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4月8日午前0時から5月6日までの期間、東京や大阪などの7都府県を対象として「緊急事態宣言」が発令されました。これに関連して東京都の小池知事は、一足先に緊急事態宣言の発令時における都の対処方針案を明らかにしました。
詳細は割愛しますが、幅広い業種に対して改めて休業が要請されることになります。その一方で、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店、公共交通機関などは「社会生活を維持する上で必要な施設(生活インフラ)」と見なされ、休業を要請されません。緊急事態宣言の発令された状況下においても必要以上に「平常」を失わせず、日常生活を維持するための対応と言えるでしょう。
ただし、飲食店に関しては、休業は要請されないものの、感染防止対策の実施や夜間・休日の営業時間短縮が要請されます。また、感染リスクが比較的高く、今回「基本的に休業を要請する施設」と見なされたバーに近い性質を持つ居酒屋に対しては、同じ飲食店であっても休業が要請されます。
なお、これらの対処方針案は、政府との調整を踏まえて最終的に決められるため、今後、変更される可能性もあるそうです。
新型コロナウイルスの感染拡大と「外出自粛」の流れにより、
デリバリーやテイクアウトを始める飲食店が増加
飲食店は、東京都も配慮しているように生活インフラとして必要とされている側面が強いため、営業時間の短縮などはありながらも休業の要請はありませんでした。しかし、外出自粛の要請がより強まったことで、外食をしようと考える人はますます減少することから、飲食店はさらなる売上の低下が予想されます。
実際、非常事態宣言の発令前から、飲食店で外食する人は大幅に減り、食材を買って料理をしたり、お総菜を買って帰ったりして自宅で食事をとる、いわゆる「宅食」をする人が増えています。
株式市場でも、すでにオイシックス・ラ・大地(3182)などの「食材宅配」関連や、ニチレイ(2871)などの「冷凍食品」関連の銘柄が、「新型コロナウイルスの感染拡大にともなう影響から生じる需要」を切り口とした物色テーマとして盛り上がりを見せています。
そうした厳しい状況に置かれた飲食店が取れる対策のひとつとして一段と広がりを見せているのが、弁当や持ち帰り用惣菜の販売、つまり「テイクアウト」や「デリバリー」です。
テイクアウトは、飲食店にとって売上アップにつながるのはもちろん、利用者にとっても、新型コロナの感染リスクが増える店内での飲食を避けつつ、レストランや食堂など専門店の料理を楽しめるというメリットがあります。
デリバリーに関しては、ウーバーイーツの登場によって、これまでデリバリーに対応していなかった飲食店でも簡単に参入できるようになりました。
Googleもスマホ用のGoogleマップをアップデートし、テイクアウトやデリバリーに対応した飲食店を検索できるフィルター機能を追加しました。フィルターで検索できるのは「Google マイビジネス」に登録された店舗だけですが、この機能の追加によりテイクアウトやデリバリーが一層利用しやすくなるでしょう。
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こうした状況から、テイクアウトやデリバリーに乗り出す飲食店は、今後さらに増加することが予想できます。実際に私の身近なところでも、居酒屋などの通常営業を休業し、弁当や総菜販売に切り替えて対応するお店が増えてきています。
テイクアウトやデリバリーに欠かせない
「食品容器」関連の銘柄にフォーカス!
さて、今回の銘柄発掘は、「宅食」関連をさらに深掘りすることも一案ですが、今回は少しだけ発想を飛ばして、テイクアウトやデリバリーの際に必須となる弁当容器やフードパックといった使い捨ての「食品容器」関連の銘柄に焦点を当てたいと思います。
市場において、すでに「宅食」や「テイクアウト」「デリバリー」に関連する銘柄を探る動きは日々行われており、そのメリットの享受が期待できるさらなる関連銘柄へも波及しつつあります。そういった観点から、新たな投資テーマにとして「食品容器」への関心が高まりやすいと判断しています。
なお、今回の銘柄選定に当たっては、「食品容器」関連銘柄の物色が見られた際に値動きが比較的大きくなりやすい、代表的な銘柄を選びました。
【エフピコ(7947)】
環境負荷を減らした「エコトレー」の需要が増加
エフピコ(7947)は、食品トレー容器のナンバーワンメーカーで、鮮魚や精肉、惣菜、麺、丼など幅広い用途の製品を展開しています。特に近年の環境意識の高まりから、リサイクル技術を使って環境負荷を減らした「エコトレー」などの需要が拡大しているようです。2020年3月期の第3四半期決算では、営業利益が前年同期比10.1%増の128億円と堅調に推移しています。
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【中央化学(7895)】
「食品容器」の中核銘柄として押さえておきたい企業
中央化学(7895)は、エフピコと同様、幅広い用途向けの食品容器を取りそろえています。中国事業も展開しています。業績への警戒感はあるものの、もともと短期資金を集めやすいこともあって、テーマ物色が盛り上がる局面では中核銘柄として押さえておきたい銘柄です。2020年3月期の第3四半期決算では、営業利益が前年同期比40.3%増の12.24億円と好調に推移しています。
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【Cotta(3359)】
製菓・製パンに特化した通販サイトを運営
Cotta(3359)は、旧社名はタイセイで、製菓・製パンに特化した通販サイト「cotta(コッタ)」を運営。竹素材でできた環境に優しいフードパック(食器)など、弁当向けの容器も扱っています。2020年9月期の第1四半期については大幅な営業減益となっていますが、これはテレビCMの制作費用や、中国最大級の料理プラットフォーム「下厨房」でのテストマーケティングにおける投資費用の計上などで販管費が大きく増加した影響です。長期的に見れば、過度にネガティブ視する必要はないと考えます。
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【高速(7504)】
食品に関わる包装資材の専門商社
高速(7504)は、お弁当や総菜用の容器、スーパーで肉や魚をのせるトレーなど、食品に関わる包装資材の専門商社です。2020年3月期の第3四半期の決算では、営業利益が前年同期比4.7%減の24.91億円と若干苦戦しているものの増配を続けており、株主還元に対する意識が高い企業であることが下支え要因となっています。ボラティリティが比較的大きいため、値幅取りの観点からも面白い銘柄と言えます。
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【積水化成品工業(4228)】
ワサビと同等の成分を使った抗菌シートなど、ユニークな製品も開発
積水化成品工業(4228)は、発泡プラスチックや高機能材料などの製造・販売を手掛けています。活躍領域は幅広く、「食・流通」もそのひとつ。エスレンウッド折箱(発泡ポリスチレンシート製)や発泡C-PET容器など各種食品容器を手掛けているほか、ワサビと同等の成分が抗菌効果を発揮することでお弁当や料理を日持ちさせるシート「ワサパワー」など、一風変わった製品も扱っています。2020年3月期の第3四半期における営業利益は、前年同期比22.7%減の25.93億円と苦戦しています。
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【ダイセル(4202)】
グループ会社のダイセルパックシステムズが各種食品容器を展開
ダイセル(4202)は、グローバルに事業を展開する化学メーカーです。国内グループ会社のダイセルパックシステムズが、寿司容器やフードパック、各種トレーなどの食品容器を手掛けています。2020年3月期の第3四半期決算では、営業利益が前年同期比49.5%減の226.41億円と苦戦しています。
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今回紹介した中には業績面で苦戦している銘柄もありますが、現在の株式市場においては、今期の業績悪化は想定内との見方もされています。食品トレーを手掛けている企業においては、飲食業の業務転換を背景として新たな需要が見込まれているので、そこに期待したいところです。
ただし、テーマ性が強い銘柄選定のため、いずれ見えてくる新型コロナの終息後において、材料出尽くしとなる可能性があります。テーマ株は個人投資家中心の需給要因が大きく影響するので、生活環境が正常化に向かう局面においては、いったん利益確定をするのがおすすめです。
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