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米国の失業率の上昇や賃金上昇の鈍化によって
FRBの利上げ終了への期待が高まり、株式市場の追い風に!
9月1日に発表された米国の8月のISM製造業景気指数は47.6と、景気の拡大・縮小の分岐点となる50を10カ月連続で下回ったものの、7月の46.4から上昇し、市場予想の47.0を上回りました。ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は「8月の総合景況指数は受注の弱さが続くなかで、企業が生産を適切に管理していることを反映しているが、月間ベースでの上昇は改善の兆しだ」と指摘しています。このように、製造業活動の低迷に歯止めが掛かったことが確認できたことは、米国株式市場にとってポジティブ材料です。
また、9月1日発表の8月の米・雇用統計では、非農業部門の就業者数の伸びが18万7000人と市場予想の17万人増を上回りました。しかしながら、7月の就業者数の伸びは3万人減の15万7000人増に下方修正され、6月の数字も18万5000人増から10万5000人増へ大幅に下方修正されました。また、失業率は市場の事前予想に反して、前月の3.5%から3.8%に上昇しました。そして、平均時給の伸びは前月比で0.2%増、前年比で4.3%増と、いずれも7月から低下しました。
これらの数値を見る限り、米国の労働市場の需給は明らかに緩んでいるとの印象です。非農業部門の就業者数の伸びが鈍化したうえに失業率も上昇し、さらに賃金の上昇の鈍化が続けば、FRBは利上げを止めやすくなることから、こちらも米国の株式市場にとってポジティブ材料です。
今後の米国ではバリュー株が買われる可能性が高く、
米国の株式市場全体が急落するリスクは低い!
ISM製造業景気指数も雇用統計も8月の数値は、景気の軟着陸(ソフトランディング)への期待を高める結果だったと、私は思いました。しかしながら9月1日、クリーブランド連銀のメスター総裁は講演で「(労働市場に関して)需給はより均衡してきたが、依然として強い」「(インフレ率も)高過ぎる」と指摘し、金融引き締めの長期化を支持しました。このため、1日のNY債券市場では長期債相場が6日ぶりに反落し、米国10年債利回りは前日比0.08%高い4.18%で取引を終えました。
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この長期金利の上昇を受けても9月1日のNYダウは反発し、前日比115.80ドル高の3万4837.71ドルでした。しかしながら、高PERのグロース株比率が高いナスダック総合株価指数は6日ぶりに反落し、同3.15ポイント安の1万4031.82ポイントとなりました。やはり、長期金利が高止まりしていると、バリュエーション面から割高なグロース株の上値は重くなるようです。
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ただし、9月1日のNYダウが上昇したことから、市場の米国経済のソフトランディング期待は根強いと思われます。このため、今後、米国ではバリュー株が買われる可能性が高く、米国の株式市場全体の急落リスクは低いと見ています。
中国政府が次々と対策を打ち出したことで、
不動産不況に対する投資家の警戒感がやわらぐ
一方、世界的な景気悪化の懸念材料と見られていた中国に関しても、ポジティブな動きが顕在化しています。具体的には、中国証券監督管理委員会は8月18日、証券取引所での取引時間の延長や企業の自社株買いの規制緩和を検討すると発表。また、8月27日にはIPOについて、ペースを段階的に抑制すると発表しました。そして、中国財政省と国家税務総局は、8月28日から株式の取引にかかる印紙税を引き下げました。これらは「低迷する株価対策」と言えます。
さらに9月4日、住宅ローン規制緩和を、北京、上海、広州、深圳の「一級都市」がそろって導入したと伝わっています。緩和の具体的内容は「過去の信用情報に関係なく、住宅購入時に有利な条件で融資を受けられる」というもので、同様の規制緩和を他の主要都市も相次いで導入しているとのことです。これに関しては、住宅取引のピークシーズンの9~10月にも政策効果が出る、と専門家が指摘しているようです。
中国政府が、8月の「株安対策」に続き、9月に入って「不動産不況対策」を打ち出してきたことで、中国の景気悪化懸念が大幅に和らいできています。実際、9月4日の上海総合指数の終値は前週末比43.8136ポイント(1.39%)高の3177.0603ポイントと、高値で引けました。また、香港ハンセン指数の終値は前営業日の8月31日と比べて462.10ポイント(2.51%)高い1万8844.16ポイントでした。両指数とも、住宅ローン規制の緩和が打ち出されたことで投資家心理が強気に傾き、幅広い銘柄に買いが入った結果の上昇です。
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米国や中国などの外部環境が大幅に改善しつつあることで、
日経平均株価は短期の上昇トレンドが発生!
このように、米国の長期金利の高止まりしていること以外、外部環境が大幅に改善しつつあるため、日経平均株価は「下がりにくく、上がりやすい状態」になったと見ています。
テクニカル的にも、9月4日、25日移動平均線は、22日ぶりに上昇転換しました。この結果「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きの状況」になりました。このため、調整は終了し、短期的な上昇トレンドが発生したと見ています。翌5日には25日移動平均線は下向きになってしまいましたが、発生した上昇トレンドは「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きの状況」になるまで続く見通しです。
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「PBR1倍割れ解消」「政策保有解消」の関連を狙い、
「高PERの小型グロース株」や「インバウンド」関連は避けよう
個別の物色については、東証が8月21日に承認し、9月7日に上場するアクティブ運用型ETF(上場投資信託)6銘柄を参考にして、「PBR1倍割れ解消」「政策保有解消」「投資家経営者一心同体」「高い自己資本利益率(ROE)期待」「高配当」というキーワードに当てはまる銘柄群に、引き続き注目しています。
【※アクティブ運用ETFについての詳細記事はこちら!】
⇒「アクティブ運用型ETF」で注目の投資テーマを学べ! 「PBR1倍割れ解消」「政策保有解消」など、ETFの運用方針に合う「内需系の大型株&バリュー株」に注目!
一方、米国10年債利回りが高止まりしているため、引き続き「高PERの小型グロース株」は触らないほうが無難です。
また、福島第一原発の処理水放出を受け、中国が8月24日、日本産水産物の全面禁輸を発表して以降、日中関係が悪化しています。このため、中国での売上高比率の高い中国関連やインバウンド関連は避けたほうが良さそうです。
よって、前述のアクティブETF6銘柄に組み入れられる可能性の高い「内需系の大型株&バリュー株」を中心にした運用を、引き続き強くおすすめします。
2024年の「新NISA」開始による投資初心者の大量参入で、
「社名がよく知られている有名企業」へ資金が流入!
なお、ご存じのように、2024年から新しいNISA制度が始まります。現行のNISAの非課税期間は一般NISAが最長5年間、つみたてNISAが最長20年間でしたが、新NISAでは非課税期間が撤廃されて無期限になります。また、投資できる金額も増加し、年間投資枠はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で合計360万円、すべての期間を合算した非課税限度額の総額は1800万円(うち成長投資枠は1200万円)になります。さらに、新NISAで買った投資信託や株を売却すれば、その分の非課税枠が復活します。
【※アクティブ運用ETFについての詳細記事はこちら!】
⇒「新NISA」が始まる前に準備すべきことを解説! すぐに「つみたてNISA」口座開設&積立投資を始めるほか、「成長投資枠」の使い方、「iDeCo」の併用も検討しよう
このように新NISAのメリットが大幅に増大したことで、来年は多くの個人マネーが新NISA経由で日本の株式市場へ流入してくることでしょう。そして、個別株で新規参入してくる個人投資家の多くは、社名がよく知られている有名企業を選好すると考えています。このため、来年の新NISA開始前までに、旧財閥系を中心とした大型株の比重を高くしたポートフォリオの構築を目指しましょう。
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