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日経平均株価が「3万円」の大台を突破した好調な相場のなかで、
決算発表シーズンを通過したことによる株価見直しの流れに期待
日経平均株価の「3万円超え」が話題となっていますが、国内の株式市場では、先週、決算発表シーズンのピークを通過しました。米国では地銀の破綻による金融システム不安がくすぶり、利上げ長期化観測など不透明な環境が続くなか、国内でも決算期待からの先回り的な物色は手控えられていました。そのため、決算内容がポジティブだった銘柄には資金が一気に集中した半面、決算内容が失望につながった銘柄へは大きな売り圧力がかかることになりました。
ただし、決算発表直後は短期的な資金が集中しやすいことからイレギュラーな価格形成をすることもあり、決算発表がピークを通過したことで、ここからは業績面を見直す動きが期待されます。
また、海外投資家による日本株選好の動きに対する思惑が高まっています。5月2週(5月8日〜12日)の投資部門別売買動向を見ると、外国人投資家は現物と先物の合算で6週連続の買い越しでした。外部環境が不透明ななかで、リスクヘッジ先のひとつとして相対的な割安感が意識されている日本株に資金が流入しているようです。
日本株買いは、米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が日本株の割安感を指摘したことがきっかけとも言われますが、その他にも、東証が「PBR1.0倍割れ企業」に対して改善要請をしたことで、該当する企業の積極的な対応なども期待されています。実際、今回の決算では、配当増額や自社株買いといった株主還元策を発表するPBR1.0倍割れの企業が目立ちました。
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出直り基調が目立つ「ハイテク株」のなかでも
業績が回復傾向にある「EV向け」関連の銘柄にフォーカス
さて、今回は決算発表シーズンを通過し、改めて株価見直しの動きが強まる可能性があるセクターとして「ハイテク株」に注目しました。
「ハイテク株」といえば、最近ではスマートフォン向け製品の落ち込みやデータセンター向け投資の抑制などが影響し、業績が芳しくない銘柄が多い印象です。例えば、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)は半導体投資の低迷が響き、2024年3月期は4期ぶりに営業減益を見込んでいます。しかし、東京エレクトロンは、決算発表後に悪材料出尽くしの動きを見せ、直近で3月高値を突破して2022年6月以来の水準を回復してきました。
米国市場においても「ハイテク株」の出直り基調が目立ってきており、ナスダック総合株価指数は、足もとで年初来高値を更新しました。また、自動車の生産回復やEV(電気自動車)の普及で、業績が回復傾向にある「ハイテク株」も多いようです。
こうした背景から、今回は「EV向け」を強化している「ハイテク株」の売られ過ぎた後や悪材料出尽くし後の上昇、いわゆる“修正リバウンド”に注目したいと思います。
具体的な銘柄としては、今期予想が市場コンセンサスを上回った「EV関連ハイテク株」のなかから、テクニカル面で株価上昇に期待が持てる銘柄を選定しました。
【TDK(6762)】
EV向けコンデンサーや磁気センサーなどが好調に推移
TDK(6762)は、スマートフォン向けの業績は落ち込んだものの、自動車の生産回復やEVの普及を背景にコンデンサーや磁気センサーの業績が伸びる見込みで、4月28日発表の2024年3月期の営業利益は2ケタ増益を見込んでいます。株価は、決算をきっかけにマドを空けての上昇を見せており、その後も高値圏での推移を継続。足元で、2022年12月以来の5000円を回復してきました。目先的には2022年6月の高値5300円に接近してきたことから、2021年1月の高値水準である6000円辺りをターゲットとしたトレンド形成が期待されます。。
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【ニチコン(6996)】
設備投資を150億円に引き上げ、EV向けコンデンサーの生産を増強
ニチコン(6996)はコンデンサー大手で、EV向けのフィルムコンデンサーを供給しています。2024年の設備投資計画では、設備投資を前期比40億円増の150億円に引き上げており、EV向けコンデンサーの生産を増強すると見られます。株価は、4月27日につけた安値1249円をボトムにリバウンドを見せており、足元では200日移動平均線が下値支持線に変わることが期待されます。目先的には3月高値の1459円がターゲットですが、これをクリアしてくるようだと2022年9月の高値1562円が射程に入ってくるでしょう。
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【パナソニックホールディングス(6752)】
米国で新工場建設など、EV向け電池の投資攻勢を強める
パナソニックホールディングス(6752)は、自動車生産の回復を受けた車載機器や車載電池の販売が伸びる見込みで、2024年3月期の営業利益は前期比49%増の4300億円を計画しています。また、米国でEV向け電池の投資攻勢を強めており、カンザス州で2つ目の工場建設を進めているほか、さらにオクラホマ州でも工場の新設を検討しているようです。株価は、足元で強い上昇トレンドが続いており、2021年10月の高値1541円が射程に入ってきました。
⇒パナソニックホールディングス(6752)の最新の株価はこちら!
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【ルネサスエレクトロニクス(6723)】
自動車向け製品の成長で、好採算製品へのシフトが進む
ルネサスエレクトロニクス(6723)の2023年12月期・第1四半期の業績は、スマートフォン向けが落ち込んだものの自動車向けが好調で、営業利益が2ケタの伸びとなりました。自動車向け半導体の成長により好採算製品へのシフトが進んだほか、自動車1台当たりの搭載額も増えたようです。株価は足元で強いトレンドが続いており、過熱感が警戒されるものの、押し目狙いのスタンスで注目です。
⇒ルネサスエレクトロニクス(6723)の最新の株価はこちら!
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【村田製作所(6981)】
EV向けの需要拡大を見込み、中国の工場で新たな生産棟を建設
村田製作所(6981)は、スマートフォンなどに使う電子部品は減速するものの、中長期的にはEV向けと高性能のスマートフォン向けの分野で需要拡大を見込んでいます。2022年11月には、中国・江蘇省にある工場で445億円を投じて新たに生産棟を建設すると発表。2024年春の完成を予定しているようです。株価は、1月4日の安値6438円をボトムにリバウンドが続いており、足元で75日移動平均線が下値支持線として機能しています。週足の一目均衡表の雲上限が4月高値の水準に位置しており、これを超えてくるようだと、2021年1月の高値1万835円から続く調整トレンドから、上昇トレンドへの転換が期待されます。
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【三菱電機(6503)】
自動車機器事業の構造改革を実施し、EV関連に経営資源を集中
三菱電機(6503)は4月24日、自動車機器事業の構造改革を実施することを発表。自動車機器事業を1年以内に分社化する予定で、分社後は成長領域のEV関連事業に経営資源を集中させるほか、外部企業との技術的な提携なども検討して立て直しを急ぐ方針のようです。株価は2023年に入って順調に上昇が続いており、5月9日には1788円まで買われました。2021年6月の高値1817円に接近しており、これをクリアしてくるようだと、2018年1月の高値2179円が射程に入ってきそうです。
以上、今回は「EV関連ハイテク株」を発掘しました。
なお、「ハイテク株」の多くは、足もとで強い上昇を見せる銘柄が目立っていますが、長期的なトレンドを見ると現在の株価位置がまだまだ低いことがわかるので、月足や年足で長い期間のチャート形状を確認してみてください。
また、「ハイテク株」に関しては、今後「生成AI」の分野が新たな成長のカギになると見られているので、出遅れ感のある銘柄はエントリー(買い)タイミングを見極めておきたいところです。
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