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グッドフライデー(聖金曜日)のため欧米の株式市場や商品市場が休場だった4月7日、3月の米・雇用統計が発表されました。
非農業部門の雇用者数は前月比23万6000人増加し、市場予想の23万8000人増とほぼ一致しました。また、失業率は3.5%と前月の3.6%より小幅に改善しました。そして、平均時給の伸び率は前年同月比で4.2%と、前月の4.6%から鈍化しました。米国の労働市場は依然として堅調ながらも、賃金インフレ圧力は低下しつつあるようです。
なお、今回の雇用統計を受け、バンク・オブ・アメリカやJPモルガンなど米国の金融機関の多くは、「5月のFOMCでは0.25%の利上げが決まる」との予想を改めて強調したそうです。
米国では雇用統計の発表で景気悪化への過度な懸念が和らぎ、
景気敏感株や消費関連株に買いが入る展開に!
雇用統計に対する米国の株式市場の反応を見ると、3連休明けの4月10日のNYダウは3日続伸し、前営業日の6日比で101.23ドル高の3万3586.52ドルでした。堅調な雇用統計で米国の景気悪化への過度な懸念が和らいだため、景気敏感株や消費関連株に買いが入りました。一方、ナスダック総合株価指数は小幅ながら反落し、同3.60ポイント安の1万2084.36ポイントでした。雇用統計を受け、10日の米国10年債利回りが前週末比0.02%高い3.42%と、米国の長期金利が上昇したことが嫌気されました。
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なお、NY連銀が4月10日に発表した3月の消費者期待調査によると、1年先のインフレ期待は4.75%と、前月の4.23%から上昇しました。2022年10月以来の上昇で、これも債券の売り材料になりました。
「インフレ退治に全力投球中」のFRBがハト派に転じるまで
米国の株式市場の上値は限定的で、日本株もその影響が続く
米国では、今週4月12日に3月の米・CPIの発表を控えています。市場予想では、3月のCPIは前年同月比5.2%上昇と、2月の6.0%上昇の伸び率を下回る見通しです。
ここ最近の米国の株式市場では、経済指標が下振れすれば「FRBの急激な引き締めによる景気悪化懸念」が強まり、株式が売られやすくなっています。逆に、経済指標が上振れしても「インフレ圧力の強まりとFRBによる利上げの長期化」が嫌気されることはなく、「先行きの景気悪化懸念」が和らいで株式は買われやすくなっているように感じます。ただし、指標の上振れは債券の売り材料のため、高PERのグロース株に対しては上値圧迫材料となる見込みです。
なお、FRBは依然としてインフレ退治に全力投球中で、人為的に景気を悪化させようとしているため、米国の景気が悪化することはあっても大幅に改善することはないと見ています。つまり、FRBがハト派に転換するまでは、米国の株式市場の上値は限定的と考えます。
一方、日本株に関しては、米国の経済指標の市場コンセンサスからの上振れは「米国金利上昇⇒円安・ドル高」要因であり、好材料です。一方、経済指標の下振れは「米国金利低下⇒円高・ドル安」となるだけなく、世界の景気敏感株の色彩の強い日本株にとって強烈な悪材料となります。いずれにせよ「米国がくしゃみをすれば日本は風邪をひく」状況は昔から変わっていないので、今後も、米国株式市場の動向に日本株は右往左往することになるのでしょう。
日銀・植田新総裁の就任はひとまずポジティブ材料となったが、
将来的には金融政策の変更により市場が大きく反応する可能性も!
ところで、日銀の植田新総裁の就任会見が4月10日午後7時過ぎから行われました。植田氏は、当面、金融緩和を継続する姿勢を改めて示し、政府と日銀による2%の物価安定目標について「現状は見直す必要はない」と述べました。また、YCC(イールドカーブコントロール)についても、当面は枠組みを変更しない考えを示しました。
その一方「金利操作、ETFの購入について、副作用はあったと考えている」と述べました。そして、市場との対話については「いろいろ難しいことをいろんな面でやっているのが現在の政策だと思うので、必然的にわかりにくいというところはある。一つ一つ解きほぐすようにわかりやすい説明を心がけていけたら」と述べました。
着任早々、拙速な金融政策の変更はないことが改めて確認できる会見でした。日本株にとっては、ポジティブ材料と言えるでしょう。
しかし、大規模な金融緩和策の副作用に言及しているため、将来的には現状の金融政策の点検や検証が行われ、徐々に金融緩和が解除されていくことは、ほぼ間違いないと思います。しかし、それは日本経済の正常化(脱デフレ⇒緩やかなインフレ)に伴う措置であり、日本株にとっては長期的な買い材料になり得ると考えます。
ただし、金融政策の変更時には、流石に市場が短期的に激しく反応することを覚悟しておく必要があります。仮に、株式市場が短期的に急落という形で反応したとしても、その際には冷静さを保って「これは長期的な買い場」との認識を前提に対応することをおすすめします。
今後の日経平均株価は「2万7427~2万8287円」の
ボックス相場から、上下どちらかに放れる展開に!
足元の日経平均株価については、3月16日の2万6632.92円を起点にしたリバウンドは、4月4日の2万8287.42円で天井を打って、終了したと見ており、現在は「調整局面」との認識です。ただし、4月6日の2万7427.66円までの下落で、今回の上げ幅の半値押し(2万7460.17円)は達成済みのため、値幅的な調整はほぼ実現したと思います。
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このため、今後のメインシナリオは「2万7427.66円~2万8287.42円」のボックス相場です。そして、このボックスから上下のどちらかに放れたら、その方向にトレンドが出ると見ています。
日経平均株価の方向性を決める主要因の一つが米国株です。ちなみに、CNNが発表している「Fear&Greed Index(恐怖と強欲の指数)」は、4月10日時点で「GREED(中立よりも強欲寄り)」と、1週間前の「Neutral(中立)」から1段階改善しています。
今後これが2段階悪化して「Fear(中立よりも恐怖寄り)」にならない限り、米国株は底堅く推移する見通しです。そのケースでは、日経平均株価は前述のボックス相場(2万7427.66円~2万8287.42円)を継続するか、上放れることになると見ています。
逆に「Fear(中立よりも恐怖寄り)」になるケースでは、ボックスを下抜ける可能性が高まると考えています。なお、現状からもう一段改善して「EXTREAM GREED(強欲の極み)」になってきたら、米国株が天井をつける可能性が高まるので要注意です。
欧米の金融不安はほぼ完全に鎮静化し、世界的に金融環境はほぼ正常化しましたので、日本株を取り巻く環境は総じて良好です。よって「押し目買い・噴き値売り」を基本に、引き続き積極的な市場参加をおすすめします。
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