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ジャクソンホール会議におけるパウエルFRB議長の講演は、
タカ派的なコメントだったものの「ほぼ想定通り」の内容で終了
FRBのパウエル議長は8月25日、ジャクソンホール会合での講演で「インフレ率はピークからは下がってきており、それは喜ばしい展開だが、なお高過ぎる」「適切と判断すれば追加利上げに動く用意がある。インフレがわれわれの目標に向かって持続的に低下していると確信できるまで、政策を景気抑制的な水準に据え置く考えだ」と述べました。この発言自体はタカ派的なコメントですが、従来の主張を繰り返したに過ぎません。
市場が注目していたのは、「r*(アールスター)」と呼ばれる「経済を熱しも冷ましもしない金利(自然利子率)」に関して、議長が踏み込んで言及するか否かでした。万が一、議長が自然利子率の上昇を示唆するような発言をしたら、「米債券安+株安」が発生する可能性が高かったのですが、結果として踏み込んだ言及はありませんでした。つまり、議長講演は終わってみれば「無風」で、株式市場にとってはポジティブでした。
実際、今回の講演を受けた8月25日の米国の株式市場でNYダウは反発し、前日比247.48ドル高の3万4346.90ドル、ナスダック総合株価指数も反発し、同126.67ポイント高の1万3590.65ポイントでした。そして、週明け28日のNYダウは続伸し、前週末比213.08ドル高の3万4559.98ドル、ナスダック総合株価指数も続伸し、同114.49ポイント高の1万3705.13ポイントでした。
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この8月25日と28日の値動きは、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演内容が、おおむね市場が想定したとおりの内容だったと受け止められ、株式が買い戻された結果です。
低迷していた中国市場は政府の相次ぐ政策によって
上昇の動きを見せ、短期的には底入れした可能性が!
一方、景気先行き懸念が強まっている中国でも、ポジティブな動きがありました。8月28日の香港株式相場は反発し、香港ハンセン指数の終値が前週末比174.36ポイント(0.97%)高の1万8130.74ポイントでした。また、同日の中国・上海株式相場も反発。上海総合指数の終値は、前週末比34.56ポイント(1.13%)高の3098.63ポイントでした。これは、中国当局による株式市場の活性化策を好感した買いが入った結果です。
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中国では、低迷している株式市場の活性化を狙った政策発表が相次いでいます。中国証券監督管理委員会は8月18日、証券取引所での取引時間の延長や企業の自社株買いの規制緩和を検討すると発表しました。また、8月27日にはIPOについて、ペースを段階的に抑制すると発表しました。そして、中国財政省と国家税務総局は、8月28日から株式の取引にかかる印紙税を引き下げました。印紙税の引き下げは2008年以来15年ぶりのことで、売却時にかかる0.1%の税率が半減します。
中国当局は株高を演出し、経済を回復させていく目論見のようです。ちなみに、中国政府は、7月の中央政治局会議で「資本市場を活性化させ、投資家の信頼を取り戻す」と明言しています。このため、香港および上海株式市場は、短期的には底入れした可能性が高まったと見ています。
日経平均株価は短期的には底打ちしたものの、
依然として上値は重く「横ばいトレンド」が継続
米国でパウエルFRB議長の講演を無事に通過し、中国でも株式市場が底入れした可能性が高まったため、日本株も当面は底堅く推移すると見ています。ただし今週は、8月31日にFRBが金融政策運営で重視している物価指標のひとつ、7月の米・個人消費支出(PCE)の発表があります。また、9月1日には8月の米・雇用統計が発表されます。このように、物価と雇用の重要指標の発表を控えているため、米国株に関しては、値動きが少なく膠着感の強い1週間になりそうです。
このため日本株に関しても、底堅いものの上値の重い状況が続く見通しです。日経平均株価については、8月18日の3万1275.25円で底打ちしたと見ています。ただし、8月29日終値は3万2226.97円と、25日移動平均線(29日時点で3万2276.12円)を下回っており、また25日移動平均線自体も18日連続で下降中です。よって、短期的に底打ちしたとはいえ「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きの状況」になるまでは、調整(横這いトレンド)が継続すると見ています。
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「PBR1倍割れ解消」「政策保有解消」「投資家経営者一心同体」など、
9月7日上場のアクティブETF関連のテーマ株に注目!
個別の物色については、東証が8月21日に上場を承認したアクティブ運用型ETF(上場投資信託)の6銘柄が参考になると思います。アクティブETFとは、株価指数などに連動したパッシブETFと異なり、運用会社がリターン拡大のため銘柄を自由に選ぶETFです。東証は、これまで指数連動ETFしか上場を認めてきませんでしたが、6月末からアクティブETFの上場申請の受付を始めていました。
今回、上場が承認されたのは以下の6銘柄で、上場予定日はいずれも9月7日です。
【9月7日に上場予定のアクティブETF)
・PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)
・政策保有解消推進ETF(2081)
・投資家経営者一心同体ETF(2082)
・NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信(2083)
・NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信(2084)
・MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信(2085)
アクティブETF上場の流れから、物色対象として注目するべきキーワードは「PBR1倍割れ解消」「政策保有解消」「投資家経営者一心同体」「高い自己資本利益率(ROE)期待」「高配当」です。今回上場承認されたアクティブETFに組み入れられる銘柄群が、今後の狙い目と考えます。それではそれぞれのETFを見ていきましょう。
◆PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)
PBRが1倍未満の銘柄のなかから、利益水準や財務状況、取引所における流動性など、運用会社であるシンプレクス・アセット・マネジメント独自の観点で総合的に投資銘柄を選定するアクティブETFです。投資銘柄が資本コストを意識した経営に向かい、PBR1倍割れの銘柄のバリュエーションが改善することから生まれる収益機会を狙います。
◆政策保有解消推進ETF(2081)
純資産における政策保有株式の比率が一定以上ある銘柄のなかから、利益水準や財務状況、取引所における流動性などを総合的に勘案し、投資銘柄を選定したアクティブETFです。投資銘柄が政策保有株式の保有を解消し、より資本効率性を意識した経営となることから生まれる収益機会に着目しています。
◆投資家経営者一心同体ETF(2082)
取締役会構成員、およびその親族、資産管理会社などの議決権の保有割合の合計が一定以上ある企業のなかから、利益水準や財務状況、取引所における流動性などを総合的に勘案し、投資銘柄を選定。経営陣が株主目線に立ち、より中長期の企業価値拡大を目指した経営を行うことから生まれる収益機会と、それによる業績の向上を期待した戦略となります。
◆NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信(2084)
国内株式のなかから、個別企業の調査・分析などに基づいたボトムアップアプローチにより、企業のビジネスモデルや経営戦略、財務戦略などを評価。中長期的に見て、高い自己資本利益率(ROE)が期待できる企業を中心に銘柄を選定します。
◆NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信(2084)
国内株式を主要投資対象とするなか、配当利回りに着目し、高水準の配当収益と中長期的な値上がり益の両方を見据え、総合的な利益追求を目指すアクティブETFです。
◆MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信
国内株式を主要投資対象とし、中長期的な値上がり益の獲得および配当収益の確保を目指して運用を行うアクティブETFです。株式の配当利回りの高い企業は、高いキャッシュフローを生み出す収益基盤を持つなど将来の収益獲得が期待されることから、中長期的な利益の確保を目指します。投資に当たっては、原則的に大型・中型株のうち、配当動向や信用リスクを考慮しつつ、予想配当利回りが上位の銘柄を選定します。
今は「高PERの小型グロース株」や「中国関連株」
「インバウンド関連株」を売買しづらい状況に!
一方、8月28日の米国10年債利回りは、前週末比で0.03%低い4.20%で取引を終えましたが、依然として高止まりしています。このため、引き続き、高PERの小型グロース株は触らないほうが無難でしょう。
また、福島第一原発の処理水放出を受け、中国が8月24日に日本産水産物の全面禁輸を発表したり、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」で日本の化粧品購入を控えるよう呼びかける多くのコメントが複数のユーザーから書き込まれたり、日本ツアーのキャンセルが相次いだりしています。それに加え、外務省が8月27日、中国への渡航や滞在を予定する邦人に注意を呼び掛けたこともあり、中国関連銘柄やインバウンド関連銘柄も売買しづらい状況と考えます。
したがって今は、前述したアクティブETF6銘柄に組み入れられる可能性の高い「内需系の大型株&バリュー株」を中心にした運用を強くおすすめします。
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