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合計特殊出生率が「1.20」と過去最低の結果となり、
東京都知事選でも少子化対策が政策論争の争点のひとつに
厚生労働省が発表した2023年の「人口動態統計」によると、1人の女性が生涯に出産する人数を示す「合計特殊出生率」は「1.20」と過去最低でした。
都道府県別に見ると最下位は東京都で、その合計特殊出生率は「0.99」と「1」を下回っています。現在、選挙戦の真っ最中となる東京都知事選においても、多くの候補者は子育て支援策などを公約に掲げており、危機的状況となっている少子化対策は選挙の大きな争点となっています。
出生率の低下は未婚化や晩婚化などさまざまな要因が影響しており、政府も児童手当の拡充や出産費用の保険適用など、さまざまな対策に取り組んでいます。例えば、不妊治療をサポートするため、2022年4月から人工受精や体外受精・顕微授精などの「生殖補助医療」を保険適用の対象にしています。
テクノロジーで女性の健康問題を解決する「フェムテック」は、
2032年には世界で約4.5兆円まで市場規模が拡大!
少子化対策を議論する際、最近重要視されている課題のひとつが「不妊治療と仕事の両立」です。不妊治療は、通院回数が多く、仕事との日程調整が難しいなどの理由から、多くの人が「仕事との両立は困難」と感じています。厚生労働省によると、不妊治療を経験した人の26.1%が、不妊治療と仕事を両立できずに離職をしたり、雇用形態を変えたり、不妊治療をやめたりしているそうです。
この「不妊治療と仕事の両立」という課題を解決するうえで期待されるのが「フェムテック」です。
「フェムテック」は、女性(Female)と技術(Technology)をかけ合わせた造語です。女性が社会で働く際には、月経や不妊治療、妊娠・子育て、更年期障害、出産後の身体的・心理的変化など女性特有の身体や心の悩みに直面しますが、「フェムテック」は、テクノロジーを活用することでそうした女性の健康課題を解決する商品やサービスのことを指します。
米国の調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイトによると、世界のフェムテック市場は、2023年の66.9億USドル(約1兆円)から2032年には296.2億USドル(約4.5兆円)に成長すると予測されます。
そこで今回は「フェムテック」を中心に「少子化対策」に関連する銘柄に着目。それらのなかかから、株価やチャート形状などのテクニカル面を考慮して銘柄を選定しました。
【エムティーアイ(9438)】
女性の心身の健康を管理するアプリ「ルナルナ」を運営
エムティーアイ(9438)は、グループ会社を通じてさまざまなヘルスケア事業を行っています。グループ会社のルナルナメディコでは、女性の心身の健康を管理するアプリ「ルナルナ」を提供。さらに「ルナルナ」に記録された月経日や基礎体温、低用量ピルの服薬状況などのデータを、診察時にPCやタブレットなどで閲覧できる産婦人科向けのサービス「ルナルナ メディコ」を展開しています。また、別のグループ会社は、電子母子手帳アプリ「母子モ」や法人向けサービス「ルナルナ オフィス」などを手掛けています。株価は、上向きで推移する13週・26週移動平均線に沿った強い上昇トレンドが継続。2020年10月につけた高値1028円が射程に入ってきました。
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【伊藤忠商事(8001)】
女性のウェルネス課題の解決・支援事業を行うスタートアップに出資
伊藤忠商事(8001)は、女性のウェルネス課題を解決・支援する事業など、フェムテック市場で総合的なソリューションを提供するスタートアップ、fermata(フェルマータ)に出資しています。fermataが開発した月経周期を予測・管理するためのIoTデバイス「Kegg」は、2月に一般医療機器として届け出を完了しており、2024年中の発売を目指しています。伊藤忠は、fermataが持つフェムテック関連商品の拡販を支援し、将来的には自社の海外ネットワークを活用した海外展開も検討しているようです。株価は、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線として堅調に推移しており、同線まで下がった押し目を狙いたいところでしょう。
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【Ubicomホールディングス(3937)】
婦人科遠隔ソリューションを開発したイスラエル企業に出資
Ubicomホールディングス(3937)は、成長企業やリーディングカンパニーとの戦略的提携や出資、M&Aなどに注力しており、2021年10月には、婦人科遠隔ソリューション「Gynescope」や、それを搭載したプラットフォームを開発したイスラエルの医療スタートアップ、illumigyn社に出資。「Gynescope」システムは、革新的な婦人科内視鏡サービスで、米国ではFDA(米国食品医薬品局)の認可を取得しています。株価は、年初から調整が続いていましたが、1100円辺りでの底固めを経て、足元でリバウンドの動きを見せています。基本的には13週移動平均線辺りでの押し目狙いのスタンスとなりますが、直近で26週・52週移動平均線を超えてきているので、さらなる上昇が期待できます。
⇒Ubicomホールディングス(3937)の最新の株価はこちら!
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【綿半ホールディングス(3199)】
グループ会社が不妊治療薬の原薬製造や保育施設の運営を手掛ける
綿半ホールディングス(3199)は、グループ会社の綿半トレーディングが不妊治療薬の原薬製造を展開。中国から輸入した性腺刺激ホルモン剤であるHMGの粗原料を精製し、製薬会社に販売しています。また、綿半キッズスクールでは、学習塾の経営や学童保育施設の経営、許可外保育施設の運営も行っています。株価は、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いており、2018年2月の高値2438円が長期的なターゲットになりそうです。
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【あすか製薬ホールディングス(4886)】
産婦人科領域のリーディングカンパニー
あすか製薬ホールディングス(4886)は、産婦人科領域のリーディングカンパニーです。内分泌・ホルモン領域での強みを活かし、女性の健康課題の解決に貢献するため、さまざまな事業を展開しています。2022年4月には、子会社のあすか製薬が扱っているプラノバール配合錠などの5製品について、不妊治療に関する効能・効果が保険適用されました。株価は、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが継続。短期的には過熱感が警戒されやすいため、押し目を狙いたいところです。
⇒あすか製薬ホールディングス(4886)の最新の株価はこちら!
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【JPホールディングス(2749)】
保育園や学童クラブ、児童館など子育て支援施設を運営
JPホールディングス(2749)は、保育園や学童クラブ、児童館などの子育て支援施設を運営しています。グループには、全国に保育園を展開する日本保育サービスや、保育園向け給食を請け負うジェイキッチン、幼児学習プログラム開発や発達支援事業、ベビー用品・衣料品などの子育て関連用品のリユース通販サイト「コドメル」の運営などを手がける日本保育総合研究所などがあります。株価は、5月10日につけた422円を直近安値にリバウンドが続いており、3月の高値578円が射程に入ってきました。高値更新からの一段の株価上昇が期待できます。
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以上、今回は「フェムテック」を中心とした「少子化対策」関連銘柄を発掘しました。
日立コンサルティングが2021年3月に経済産業省に提出した「令和2年度 産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本に与える効果と課題に関する調査報告書」では、フェムテックの普及・活用により、不妊治療と仕事との両立を諦める女性の数が30〜50%減少し、出生数が年間1万2000〜1万7000人増えると試算されています。
少子化問題は、日本にとっての最重要課題の一つであり、今後、大きな成長が期待できる分野であるのは間違いないので、関連銘柄は引き続きチェックしていきたいと思います。
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