つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2020年]
2019年4月5日 頼藤 太希

「つみたてNISA(積立NISA)」の6つのデメリットとは!? 元本保証ではない、非課税期間の期限があるなど、主なデメリット+5つの注意点をやさしく解説

つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

 2018年にスタートした「つみたてNISA」(積立NISA)。本来なら投資で得られた利益にかかる約20%の税金がゼロになる、お得な制度です。

 前回の記事で、節税メリットに加えて、「投資の経験がなくても、“投資の王道”といわれる『長期・分散・積立投資』を有利にスタートできる」という、8つの魅力を紹介しました。多くの魅力があるのは確かにそのとおりなのですが、「つみたてNISA」は投資である以上、デメリットや注意点も存在します

 今回は、「つみたてNISA」を始めるにあたって押さえておきたいデメリットや注意点を、まとめてご紹介したいと思います。
【※「つみたてNISA」のメリットについてはこちら!】
「つみたてNISA」(積立NISA)の8つのメリットを紹介! 少額から長期の積立ができて損しづらく、利益は非課税になるなど、初心者におすすめの理由を解説

「つみたてNISA」の6つのデメリットを解説!
必ず儲かるわけではない点や、非課税にならないケースに注意

 「つみたてNISA」は、運用益が20年にわたり非課税となったり、低コストの商品に絞られていたりなど、長期の資産形成を行うにはとても有利な制度です。しかしながら、完璧な制度というものがないのも然り。あとになってあわてたり後悔したりしないよう、「つみたてNISA」のデメリットも、しっかりと押さえておきましょう。

「つみたてNISA」のデメリット①:元本割れの可能性がある


「つみたてNISA」では、金融庁が厳選した投資信託やETFの中から、実際に運用する商品を選ぶことになります。ただし間違ってはならないのが、「厳選」されているといっても、「元本保証」されているわけではない点です。

 投資信託やETFは、定期預金や保険などのような「元本確保型商品」ではなく、元本が変動する商品です。元本が変動するということは、運用中に値下がりで元本割れする可能性もあるということです。

「つみたてNISA」のデメリット②:投資できる商品の種類が少ない


 上述のとおり、「つみたてNISA」で購入できるのは、金融庁が定めた厳しい条件をクリアした投資信託・ETFのみ。対象商品は2019年4月5日現在で162本ありますが、個別株式やREIT(不動産投資信託)などは対象ではありません。よって、非課税メリットを得ながら国内・海外の個別株式やREITへ投資したい方は、「一般NISA」を選んだほうがいいでしょう。

 また、対象商品はいずれも手数料が安く、難しい手法を使わないものになっている点はいいのですが、これらの投資信託だから必ず儲かる、というわけではありません。現に、相場全体が不調だった2018年の1年間だけを見れば、多くの投資信託がマイナスになっていたはずです。そんななかでも値上がりしていた投資信託があったとしても、「つみたてNISA」の対象でなければ、「つみたてNISA」でその投資信託を買うことはできません
【※関連記事はこちら!】
つみたてNISA(積立NISA)対象商品を一覧で紹介! インデックス型投資信託とアクティブ型投資信託、ETFの取り扱い金融機関や信託報酬、騰落率に注目!

「つみたてNISA」のデメリット③:損益通算や繰越控除ができない


 複数の口座で投資をしていると、たとえば「口座Aでは50万円の利益、口座Bでは20万円の損失」という具合に、利益と損失の両方が出ることがあります。このとき、利益と損失を合算した“本来の利益”をもとに税金を計算することを「損益通算」といいます。この例では、50万円から20万円を引いた30万円が本来の利益です。損失分を差し引いて税金を計算するので、税金の負担が軽くなるのです。

 しかし、「つみたてNISA」の損失は損益通算の対象外です。上の例で、20万円の損失が出た口座Bがもし「つみたてNISA」口座だったとしたら、損益通算はできませんので、50万円の利益をもとに税金を計算することになります。

 また、「繰越控除」も使えません。繰越控除は、損益通算で損失を引ききれない場合、残った損失分を3年間にわたって繰り越し、翌年以降の利益から差し引くことができる仕組みです。同様に税金の負担を軽くするための制度なのですが、そもそも損益通算できない「つみたてNISA」は、繰越控除の対象外です。

「つみたてNISA」のデメリット④:非課税期間が期限付き


「つみたてNISA」は、非課税期間が最長20年*と、「一般NISA」の5年と比べて長いことがメリットです(*現状、非課税期間は2037年までとされているので、2019年から投資を開始した場合は最長19年となります)。しかし、「20年」と期限付きである点は、デメリットとも言えます。

 たとえば、2019年に投資した40万円の投信が、非課税期間の終了時に20万円に下がっている場合を考えます。このとき、損をしている状態ですので解約する人は少ないでしょう。そのまま保有した場合、「つみたてNISA」口座から課税口座(特定口座)へ移管することになりますが、その際は20万円で取得したものとして扱われます。

 その後、価格が40万円に再上昇したタイミングで売却したとします。すると、本来は元の価格に戻っただけで利益は出ていないにもかかわらず、取得価格の20万円から40万円への値上がりで20万円の利益が出たとみなされてしまい、税金がかかります。

 この点については今後、「つみたてNISA」の非課税期間には「期限を設けない」というルールに改正されることを願っています。

「つみたてNISA」のデメリット⑤:積み立てた資金が所得控除の対象ではない


 節税効果を得ながら有利に長期投資ができる制度と言えば、「iDeCo」(イデコ:個人型確定拠出年金)があり、「つみたてNISA」とよく比べられます。「iDeCo」では、積み立てた金額は全額、所得控除になりますので、所得税・住民税が軽減できます。一方、「つみたてNISA」は、運用益が非課税となるものの、積み立てた金額は所得控除の対象にはなりませんので、「iDeCo」と比較した際にはデメリットと言えます。

 「つみたてNISA」の掛金も全額所得控除になれば、政府が目指す「貯蓄から投資へ」はますます進むと思うのですが……税収との兼ね合いもありますので、なかなか実現は難しいのでしょう。

「つみたてNISA」のデメリット⑥:「リバランス」をするのが難しい


「どの金融商品をどんな割合で保有するか」という、金融商品の組み合わせを「ポートフォリオ」といいます。ポートフォリオに沿って運用をしていると、資産(金融商品)によって値上がりするもの・値下がりするものが出てくるので、組み合わせの割合が変わってしまいます。こんなとき、一部の資産を売却したり買い足したりして、割合を元に戻す作業を「リバランス」といいます。

 しかし、「つみたてNISA」で投資できる金額は年40万円まで。さらに、一度使った非課税枠は復活しない(後述します)ので、新たに資産を売買するリバランスが難しいのです。仮に年間の上限額まで投資していたとしたら、これ以上「つみたてNISA」で買い増すことはできませんし、今持っている資産を売ってしまえば非課税で運用できる金額が減ることになるからです。「つみたてNISA」内でポートフォリオを自分で組む場合には、注意しましょう。

非課税枠の扱いや、口座間での資産の移し替えが不可など
「つみたてNISA」の5つの注意点も覚えておこう!

 続いて、デメリットというほどではないのですが、「つみたてNISA」を使うにあたって覚えておいてほしい注意点を見ていきましょう。

「つみたてNISA」の注意点①:積み立てで消費した非課税枠は、その後に売却しても復活しない


「つみたてNISA」の非課税にできる投資金額(非課税枠)は年40万円までですが、この非課税枠で買った投資信託・ETFを年内に売っても、一度使った非課税枠は復活しません

 たとえば今年、すでに10万円分の投資信託を買っていたとすれば、今年の非課税枠の残りは30万円になります。この10万円分の投資信託を売っても、非課税枠の残りは30万円のままで、40万円に戻ることはありません。

 非課税枠が40万円に戻るのは、年が変わったときだけです。年が変われば、古い非課税枠は使えなくなり、新たに40万円の非課税枠が用意されます

「つみたてNISA」の注意点②:年内に使い切らなかった非課税枠を翌年に持ち越すことはできない


 その年の非課税枠の40万円を使い切らなかった場合、残りの枠を翌年に持ち越すことはできません

 つまり、仮に「今年30万円しか投資しなかった」としても、非課税枠の残り10万円を翌年に繰り越して、来年は50万円投資する……といったことはできません。非課税の恩恵を少しでも多く受けたいならば、非課税枠は毎年なるべく使い切るようにしましょう。

「つみたてNISA」の注意点③:分配金の再投資でも非課税枠を消費する


 投資信託の決算時などに、投資家に分配金が配られます。分配金は受け取るか再投資するかを選ぶことができますが、投資効率を上げ、お金を増やしたいならば、再投資して元本を増やした方が有利だとされています。

 しかし、「つみたてNISA」の分配金を再投資に回して投資信託を買い付けると、その分、非課税枠を消費します。もし、非課税枠を使い切っている場合は、非課税枠での再投資ができないことになります(非課税枠を超えた分は、課税口座で再投資されます)。これを防ぐには、分配金再投資の分を見越して、積立金額に少し余裕を持たせておけばいいでしょう。

「つみたてNISA」の注意点④: 他の口座から「つみたてNISA」口座に資産を移し替えることはできない


「つみたてNISA」口座には、「一般口座」や「特定口座」など課税口座にある資産を移すことはできません。「つみたてNISA」口座から課税口座に資産を移すことは可能ですが、通常の課税対象になりますのでこれは移管するメリットがありません。

 また、NISAには「つみたてNISA」のほかに、「一般NISA」と「ジュニアNISA」という制度がありますが、「つみたてNISA」の資産をこれらの口座に移し替えたり、逆にこれらの口座の資産を「つみたてNISA」に移し替えたりすることもできません

 さらに、「つみたてNISA」の口座を扱う金融機関は年1回変更できますが、変更前の口座から変更後の口座に資産を移し替えることもできません

 変更前の金融機関の「つみたてNISA」口座で持っていた資産は、そのまま最大20年間、利益に対する課税なしで保有を続けることができます。そうやって前の口座で保有を続けながら、新しい金融機関で「つみたてNISA」口座を開設して利用することはできます。

「つみたてNISA」の注意点⑤:金融機関によって取扱商品が異なる


「つみたてNISA」で購入できるのは、金融庁の厳しい条件をクリアした、162本(2019年4月5日時点)の投資信託・ETFのみでしたね。実はこの投資信託・ETFをすべて取り扱っている金融機関はありません

 SBI証券楽天証券などのような大手ネット証券では大部分を扱っていますが、店舗証券会社(ネット証券ではない証券会社)や銀行などでは、数本しか扱っていないこともあります。幅広いラインナップから投資信託を選びたいという方は、「つみたてNISA」の口座をどこで開設するかも考えておく必要があります。
【※関連記事はこちら!】
「取扱商品の本数」を比較して選ぶ! 投資信託&ETFが多い「つみたてNISA」の金融機関

デメリットを気にして動かないのはNG!
「つみたてNISA」はメリットのほうがずっと大きい!

 以上、「つみたてNISA」のデメリットや注意点を一気に紹介してきました。とはいえ、1つ1つのデメリット・注意点はどれも大したことではありません(しいて言えば、損益通算ができないこと、分配金再投資で非課税枠を使ってしまうこと、非課税期間が期限付きであることは、制度を改めてほしいと思ってしまいますが……)。

「つみたてNISA」には、これらのデメリット・注意点を補って余りあるメリットが存在することは間違いありません。このご時世ですから、デメリットを気にして投資をしないほうが、よっぽどデメリットです。もしまだ投資をしていないのであれば、まずは少額でもいいので、「つみたてNISA」を活用して投資をスタートさせてみましょう。

 次回は、「つみたてNISA」の口座を作る金融機関の選び方を紹介していきます。

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頼藤太希(よりふじ・たいき)[マネーコンサルタント]
(株)Money&You代表取締役、ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本証券アナリスト協会検定会員。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職。女性向けWEBメディア「FP Cafe」や「Mocha(モカ)」を運営。著書は『投資信託 勝ちたいならこの7本!』『やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方』 『入門仮想通貨のしくみ』『つみたてNISAでお金は勝手に増えていく』など多数。