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道路交通法の改正や自動運転移動サービスの拡大方針など、
政府は「自動運転」の実用化と普及拡大を強力に後押し
最近、自動車業界の大きな潮流として「Connected:コネクテッド(車両のインターネット接続)」「Autonomous:自動運転」「Shared & Service:シェアリング・サービス」「Electric:電動化」の頭文字を並べた「CASE」という言葉をよく聞きます。この中で、コネクテッドとシェアリング、電動化の3つはかなり身近になりつつありますが、自動運転は未だ実用化には遠く、開発途上にあると言えます。
自動運転が普及することにより、人の不注意や疲労による交通事故の減少、高齢化社会におけるモビリティ課題の解決、渋滞の軽減、二酸化炭素排出量の低減などが期待されることから、国としても早急に普及を進めたいところでしょう。
実際、国内では2023年4月に改正道路交通法が施行され、レベル4の自動運転が解禁されるなど普及への道筋が着々と整えられています。レベル4の自動運転とは、自動車専用道路や特定の敷地内・送迎ルートなどの限定された範囲で行われる自動運転のこと。この法改正を受け、2023年5月には国内初となる自動運転レベル4での自動運転移動サービスが福井県永平寺町で開始されています。
一方で欧州や米国、中国は、5.9GHz帯の通信システムを活用した自動運転システムの導入で先行しています。米中欧に遅れをとっている日本政府は、2025年度をめどに、自動運転レベル4を普及拡大させることを目標として、自動運転移動サービスの50カ所への拡大や高速道路での自動運転レベル4の実現を目指しています。
自動運転の普及に向けた環境整備の一環として、総務省は2026年度にも、米中欧と同じ5.9GHz帯の専用周波数を割り当てることで、対応車両や関連部品の開発を後押しする方針を打ち出しました。2024年度には、新東名高速道路を使った100キロメートル超の専用レーンでの実験を計画。さらに、その結果を踏まえ、2025年度以降に東北自動車道の専用レーンも自動運転車向けの専用周波数を使えるようにする方針を打ち出しています。
日本が自動運転用の専用電波として主要国と同じ周波を使うことになれば、自動車・部品メーカーには車載部品の調達を一本化でき、製品開発を効率的に行うことができます。
さらに、自動運転の普及に向けて、交通事故の責任に関するルールの整備など、複数の省庁にまたがっている自動運転に関連する政策やルールを一元化する環境整備も政府に求められています。例えばホンダ(7267)は、2026年に東京都内で開始を目指す無人タクシーを巡り、国交省や警察庁などでの手続きの整理などを政府に対して要望しています。
自動運転は消費行動や社会全体の変革に繋がる可能性を秘めており、
その関連事業の市場規模は2035年に「最大60兆円」に成長!
自動運転が実用化されると、自動車業界や運輸業界だけではなく、幅広い業界に対して影響が波及することが期待されます。例えば、レベル4の自動運転が実現すると、限定された条件下ではあるもののドライバーが走行中の車内で食事や読書、映画鑑賞をするなどが可能となることから、大型ディスプレイや音響機器など、車内空間をカスタマイズする新たなサービスが登場することが見込まれます。
米国のマッキンゼーは、自動運転の影響は、交通機関のみならず、人々の消費行動や社会全体を変革するポテンシャルを秘めており、その市場規模は2035年に最大4000億ドル(約60兆円)にも達すると予想しています。
そこで今回は「自動運転レベル4」関連の銘柄に注目しました。取り上げた銘柄のなかには足元で下落しているものもありますが、ボトム圏までの調整を経て、一巡感からのリバウンドも意識されやすいでしょう。
【ソニーグループ(6758)】
グループ会社が業界最多画素のCMOSイメージセンサーを開発
ソニーグループ(6758)は、傘下のソニーセミコンダクタソリューションズが2023年9月、業界最多となる有効1742万画素のCMOSセンサー「IMX735」を車載カメラ用に商品化することを発表。メカニカルスキャン方式のLiDAR(光による検知と測距)と同期しやすく、自動運転システム全体の検知・認識性能を向上させることが可能になるとのことです。株価は上向きで推移している52週移動平均線が下値支持線として機能するなか、直近で同線からのリバウンドを見せてきたので、6月の高値水準を意識したリバウンド狙いになりそうです。
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【シャープ(6753)】
高速大容量の通信が可能な衛星通信アンテナを開発
シャープ(6753)は、LEO(低軌道)/MEO(中軌道)衛星通信向けの地上局用フラットパネルアンテナの開発を進めています。スマートフォンの設計技術を活用することで電波の損失が少なく安定した通信を可能としており、さらに小型かつ軽量なため、天候や道路状況などの情報をリアルタイムで取得することが求められる自動運転車への活用に取り組む計画です。株価は、11月21日の高値1144.5円をピークに足元で調整していますが、26週移動平均線が下値支持線として意識されており、リバウンド狙いのスタンスとなります。
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【ソリトンシステムズ(3040)】
国内初となる自動運転レベル4でのドライバー無人運行サービスを提供
ソリトンシステムズ(3040)は、ITセキュリティ関連製品の開発や4G・5Gモバイル回線による高品質リアルタイム画像伝送システムのほか、遠隔型自動運転システムなどを手掛けています。5月21日からは福島県永平寺町において、ヤマハ発動機(7272)、三菱電機(6503)、産業技術総合研究所と共同で、国内初となる自動運転レベル4でのドライバー無人運行サービスをスタート。ソリトンシステムズは重荷遠隔システムと車両と遠隔センター間の基盤となる通信システムの開発を手掛けています。なお、永平寺町でのサービスは10月29日に停車していた自転車に接触したことで現在停止中。原因は学習データ不足とのことで、2024年3月以降の再開を目指しているようです。株価は直近で急伸し、一時は2022年4月半ば以来となる1500円台を回復。短期的な過熱感はありますが、2020年10月の高値2302円から続く長期的な下落トレンドが転換した格好となるため、さらなる株価上昇に期待したいところです。
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【マクニカホールディングス(3132)】
エヌビディアの自動運転車用のソリューションなどを提供
マクニカホールディングス(3132)は、半導体・集積回路などの電子部品の輸出入、販売、開発、加工などをグローバルに展開しています。車載開発向けソリューションとしては、自車の位置と周辺の状況を正しく認識する各種センサーや、エヌビディア(NVIDA)の自動運転車用のソリューション「Driveシリーズ」を始めとした開発キットや自動運転ソフトウェアの実装支援など、幅広く展開しています。株価は強いトレンドが継続。10月末には一時26週移動平均線までの調整を見せたものの、その後は上昇に転じ、足元では13週移動平均線が下値支持線として意識されています。リバウンド狙いのスタンスで要注目です。
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【IDEC(6652)】
アルプスアルパインとレーダーセンサーなどを手掛ける合弁会社を設立
IDEC(6652)は制御装置や工場自動化機器を扱うメーカーで、自動運転関連としては、物流現場における無人搬送車や自律移動ロボットなどを展開しています。2021年7月にはアルプスアルパイン(6770)と合弁でIDEC ALPS Technologiesを設立し、ミリ波レーダーセンサーなどを手掛けています。株価は3月から下落トレンドが継続しており、底入れを見極めたいところです。なお、アルプスアルパインは、車内空間のエンターテインメントを提供するためのデジタルキャビンの実用化を推進。1200~1300円辺りでのレンジ推移が続いており、レンジ上限を上放れてくるようだと強気スタンスになりそうです。
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【住友電気工業(5802)】
高速・大容量通信と軽量化を両立する車載光ハーネスを開発
住友電気工業(5802)は、2025年の大阪万博における会場への来場者輸送を見据えた「自動運転レベル4」の実証実験に参画しています。また、自動運転車では、車両に搭載する高性能なセンサーの増加により、電気・電子機器などを接続して電力や信号を伝送するワイヤハーネスの高機能化が重要となりますが、住友電気工業は高速・大容量通信と軽量化を両立する車載光ハーネスの開発を進めています。株価は10月に急落する場面も見られましたが、中・長期のトレンドとしては上向きで推移していることから、13週・26週移動平均線での押し目を狙いたいところです。
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以上、今回は「自動運転レベル4」の関連銘柄を発掘しました。
今回紹介した銘柄のほかにも、自動運転の普及によるインフラ整備の動きが加速すると考えられることから、ソフトバンク(9434)やKDDI(9433)、NTT(9432)などの通信各社、通信設備工事などを手掛けている企業も要注目。さらに、データを収集するうえでAIを活用する動きも活発化してくる可能性もありますので、関連しそうな企業のリリースなどを注意深くチェックしておきたいところです。
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