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トヨタ自動車(7203)は4月7日に実施した新体制方針説明会において、自動車のライフサイクル全体で“2050年のカーボンニュートラル”の実現に全力で取り組み、全世界で販売する自動車の平均CO2排出量を、2019年比で2030年に33%、2035年には50%を超える削減を目指す方針を明らかにしました。
具体的な動きとしては、まず、今すぐにできる自動車の電動化を徹底的に進めるとして、100%電気で走るBEV(バッテリー式電気自動車)のラインナップを拡充。2026年までに新たに10モデルを投入し、販売台数も年間150万台まで増やすとのことです。トヨタ自動車における2022年のEV全体の販売実績が2万4000台なので、これから4年でBEVだけで60倍以上を生産する計画となります。
また、大型のバッテリーを搭載するBEVには「電気を運ぶモビリティ」としての新しい可能性があるとして、自動車の知能化を加速するソフトウェア開発を手掛けるウーブン・バイ・トヨタと共同で次世代BEVの開発を進めるとしています。
トヨタ自動車は本格的なEVシフトを進めることで、
「EVの世界シェア0.3%」の状態からの巻き返しを図る
トヨタ自動車の2022年の世界販売台数は「トヨタ」「レクサス」ブランドだけで956万台、グループ会社の日野自動車(7205)やダイハツ工業を合わせると1048万台で、世界シェアは推定13%に達します。
しかし、EVの販売台数は28位と業界下位で世界シェアも0.3%しかなく、シェア17%で首位の米国のテスラ(TSLA)に大きく引き離されています。トヨタ自動車が米国で本格的にEV販売や次世代車の投入を始めるのは2025年以降で、中長期で年間500万台規模の生産能力を確保していると見られるテスラや、米国のフォード・モーター(F)、ドイツのメルセデス・ベンツやBMWといった競合より遅れていることから、トヨタグループ全体での生産方式の自動化推進など、構造改革によるEV市場での巻き返しが必須の状況です。
そこで今回はトヨタ系列の「EV関連部品・部材」に関連する企業に注目しました。銘柄は、「EV関連部品・部材」を扱う企業のなかから、テクニカル面やバリュエーション面を考慮して選定しました。
【アイシン(7259)】
EVの主要部品をパッケージ化した「eAxle」を手掛ける
アイシン(7259)は、モーターを主動力とする自動車が走るために必要な主要部品を一つのパッケージにまとめたコア部品「eAxle(eアクスル)」を手掛けており、BEV向けやHEV(ハイブリッド車)向け、PHEV(プラグインハイブリッド車)向けなどフルラインアップをそろえています。また、3月29日には、アイシンのパノラマサンルーフが、メルセデス・ベンツのBEVブランド「Mercedes-EQ」のフラッグシップモデル「EQS SUV」と「EQE SUV」に採用されたことを発表しています。株価は、3月20日につけた安値3400円をボトムにリバウンドを見せていましたが、直近で25日・75日移動平均線を突破してきたので、さらなる上昇が期待できます。
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【デンソー(6902)】
EVの駆動・電源システムなどを幅広く手掛ける
デンソー(6902)は、EVの駆動・電源システムと関連製品のほか、燃料電池の高効率発電を支える製品、モビリティ全体の電子システム、プラットフォームの開発などを幅広く展開しています。電池の充放電電流を検知する電流センサーと充電・電力変換・電力分配の機能を集約したESUという部品が、トヨタ自動車のEV「bZ4X」やSUBARUのEV「ソルテラ」に採用されています。株価は、足元で3月9日の高値7711円に接近した後に調整していましたが、直近で25日・200日移動平均線を下値支持線にリバウンドを見せてきたことから、3月高値の7711円の突破とそこからの一段高に期待したいところです。
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【愛知製鋼(5482)】
体積と重量を4割削減した新型電動アクスルの量産化を進める
愛知製鋼(5482)は鍛造品やステンレス鋼など鋼の製造から、電子部品・磁石、センサーや鉄供給材まで、幅広い分野で事業を展開しています。EVの基幹部品である電動アクスルについては、従来品と比べて体積、重量ともに4割削減した製品を開発し、2030年の量産を目指しているようです。株価は、3月7日につけた高値2512円をピークに調整していましたが、足元で52週移動平均線を下値支持線にリバウンドを見せており、13週・26週移動平均線が下値支持線として機能しています。
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【東海理化電機製作所(6995)】
自動車を守るセキュリティシステムやセイフティシステムなどを提供
東海理化電機製作所(6995)は、自動車を守るセキュリティシステムや乗る人の命を守るセイフティシステムなどを提供しています。また、電気信号でタイヤの角度を制御する「ステアバイワイヤ」に対応した運転ユニットを開発。独自の小型モーターやギア構造を採用し、小型・軽量化を図った製品となります。株価は1月の安値と2022年9月の安値でダブルボトム(二点底)を形成後、リバウンドが継続しており、切り上がる13週移動平均線が下値支持線として機能しています。日足では75日・200日移動平均線を下値支持線にリバウンドを見せており、25日移動平均線の突破からの一段高が期待できます。
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【中央発條(5992)】
EVにも必要なスプリングやスタビライザーなどを手掛ける
中央発條(5992)は、サスペンションスプリング(バネ)やパーキングケーブル、トランスミッションケーブルなどを手掛けています。EV化が進むとガソリンエンジンは不要になりますが、中央発條が扱うようなサスペンション用のコイルスプリングや車体のロール(傾き)を制御するスタビライザーなどは継続して必要となります。その他、充電ケーブルを簡単かつコンパクトに収納できる充電ケーブルリールも手掛けています。株価は2022年5月以降、ボトム圏での推移が続いていますが、13週・26週・52週移動平均線が下値支持線として意識されており、「株価出遅れの修正」の流れに期待したいところです。
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【大豊工業(6470)】
モータの潤滑・冷却システムなど電動化に向けた製品を手掛ける
大豊工業(6470)は、トライボロジー(摩擦に関する工学)をコア技術とする自動車部品メーカーです。電動化製品の取り組みとしては、モーターのトランスアスクルの潤滑・冷却システムや電池パックの冷却システム、PCU(パワーコントロールユニット)全体の熱マネージメントなど、EV向けの製品を幅広く手掛けています。株価は、切り下がる52週移動平均線に上値を抑えられる形での調整が続いており、3月17日には一時596円まで下落。しかし、足元でリバウンドの動きを見せているので、13週・26週・52週移動平均線の突破に期待したいところでしょう。
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以上、今回は「EV関連部品・部材」の関連銘柄を発掘しました
トヨタ自動車は、100%電気だけで走るBEVだけではなく、HEVやFCV(燃料電池車)、次世代の水素エンジン車にも力を入れる「全方位戦略」と取っていますが、そのなかでもBEVの推進は欠かせないと見ているようです。
従来のガソリン車で世界トップシェアを誇るトヨタ自動車がEVシフトに本腰を入れることにより、トヨタグループにとどまらず、EV関連部品や部材を手掛けている企業全体への追い風になるでしょう。
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