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近年の東京など都市部における猛暑は、地球温暖化だけでなく
都市部が高温化する「ヒートアイランド」が要因のひとつに!
年々、夏の暑さが厳しくなっているように感じます。消防庁が8月20日に発表した資料によると、2024年7月における熱中症の救急搬送患者数は4万3195人と、調査を開始した2008年以降、2番目に多かったそうです。一昔前に比べて熱中症対策への意識が高まっていることを考えると、今年の夏がいかに暑いかがわかると思います。
この猛暑の深刻化に関して「ヒートアイランド」と呼ばれる現象が問題視されています。ヒートアイランドは都市部が周辺地域よりも高温化する現象で、都市の地面がアスファルトなどの人工物に覆われたこと、エアコンや燃料の燃焼などによる人工排熱の増加、さらには建物の高密度化による弱風化や風通しの悪化などが原因とされています。
東京をはじめとした都市部における近年の気温上昇は、地球温暖化などによる地球全体の気温上昇に加え、このヒートアイランドが原因のひとつと言われています。
少し前の資料になりますが、国土交通省が2013年12月にまとめた「ヒートアイランド現象緩和に向けた都市づくりガイドライン」では、過去100年で地球全体の年平均気温が約0.7度、日本の都市化の影響が少ないと考えられる地点の年平均気温が約1.5度上昇しているのに対し、東京など主要な大都市の年平均気温は約2〜3度の割合で上昇していると書かれています。また、東京を中心とした関東近郊では、30度以上を記録する時間数が20年前の約2倍になっているとのことです。
政府は2004年には「ヒートアイランド対策大綱」を策定し、
「壁面緑化」や「遮熱性舗装」の採用などを促進!
気温の著しい上昇は人間の健康はもちろん、エネルギー消費や生態系などにも悪影響を与えるため、ヒートアイランドの問題を解決できなければ、将来的に都市部に人間が住み続けることができなくなる可能性も考えられます。そうした事態を防ぐため、政府は2004年3月に「ヒートアイランド対策大綱」を策定、2013年5月に同大綱を改定し、関係府省が連携しながらさまざまな対策を推進しています。
政府が実施しているヒートアイランド対策のひとつが、壁や屋上を植物で覆う「壁面緑化」や「屋上緑化」です。前述したように、都市の地面がアスファルトなどの人工物に覆われていることがヒートアイランドの原因とひとつとなっているため、植物に覆われた地面を増やすことは効果的な対策と考えられますが、実際に大都市で植物を植えるスペースを確保するのは困難です。そこで注目されているのが建物の壁や屋上の緑化で、東京都では大規模な敷地に建物を新築・増築する際に、建物の建設者に対して一定面積を緑化する義務を課しています。
また、一般的なアスファルト舗装の路面は,夏の太陽光を浴びると表面温度が約60度まで上昇することに加え、熱を路面に蓄える性質があります。その対策として東京都は、路面温度の上昇を抑制する効果がある「遮熱性舗装」や「保水性舗装」の採用を進めています。
そうした状況を踏まえ、今回は「ヒートアイランド対策」関連に注目しました。銘柄としては「遮熱性舗装」「保水性舗装」や「遮熱塗装」などの「遮熱対策」に関連する銘柄を選定。各分野で中核的な位置づけの銘柄や、高いシェアを持つ製品を手掛けている銘柄を中心に紹介します。
【大林組(1802)】
ヒートアイランド現象と豪雨災害を解決する多機能舗装を開発
ゼネコン大手の一角である大林組(1802)は、2022年9月に子会社の大林道路と共同で、透水性舗装と湿潤舗装を組み合わせて豪雨災害やヒートアイランド現象を解決する多機能舗装「ハイドロペイブ ライト」を開発。透水性舗装から浸透した雨水を貯水して豪雨時の下水道への雨水の流出量を減少させるとともに、貯まった雨水が徐々に塗面から蒸発し、打ち水効果によってヒートアイランド現象を緩和します。株価は、8月5日の急落後のリバウンドが一巡した後、25日移動平均線と75日移動平均線とのレンジ内で推移していましたが、直近で75日移動平均線とを下回ってきました。ただ、今回の急落により需給整理が改善していることから、押し目狙いのスタンスで。
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【東亜道路工業(1882)】
路面温度の上昇を抑制する舗装「ヒートシールド」を手掛ける
東亜道路工業(1882)は、舗装工事会社向けのアスファルト乳剤で国内トップシェアを誇ります。ヒートアイランド対策としては、路面温度抑制舗装「ヒートシールド」を開発。アスファルト舗装の路面上に遮熱性塗料を散布する工法で、舗装面の熱吸収を抑えて路面温度の上昇を抑制します。株価は、8月5日の急落後に強いリバウンドを見せており、直近では200日移動平均線を下値支持線に7月の高値1354円を超えてきました。高値更新からの一段の上昇が期待されます。
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【能美防災(6744)】
外気冷却システム「ドライミスト」を六本木ヒルズなどに導入
能美防災(6744)はセコム(9735)の子会社で、防災システムを住宅や各種施設などに提供する総合防災機器の大手です。ヒートアイランド対策や地球温暖化対策として、ミスト装置「ドライミスト」を展開。ノズルから噴霧される超微細な霧状水滴の気化熱を利用した外気冷却システムで、六本木ヒルズやバスタ新宿、靖国神社など、数多くの納入実績があります。株価は、8月5日の急落後は荒い値動きとなりましたが、足元では緩やかな上昇を見せており、200日移動平均線突破からのさらなる上昇に期待したいところです。
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【積水化学工業(4204)】
ガラスに遮音・遮熱性能を付与する高機能中間膜を手掛ける
積水化学工業(4204)は、自動車や建築用のガラスに遮音・遮熱性能を付加する高機能中間膜で高いシェアを持ちます。合わせガラスの間に高機能中間膜を挟むことで、遮熱性能を高め、車内や室内の温度上昇を抑えることが可能となります。また、樹木を模した構造を採用することで人工的に木陰のような環境をつくる日除け「エアリーシェード」が、公園や学校、病院、パーキングエリアなどで採用されています。株価はリバウンドが続くなか、足元で200日移動平均線を突破し、25日移動平均線近くでの攻防を見せています。200日移動平均線水準での底固めから、25日・75日移動平均線の突破を狙ったスタンスで。
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【ニチハ(7943)】
遮熱性能を持つ外壁材「フッ素塗装高耐食GLめっき鋼板」を販売
ニチハ(7943)は、窯業系外壁材(サイディング)を主体とした内・外装建材メーカーで、遮熱性能に優れた金属製外壁材「フッ素塗装高耐食GLめっき鋼板」を手掛けています。「フッ素塗装高耐食GLめっき鋼板」は日射反射率が高く、太陽エネルギーを吸収しにくいのが特徴。同社の実験では一般的な鋼板と比べて裏面温度が約10度低くなったことから、屋内温度の上昇を大幅に軽減する効果が期待できます。株価は、上値抵抗線として意識される25日・75日移動平均線を捉えており、このまま両線を突破してくるようだとと8月の高値3855円が意識されそうです。
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【石原産業(4028)】
遮熱塗料や遮熱ガラスのコーティングなどに使われる無機遮熱材料を開発
石原産業(4028)は酸化チタンで国内トップシェアを誇る企業で、酸化チタンで培った技術をもとに無機遮熱材料を手掛けています。無機遮熱材料は遮熱性能が要求される塗料やプラスチックなどに用いられる素材で、屋根や壁、道路などの遮熱塗料やエクステリア用の人工木の着色、遮熱ガラスのコーティングなどで使用されています。株価は足元でリバウンドを見せていますが、25日移動平均線が上値抵抗線として意識されています。25日移動平均線を突破してくるようだと上昇の勢いが強まりやすいでしょう。
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以上、今回は「ヒートアイランド対策」関連銘柄を発掘しました。
「ヒートアイランド対策」の関連銘柄としては、一般的に大手ゼネコンや塗料メーカーがまず挙げられますが、上で紹介した銘柄のほかにも以下のように多数の関連銘柄があるので、併せて注目しておきましょう。
■そのほかの「ヒートアイランド対策」関連銘柄
・大成建設(1801):屋上・壁面緑化技術
・日本ペイントホールディングス(4612):遮熱塗料「サーモアイシリーズ」など
・大日本塗料(4611):遮熱塗料「エコクールシリーズ」など
・日本特殊塗料(4619):遮熱塗料「パラサーモN」など
・エスケー化研(4628):遮熱塗料「クールタイトシリーズ」など
・星和電機(6748):遮熱塗料よりも安価な遮熱シート「Mirror Star」
・菊水化学工業(7953):遮熱塗料「遮熱塗料水系ファインコートフッ素遮熱BMB」など
・帝人(3401):遮熱効果のある繊維素材「涼しや」
・オリジン(6513):赤外反射遮熱塗料「オリジクールAS」など
・三菱マテリアル(5711):熱線カット材料
・トーソー(5956):遮熱ブラインド・カーテン
・新明和工業(7224):子会社のフルテックが開発したミスト装置「ミストシステムMS」
・クボタ(6326):畜舎冷房向けミスト装置「ドライフォグシステム」
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