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米国では政府機関の閉鎖が回避され、日銀短観も良好だったものの、
日経平均株価は上値の重さが嫌気されて大幅に下落!
10月2日の日経平均株価の値動きは、上値の重さが際立ち、買い方の心を折るような酷いものでした。2日の始値は前週末比244.35円高の3万2101.97円で、その後も買いが優勢となり、9時34分には同543.96円高の3万2401.58円の高値をつけました。しかしながら、そこから上値の重さを嫌気した売りが加速し、結局、同97.74円安の3万1759.88円の安値引けで取引を終えました。明確な悪材料が見当たらないなか、高値から641.70円も下落したことで、投資マインドは一気に冷え込みました。そして、翌3日も続落し、前日比521.94円安の3万1237.94円で終えました。
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10月2日は、米国で政府機関の一部閉鎖が土壇場で回避されたことと、日銀が発表した9月の短観が好感されたことで、買いが先行しました。
まず米国では9月30日、議会上下両院が11月半ばまでの「つなぎ予算案」をいずれも賛成多数で可決。さらにバイデン大統領が同日夜に署名したことで、「つなぎ予算案」が成立しました。これは、2024年度予算案の審議時間を稼ぐための、その場しのぎの措置ではあります。とはいえ、政府機関の一部閉鎖が回避されたことは、米国のみならず、世界の金融市場にとってポジティブな材料でした。
次に、日本では10月2日、日銀が9月の日銀短観を発表しました。大企業・製造業DIは前回を4上回る9となり、2期連続で改善しました。また、大企業・非製造業DIは6期連続で改善し、前回を4上回る27と、1991年11月以来、およそ32年ぶりの高い水準となりました。大企業に関しては、製造業、非製造業ともに景況感が良好であることが確認できたことになります。
また、事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)は、2023年度通期で1米ドル=135.75円と、前回6月の132.43円から3.32円も円安方向に修正されました。それでも、足元の米ドル/円相場は1ドル=150円に迫るような円安水準で推移しているため、外需系企業の収益の上振れが期待できる状況であることも確認できました。
さらに、大企業・全産業の2023年度の設備投資額(含む土地投資額)が上方修正され、前年度比13.6%増と、過去平均を上回る推移が続いていることも確認できました。当然のことながら、旺盛な企業の設備投資意欲は、日本経済・株式市場にとって、ポジティブな材料です。
米国の経済指標が良い結果でも悪い結果でも
FRBはタカ派スタンスを崩さず、株価が上がらない状態に!
にもかかわらず、10月2日の日経平均株価は失速し、3日も続落しました。この主因は、やはり、FRBによる金融引き締めが長期化して、米国景気が急激に失速するリスクに市場が怯えていることです。
FRBに関して言えば、例えば、タカ派として知られているFRBのボウマン理事は10月3日「入手されるデータで、インフレの進展が停滞したり、インフレ率を適時に2%に低下させる過程が緩慢すぎることが示されたりすれば、今後のFOMCでFF金利の誘導目標の引き上げを支持する」と述べています。また、同日、FRBのバー副議長(銀行監督担当)は「米国の金融当局者らが現在直面している最大の問題は、金利を景気抑制的な水準にどの程度長く維持するかだ」と指摘しています。
9月29日に発表された8月の米・個人消費支出(PCE)価格指数データでは、変動の大きい食品・エネルギーを除くPCEコア価格指数は前年同月比で3.9%上昇したものの、前月比0.1%上昇と、2020年終盤以来の小幅な伸びにとどまりました。このように前月比の伸びが鈍化したことを確認した後でも、FRB高官らは「タカ派」スタンスを崩していません。
なお、10月2日発表の米・ISM製造業景況指数は49.0と、前月の47.6から上昇し、市場予想の47.9を上回りました。本来なら、同指数の前月比での改善は、株式市場にとって明らかにポジティブな材料です。しかしながら、これを受け、2日の米国10年債利回りは一時4.70%と、2007年10月以来16年ぶりの高水準をつける場面がありました。
つまり、米国経済の底堅さを確認できるような指標は、FRBが政策金利を「より高くより長く維持」することを連想させるのです。このため、良好な経済指標で米国の株価を上がるかと言えば、話はそう簡単ではありません。
では、景気悪化を示す経済指標が発表されればいいかと言えば、そのケースでは、市場はFRBによる米国経済のオーバーキルリスクに怯えて、ネガティブな反応を見せる可能性が高いと思います。
結局、「良くもなく、悪くもない」指標が相次ぎ、「経済の底堅さが確認できると同時に、インフレが明確に沈静化していること」が確認できる状況にならない限り、FRBはタカ派スタンスを崩さず、米国の金融市場では、株式および債券の調整が続くことでしょう。
ただし日銀は、FRBとは対照的にハト派です。この結果、外国為替市場では、日米の金利差拡大の思惑から円安・ドル高基調となっています。
また、物価高対策や賃上げ促進などを柱とする経済対策が、10月下旬にとりまとめられる予定です。岸田首相は、2023年度の補正予算案に関し、10月20日召集の臨時国会での成立を目指す考えを示していますので、11月下旬には補正予算は成立する見通しです。
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「円安」と「補正予算(財政出動)」は日本株の下支え要因です。それでも、米国株の調整が続く限り、その影響によって日本株は上値の重い展開が継続する見通しです。
リスク管理を厳重にして万が一の相場急落に備えながら、
来るべき「セリングクライマックス」に備えよう!
テクニカル的には、9月28日に「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きの状況」になったため、調整入りのサインが明確に点灯したと考えています。今後に関しても「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きの状況」になるまでは、調整局面が続くと見ています。
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ちなみに、月足のローソク足で見ると、7月~9月まで3カ月連続で陰線でした。まず、それぞれの月の高値を見ると、7月が3万3762.81円、8月が3万3488.77円、9月が3万3634.31円でした。一方、安値は、7月が3万1791.71円、8月が3万1275.25円、9月が3万1674.42円です。つまり、ここ3カ月間は、3万1275.25円~3万3762.81円のレンジ内での動きとなっています。
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今後の注目点は、現在の調整で、レンジ下限の3万1275.25円を終値で下に抜けるか否かです。下に抜けるようなら、日経平均株価の下値不安が一段と高まる見通しです。このため現在の投資環境では、万が一、相場急落が発生しても一発退場とならないようにリスク管理を通常モードよりも厳しくしておきましょう。「セリングクライマックス」が発生した場合、積極果敢に買い向かえるように、投資資金を準備しておくことをおすすめします。
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