はどこで口座を開いてもそれほど差はないので、取扱商品で考えればいいでしょう。「自分で商品を選びたいなら、品揃えが豊富な大手ネット証券」「商品選びで迷うなら、本数が絞られた銀行や対面型証券」というのが、一つの考え方です。
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疑問③
どの投資信託を買えばいいのかわからないので
「つみたてNISA」を始められません!

 「つみたてNISA」で買えるのは、国内・海外の株式に投資する投資信託(およびETF)か、バランス型の投資信託ですが、「世界の株式に分散投資するインデックス型投資信託」を選ぶのが最もいいと思います。

 「つみたてNISA」のそもそもの趣旨は、「世界経済の成長の果実を取って資産を形成する」ということです。日本人だと、どうしても日本株になじみを感じますが、日本の経済成長率は世界と比べて低いのが現実です。国内株型の投資信託だけでは、資産を増やしていくという点で海外株型に負けてしまうのです。

 また、「インデックス型」と「アクティブ型」を比較すると、運用コストが安くて内容がわかりやすい「インデックス型」がおすすめです。現状の「つみたてNISA」の対象商品(アクティブ型は2018年10月12日時点で17本)で見れば、アクティブ型をあえて選ぶ必要はないと考えます。

 海外株のインデックス型投資信託のなかでも、全世界の株式に投資する タイプ、もしくは先進国の株式に投資するタイプを選びましょう。前者は新興国の株式も含むため、リスクが少し高くなる代わりにより高いリターンが期待できます。「全世界株型」のほうがおすすめですが、扱っている金融機関が一部のネット証券に限られるので、取扱がなければ「先進国株型」でもかまいません。
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 また、リスクを抑えたい場合は、株式や債券を組み合わせて分散投資する「バランス型」を選ぶといいでしょう。「つみたてNISA」では2資産分散から8資産分散まで、さまざまなバランス型投資信託がありますが、国内外の株と債券に分散投資する4資産型、あるいは新興国も加えた6資産型で十分です。同じ4資産型でも、資産の組み合わせ比率でリスクとリターンの水準が違うため、自分に合ったタイプを選ぶのが大切です。ただし、銀行や対面型証券では、バランス型は1タイプ1本しか扱っていないこともあるので、口座開設の前に確認しておきましょう。 
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疑問④
相場が高値圏のときに「つみたてNISA」を始めると不利では!?
どうせなら株価が下がったときを狙って始めたいのですが……

 理屈から言えば、確かに株価が大きく下がったタイミングで投資をすれば、儲かる確率は高くなります。しかし、相場がいつ下がるのかは誰にもわかりません。また、リーマンショックやチャイナショックのような大幅な株安が起きるときには、どこまで下がるのかを判断するのは難しいものです。

 だからこそ、株価が高いときも安いときも関係なくコツコツ買い続ける、「つみたてNISA」を利用する意味があると言えます。そもそも「つみたてNISA」は、積立投資しかできないため、市場全体が安くなったときにドンとまとめて買う「スポット買い」はできません。

 疑問①でも説明したように、投信積立は毎月一定額を買うことで平均的に安く買える仕組みですから、市場の動向を見て「始め時」を考える必要はないのです。株価が下がるのを待っていないで、一刻も早く始めたほうがいいでしょう。結局はそれが、資産を増やす早道になります。
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疑問⑤
「つみたてNISA」より「iDeCo」のほうが節税メリットは大きい
と聞きましたが、「つみたてNISA」を選ぶ意味はあるのですか?

 「節税メリット」という意味では、確かに「iDeCo」のほうが“お得”です。「つみたてNISA」も「iDeCo」も運用益が全額非課税という点は共通ですが、「iDeCo」の場合はそれに加えて、掛金が全額所得控除になるという“入口”段階での節税、お金を引き出すときには「公的年金等控除」「退職所得控除」が使えるという“出口”での節税の効果も得られるからです。

 ただし、節税効果が大きいから「iDeCo」のほうがいい、という“お得感”だけで決めてはいけません「iDeCo」はあくまで老後資金作りを目的とした制度なので、60歳までは積み立てた資金を一切引き出すことができません。逆に言うと、“老後資金作りにしか”向かないのです。一方、「つみたてNISA」なら、いつでも必要な時期に売却してお金を引き出すことができます

 たとえば、60歳より前のライフイベントのために資金準備がしたい、あるいは現時点ではいつ何にお金が必要なのかわからないという場合は、「つみたてNISA」を選んだほうが使い勝手がいいでしょう。もちろん、老後資金を作りたいという目的が明確なら「iDeCo」のほうが有利です。節税効果だけに目を奪われるのではなく、まずは資金運用の目的を明確にした上で、どちらがいいのか考えてみましょう。
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疑問⑥
現在すでに「iDeCo」を利用中です。「iDeCo」の掛金を減額して
「つみたてNISA」も始めたほうがいいでしょうか?

 これも、疑問⑤と考え方は同じです。「何よりも老後資金をしっかり準備することを優先したい」と考えるのであれば「iDeCo」を減額する必要はありませんし、「老後資金だけでなく、その前に来るライフイベントの資金も準備したい」という場合は、「iDeCo」を減額して「つみたてNISA」を併用するのも一つの方法です。

 すでに説明したように、「iDeCo」は60歳までお金を引き出せないのがネックです。そこで、「iDeCo」と「つみたてNISA」の両方を利用すれば、老後資金を作りつつ、万が一のときのための資金の流動性を確保することができます

 積立投資を行う目的と、資金の利用時期(60歳まで引き出せなくてもいいか)をよく考えた上で、「iDeCo」1本でいくのか「つみたてNISA」と併用するのかを決めましょう。また、資金準備の方法は「iDeCo」と「つみたてNISA」だけではありません。たとえば、すでに課税口座での投信積立や積立貯蓄をしている人もいるはずです。“基本”として、まずは預貯金をしっかり確保することも大切です。そうしたものもすべて併せた自分の資産内容と、いつどんな資金が必要になるかを、まずは一度よく見直してみるといいでしょう。
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疑問⑦
従来の「NISA」を現在すでに利用中です。
「つみたてNISA」に移行したほうがいいですか?

 従来の「NISA(少額投資非課税制度)」は、非課税投資枠が年額120万円と、「つみたてNISA」の年額40万円と比べて大きい一方、投資できる期間は5年間で、「つみたてNISA」の最長20年間より大幅に短くなっています。このため、トータルの非課税投資枠は「NISA」が600万円、「つみたてNISA」が800万円と、「つみたてNISA」のほうが大きくなります。つまり、非課税で投資できる額で考えれば、「つみたてNISA」に乗り換えたほうが有利と言えます。

 ただし「つみたてNISA」では、金融庁が定める一定の条件を満たした投資信託・ETF以外には投資できません。低コストで長期の積立投資に向く商品に絞り込まれているので、その面ではメリットと言えますが、個別株や、債券・リート型の投資信託など「つみたてNISA」で買えない商品に投資したい場合には、幅広い商品に対応する「NISA」を選んだほうがいいでしょう。

 従来の「NISA」で投資できる期間は前述のとおり5年間ですが、実は法改正がなければ2023年で投資可能期間が終了します。「NISA」では、運用期間をさらに5年間延長する「ロールオーバー」の仕組みがありますが、これが使えるのは、2018年までに投資した分のみです。 そこで、現在すでに「NISA」で投資しているのであればまずはその利用を続け、「NISA」が終了してから「つみたてNISA」を始めるという形でもいいかもしれません。

 なお、「NISA」から「つみたてNISA」に移行しても、「NISA」で購入した資産は非課税期間の5年間はそのまま非課税で保有できるので、あわてて売却する必要はありません。
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疑問⑧
貯金ゼロですが、「つみたてNISA」をやってみたい!
毎月1000円など、少額で練習がてら始めてもよいでしょうか?

 ズバリ言いますが、絶対にダメです。貯金ゼロで投資を始めるべきではありません。

 現預金がない状態で「つみたてNISA」をスタートすると、何か突発的なことが起きて急にお金が必要になった場合、途中で売却して現金を作らなければなりません。それが、相場環境のよくない時期であれば、損失を被る可能性もあります。相場がいい時期に売却して利益を得るためにも、「つみたてNISA」を含むすべての投資は、現預金をしっかり確保した状態で始めることが重要です。

 「つみたてNISA」は金融機関によっては毎月100円から積立投資ができますが、100円でも1000円でも、預貯金ゼロの人はやるべきではありません投資の“基本”、“心構え”としての問題です。 

 そもそも月1000円程度ではうまくいっても大した利益になりませんし、「つみたてNISA」のような積立投資では「練習」は特に不要だと私は考えます。たとえば、個別株のように自分でタイミングを見ながら買ったり売ったりする商品であれば、「練習」も必要かもしれません。最初のうちは、売買でドキドキするという話はよく聞きます。一方、投信積立は一度設定したらあとは自動的に積立投資が行われるので、特に練習して慣れる必要もないのです。
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いつでもやめられるのも「つみたてNISA」のメリット!
悩みすぎずにまずは積立投資を始めることが重要

 「つみたてNISA」は、初心者でも無理のない形で、非課税メリットを得ながらお得に積立投資ができる仕組みです。また、いつでも自由に解約することもできます。これまで投資をしたことのない人が不安や疑問を感じるのは仕方のないところですが、“案ずるより産むがやすし”です。関心があって、ある程度の現預金を蓄えることができているのであれば、今すぐ「つみたてNISA」を始めることをおすすめします。 

 次回は、すでに「つみたてNISA」を始めている人の「こんなはずじゃなかった」「こんなときどうすればいいの?」という不安や疑問にお答えしていきます。
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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。