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FRBの金融引き締めが長期化するとの見方が強まったことで、
米国の長期金利は15年9カ月ぶりの高水準に!
外部環境が悪化しているため、足元の日本株は冴えない動きを続けています。その主因は、先週から引き続き、米国の長期金利の上昇と中国の景気悪化懸念の強まりです。
まず、米国については、足元の経済が想定以上に底堅く、FRBの金融引き締めが長期化するとの見方が強まっています。この影響で、8月21日の米国10年債利回りは前週末比0.09%高い4.34%で取引を終了。一時は4.35%と2007年11月以来、15年9カ月ぶりの高水準をつける場面もありました。
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長期金利の上昇は、米国の高PERのグロース株・ハイテク株の上値圧迫要因です。なお、8月21日、グロース株・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反発し、前週末比206.81ポイント(1.56%)高の1万3497.59ポイントで取引を終えました。
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しかしながら、これは前週末の8月18日に6月上旬以来の安値をつけたことで値ごろ感からの“押し目買い”や“売り方の買戻し”が入ったことによる短期的なリバウンドに過ぎないと見ています。ちなみにナスダック総合株価指数は、8月14~18日の間に、終値ベースで354.07ポイント(2.59%)下落しました。
8月25日に行われるFRBのパウエル議長の講演は、
「金融引き締めが長期化する内容」となる可能性が高い
今週、8月24~26日に国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開かれ、25日にはFRBのパウエル議長が講演する予定です。そこで、議長が今後の金融政策について一体どのような姿勢を示すかが注目されます。なぜならば、過去の「ジャクソンホール会議」でのFRB議長の発言が、その後の米国の金融政策を占う重要なシグナルとなってきたからです。
ですが、今回の講演に関しては「金融引き締めが長期化する内容」になる可能性が高いと見ています。なぜならば、ここ最近、強い経済指標の発表が相次いでいるからです。
例えば、8月15日に発表された7月の米・小売売上高は、前月比0.7%増と市場予想の0.4%増を上回り、個人消費が強さを保っていることが示されました。また、17日発表の週間の新規失業保険申請件数は、23.9万件と市場予想の24万件よりやや少なく、米国の労働需給が依然として引き締まっている様子が窺えました。そして、同じく17日に発表された8月の米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、プラス12に上昇。市場予想の中央値はマイナス10.4だったので、予想外の上昇でした。流石にこれだけ強い経済指標の発表が続くと、議長もタカ派的なスタンスを維持するしかないと考えます。
不動産不況に端を発した中国経済の失速が、
世界全体の景気に波及することが危惧される
一方、中国に関しては、不動産大手企業の経営問題を発端として、先行きの景気不安が引き続き燻っています。具体的には、経営再建中の不動産大手の中国恒大集団(エバーグランデ)が8月17日、米国の連邦破産法15条の適用をニューヨーク州の裁判所に申請しました。また、資金繰り懸念が浮上している中国不動産最大手の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)が、私募債の償還を3年間延長する案を債権者に提案すると、中国メディアが19日までに報じています。
このような状況を反映し、8月21日の香港株式相場は7日続落。香港ハンセン指数の終値は前週末比327.56ポイント(1.82%)安の1万7623.29ポイントと、連日で年初来安値を更新しました。また、同日の上海株式相場も続落し、上海総合指数の終値は前週末比38.9753ポイント(1.24%)安の3092.9777ポイントと、こちらも年初来安値を更新しました。
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8月21日は、中国人民銀行(中央銀行)が、最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)の1年ものを0.10%引き下げたものの、引き下げ幅は大半の市場関係者が予想していた0.15%よりも小幅だったことに加え、住宅ローン金利に影響する5年ものLPRが市場予想に反して4.20%に据え置かれたことが失望されました。
ちなみに、中国国家統計局が8月15日に発表した中国の1~7月の不動産開発投資は前年同期比8.5%減の6兆7717億元と、1~6月の7.9%減から落ち込みが拡大しています。また、7月の小売売上高は前年同月比2.5%増と、増加率が6月の3.1%増から縮小しました。このため市場では、不動産不況に端を発した消費低迷で中国経済の失速に歯止めが掛からず、これが世界全体の景気に波及することが危惧されているのです。
日米金利差の拡大による円安ドル高⇒国内長期金利の上昇で、
好業績が見込めるバリュー系・内需系の大型株に資金が流入
このように外部環境が悪化しているため、日経平均株価も調整を続けています。
8月22日まで、5日移動平均線は7日連続で、25日移動平均線は13日連続で下降しました。「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きの状況」になっていますので、調整が継続していると見ています。今後に関しては「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きの状況」になるまでは、日経平均株価の上値が重い状況が続く見通しです。
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一方、米国の長期金利が2007年11月以来の水準に上昇し、日米金利差が拡大したこと受け、外国為替市場では円が対ドルで売られて1ドル=146円台の円安水準で推移しています。これは、わが国の輸入物価の押し上げ要因です。
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この影響で、国内債券市場では長期金利が上昇基調です。8月22日午前の国内債券市場でも長期金利は上昇し、新発10年物国債の利回りは前日比0.010%高の0.655%をつける場面がありました。この国内の長期金利の上昇は、わが国の高PERのグロース株の上値圧迫要因です。
このため、長期金利の低下が見込めるまでは、グロース株・小型株は避け、低PER・低PBR・高配当利回りで、好業績が見込めるバリュー系・内需系の大型株(銀行、保険、通信など)に資金が流入すると見ています。
ただし、中国マーケットの売上比率の高い、電子部品、工作機械などは避けたほうがよいでしょう。また、円安とはいえ、中国発の世界景気減速懸念が弱まるまでは、自動車、電機、精密など外需系銘柄全般の上値追いも避けたほうが無難と考えています。
一方、円安効果や中国人の団体旅行解禁の効果を期待し、百貨店、ホテル、飲食、空運、鉄道などの「インバウンド関連銘柄」の押し目を積極的に狙うことをおすすめします。
前回も当コラムで指摘しましたが、株式市場全体に資金流入が活発化しているわけではないので、銘柄選別が非常にシビアな状況が続くことでしょう。値動きの鈍い銘柄については、値動き良好な銘柄に乗り換えるための“換金売り圧力”が強い状況が続く可能性が高いため、可能な限り「資金を強い銘柄(例えば、株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線が上向きの銘柄)に寄せる」戦略を採用し続けるべきと考えます。
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