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日銀短観の6月調査の結果や大幅な円安の流れにより、
日経平均株価は2週間ぶりにバブル崩壊後の高値を更新!
7月3日の日経平均株価は大幅に反発し、前週末比564.29円(1.70%)高の3万3753.33円と、終値ベースで6月16日以来、約2週間ぶりにバブル崩壊後の高値を更新しました。なお、翌4日は反落し、前日比330.81円(0.98%)安の3万3422.52円でした。
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7月3日は、日銀短観の6月調査で、半導体などの供給制約の緩和で生産が回復したことにより大企業製造業の景況感が7四半期ぶりに改善に転じるなど、良好な見通しが示されたことが買い材料となりました。具体的には、6月調査の業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス5と、前回の3月調査のプラス1から4ポイント改善しました。先行きについても、プラス9とさらに改善する見込みです。
また、企業がコロナ禍で先送りしていた設備投資を積極的に行うことから、2023年度の設備投資計画は全規模全産業で前年度比11.8%増となりました。さらに、大企業・製造業の事業計画の前提となる2023年度の想定為替レートは、1米ドル=131.55円、1ユーロ=139.02円でした。
企業の景況感が改善したことに加え、設備投資が活発化し、実際の為替レートが企業の想定レートよりも大幅に円安で推移しているため、多くの投資家が日本の景気の先行きに自信を深めたようです。当然これは日本株の押し上げ要因となります。
好調な経済指標を背景とした金融引き締めの長期化が、
製造業を中心に米国経済を「オーバーキル」するリスクが増大!
ただし、悩ましいことが2つあります。1つは、米国経済があまりに強過ぎて、FRBによる金融引き締めが長期化し、製造業を中心に米国経済を「オーバーキル」するリスクが一段と高まっていること。もう1つは、足元の急激な円安を日本の政策当局が問題視していることです。
まず、1つめの米国についてですが、FRBによる金融引き締めにかかわらず、市場予想を上回る経済指標の発表が相次いでいます。例えば、6月29日に発表された週間の新規失業保険申請件数は23万9000件と、前週から減少し、市場予想の26万4000件を下回りました。また、ミシガン大学が6月30日に発表した6月の米・消費者態度指数(確報値)は64.4と、速報値と市場予想(ともに63.9)を上回りました。その一方で、7月3日に発表された6月のISM造業景況感指数は46.0と、市場予想の47.3を下回り、前月の46.9から低下しました。好不況の分かれ目となる50を8カ月連続で下回っており、生産や在庫など項目別で見てもすべてが50を割り込んでいます。
確かに、6月30日発表の5月の米・個人消費支出(PCE)では、総合価格指数が前年同月比3.8%の上昇と伸び率で4月の4.3%を下回り、2021年4月以来、2年1カ月ぶりの低い水準でした。また、価格変動の大きいエネルギーと食品を除いたコア指数も4.6%の上昇と、4月の4.7%から伸びが縮小しました。
FRBが重視するインフレ指標のPCEが鈍化したことは、FRBにとって歓迎すべきことです。しかしながら、米国の雇用市場が依然としてタイトなので、FRBがすぐにタカ派からハト派に転じるとは思えません。このため、7月3日のNY債券市場では、金融政策の影響を受けやすい2年債利回りが前週末比0.04%高い4.94%と高水準でした。
このように、米国の先行き景気は非常に不透明なのですが、株式市場は極めて楽観的です。CNN Moneyが開発した指標で、株式市場に対する投資家のセンチメント(心理状態)を示す指標として有名な「Fear and Greed Index」を見ると、7月3日時点で85と「Extream Greed:強欲の極み」の過熱(売り)ゾーンで推移しています。
なお、このような状況で「市場の判断が間違っている」と勝手に判断して「空売り(ショート)」などを行うのはやめておいたほうが無難でしょう。なぜなら、それは市場で発生している「上昇トレンド」に完全に逆らう投資行動だからです。今後、「Fear and Greed Index」が「NEUTRAL:中立」、もしくは「FEAR:恐怖」に変化したタイミングで、ショートするか否か判断することをおすすめします。
政府や日銀による「為替介入」がいつあってもおかしくないことから、
目先は「輸出関連銘柄」より「内需系銘柄」の比率を高めよう!
一方、足元の円安に関してですが、鈴木俊一財務相は6月30日、「急速で一方的な動きも見られる。市場の動向を高い緊張感を持って注視している」と述べました。また、イエレン米財務長官は6月30日、「私たちのチームは介入の根拠をよりよく理解しようとしており、日本の当局者とも連絡を取り合っている」と述べ、円安対応の為替介入の是非について日本政府と調整に入っていることが報じられました。このため、政府・日銀による円買い介入がいつあってもおかしくない状況と考えています。
ちなみに、1ドル=145円台は、政府・日銀が2022年9月に円買い・ドル売り介入を実施した水準です。政府・日銀は2022年9月22日、急速な円安を抑えようと24年ぶりに円買い・ドル売り介入に踏み切りました。そして、その後も円安が続いたため、10月の21日と24日にも追加で介入しました。
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今後、実際に円買い介入が行われたうえ、介入効果が出て円高に振れるようなら、輸出関連企業の株価の上値を一時的に圧迫する可能性があります。このため、目先的には、輸出関連銘柄よりも、内需系銘柄の比率を高めておくべきと見ています。
複数の需給不安にも関わらず、日経平均株価は強い値動きを継続!
当面は「押し目買い・噴き値売り」を基本戦略に強気のスタンスで
それにしても「6月第3週に海外勢が売り越しに転じたこと」「GPIFなど年金からのリバランス売りが出ていること」、さらに「ETFの分配金捻出売りが出ること」という多くの需給不安が存在しているにもかかわらず、日経平均株価は非常に強い動きを続けています。
テクニカル的には、4月17日から7月4日まで、25日移動平均線が54日連続で上昇しています。今後に関しては「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きの状況」に変化するまで、本格的な調整は発生しないと考えています。
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前回の当コラムでは、「買いポジションを可能な限り持たずに、株式市場を眺めるだけにしておくことをおすすめします」と書きましたが、「需給悪にもかかわらず強い値動きを続けていること」「日銀短観で強い日本経済が確認できたこと」の2点を踏まえ、当面は「“押し目買い・噴き値売り”を基本戦略にして、買いポジションを徐々に増やすことをおすすめします」に変更したいと思います。
狙うべき銘柄としては、質の高い収益を生み出し、財務内容も比較的健全な優良企業である「クオリティ株」のうち、低PER・低PBRで株価が出遅れ気味の「内需系大型株」を挙げておきたいと思います。「出遅れ修正(循環物色)」による「日本株全体の底上げ」の流れに上手く乗り、ぜひとも収益獲得を実現してください。
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