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深刻な人手不足に悩む飲食店や食品メーカーにとって、
熟練技を学習した「調理ロボット」が人手不足の解消手段に!
外食業界や食品業界などは我々の“食”を支える大切な業界ですが、そのどちらも人手不足が深刻化しています。
飲食店の従業員は、アルバイトやパートなど低賃金の非正規雇用が中心となっています。しかし、帝国データバンクがまとめた「人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)」によると、非正規雇用の人手が不足していると答えた飲食店の割合は72.2%と、他の業界と比べても高い数値となっています。
飲食店で非正社員の人手が不足すると、当然、それをカバーするために正社員の負担が重くなります。その結果、正社員の残業が増えて休暇が減り、それに反比例する形で退職者が増加してさらに人手不足が進む、という負のスパイラルに陥っていう店も少なくないでしょう。
一方、食品業界は、これまでロボットを使ってのオートメーション化が難しかったことが人手不足の一因となっています。食品業界では、季節によって使用する食材が変わることや、食材の大きさにばらつきがあること、さらには魚の小骨を取るといった繊細な作業も多いことなどから、多くの作業を人手に頼っており、ロボットの活用は難しいとされてきました。
そうした状況のなか、2024年6月、食品業界の諸課題に対応できる最新技術を集めた展示会「FOOMA JAPANが」が東京ビッグサイトで開催されました。「FOOMA JAPAN」では数多くの技術が紹介されていましたが、なかでも大きな注目を集めた技術のひとつが「調理ロボット」です。
2028年には市場規模が500億円まで拡大見込みの
「調理ロボット」ビジネスに注力する要注目の6社を紹介!
調理ロボットとは、今まで人が行っていた調理の工程を自動で行ってくれるロボットのことで、AI(人工知能)やカメラ、センサーなどが組み込まれ、食材のカットから炒め作業、揚げ調理、調味料のブレンド、さらには盛り付けまで、さまざまな料理の工程に対応します。飲食店や食品工場は調理ロボットを導入することにより、より少ない人数でオペレーションを回すことを可能となります。
さらに、下ごしらえや火加減、味付けなど、職人の熟練技をAIで学習した調理ロボットは、熟練職人が調理したものと遜色がない料理を提供することが可能です。調理ロボット自体の操作も簡単なため、未経験スタッフでも短時間で使いこなせ、即戦力の人材として働くことができます。特に多店舗展開する飲食店にとって、店によって味がばらつくことがなく、料理の品質や一貫性を確保できるのは大きな利点でしょう。
また、調理ロボットは、人と違って定期的な休憩が必要ないのもメリット。1日中休みなく稼働させても疲れることを知らず、レシピに基づいて、常に同じ品質で商品を提供し続けることが可能です。飲食店においては、ロボットに調理を任せることで空いた人手を接客に回すことができるため、接客の質の向上にもつながります。
ここにきて賃金の上昇圧力が強まっていることもあり、「人を雇うよりロボットに投資するほうが将来のコストを抑えられる」と考えて調理ロボットの導入を決める飲食店や食品メーカーは、今後さらに増えていくことが考えられます。米国の調査会社ケネス・リサーチの調査でも、世界の調理ロボット市場は2019年の8617万米ドル(約134億円)から、2028年末までに3万2257万米ドル(約500億円)に増加すると予測されています。
そこで今回は需要増加が期待できる「調理ロボット」の関連銘柄に注目。具体的な銘柄は、「調理ロボット」関連の事業を行っている企業のなかから、テクニカル的に株価やチャート形状を考慮して選定しました。
【キユーピー(2809)】
TechMagicと提携して「未来型食品工場」の早期実現を目指す
キユーピー(2809)は2023年6月、調理ロボットを開発するTechMagic(テックマジック)と資本業務提携に関する契約を締結。キューピーの製造技術における幅広い知見と、TechMagicのハードウェアとソフトウェアが高度に融合した技術を用いて、2030年を目標に「未来型食品工場」の実現を目指しているとのことです。株価は、7月に入って上昇の勢いが強まっており、足元で史上最高値を更新。過熱感が意識されやすいことから、押し目狙いのスタンスで。
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【味の素(2802)】
フードサービス向けの「炒め調理ロボット」を開発
味の素(2802)は、前述したTechMagicと2021年10月に協業を開始し、2023年8月に資本業務提携の契約を締結しました。独自の「おいしさ設計技術」を活用した調味料やアプリケーションの提供を通じて、フードサービス向け「炒め調理ロボット」の開発支援を継続。調理品質の向上や調理時間の短縮、小型化など調理ロボットの進化を支えています。株価は7月に入って上昇の勢いが強まり、1月以来の年初来高値を更新。いったんは達成感が意識されやすいので、慎重に押し目を狙いたいところです。
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【ニチモウ(8091)】
焼売・餃子の成型機など、多数のロボットシステムを手掛ける
ニチモウ(8091)は、春巻や焼売、餃子など中華惣菜の成型機、加熱調理機、冷却・凍結設備、製麺ライン、魚体処理など、食品製造工場に多数のロボットシステムを納入。作業の自動化や省人化に加え、人間に作業をさせないことで雑菌の繁殖を防ぎ、工場内に衛生的な環境を構築します。株価は足元で調整を見せているので、52週移動平均線を下値支持線としたリバウンドが期待されます。
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【鈴茂器工(6405)】
「しゃり玉ロボット」や「軍艦巻き装置」などの寿司ロボットを開発
鈴茂器工(6405)は。数多くの寿司ロボットを製造。しゃり玉ロボットや軍艦巻き装置、シャリ玉転載装置など幅広く展開しており、シャリのほぐしから握り、トレイへの整列・収納までを完全自動で行うことが可能です。寿司ロボットのほかにも、海苔巻きロボット、おむすびロボット、ご飯盛り付けロボットなども手掛けています。株価は5月半ばから上昇トレンドが続いており、足元で2017年7月以来の最高値を更新。いったんは達成感が意識されやすいため、押し目狙いのスタンスで。
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【フジマック(5965)】
食器自動仕分けロボット「finibo」をTechMagicと共同開発
フジマック(5965)は業務用厨房機器の総合メーカーです。前述したTechMagicと共同で食器自動仕分けロボット「finibo」を開発。ベルトコンベア上に流れてくる洗浄済みの食器を、自動的にピッキングして仕分けしてくれます。株価は、4月12日の高値1307円をピークにゆるやかな調整を見せていましたが、足元では上向きで推移する26週移動平均線を下値支持線としたリバウンドが続いているので、同線付近での押し目を狙いたいところです。
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【川崎重工業(7012)】
ロボットレストランの実証実験施設を運営
川崎重工業(7012)は、ロボットの実証実験施設「Future Lab HANEDA(フューチャー・ラボ・ハネダ)」を運営。調理や配膳などレストランにおける作業をすべてロボットで行う実証実験スペース「AI_SCAPE(アイスケープ)」では、冷凍食材の解凍から盛り付けまで行う調理ロボット「RS007L」や、2本の腕で自動飲料機を操作するドリンクサーバー「duAro2」、配膳から下げ膳、清掃までを担う自走式ロボット「Nyokkey」が稼働されています。株価は7月17日に一時6719円まで買われ、1991年以降続いていた6500円付近の心理的な上値抵抗線を突破しましたが、直近では調整を見せており、75日移動平均線水準でのリバウンド狙いになりそうです。
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以上、今回は「調理ロボット」関連銘柄を発掘しました。
調理ロボットは、今後、技術が進化すれば一流シェフの味を再現することも可能となり、将来的には飲食店だけでなく家庭のキッチンでも一流レストランの味が楽しめるようになると考えられます。その流れから「ヘルシオ」を手掛けるシャープ(6753)や「ビストロ」を手掛けるパナソニック ホールディングス(6752)など、高性能オーブンレンジの開発・製造を行っているのメーカーも「調理ロボット」関連銘柄に入ってくる可能性もあるので、気になる人はチェックしておくといいでしょう。
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