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欧米で、外出規制の緩和や、経済活動の段階的な再開の動きが始まっています。これは景気・経済、世界の株式市場にとって非常にポジティブな政治的判断ですので、足元の日米株式市場は堅調に推移しています。
例えば、4月27日の日経平均株価は、前日比521.22円高の1万9783.22円と2日ぶりに大幅に反発しました。
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この日は、前述の欧米の経済活動再開への期待に加え、日銀が金融政策決定会合で、
(1)国債を制限なく必要な量を購入すること
(2)社債などの買い入れ枠を増やすこと
(3)中小企業向けの資金繰り支援策で企業向け融資の資金をゼロ金利で金融機関に貸し出す特別オペの拡充
を決めたことなどが買い材料になりました。
欧米の一部で外出規制の緩和が始まったことで、
投資家の姿勢も少しずつ「リスクオン」へと移行
一方、4月27日のNYダウは4日続伸、前週末比358.51ドル高の2万4133.78ドルでした。この日は、欧米諸国や米国の一部の州などで外出規制の緩和の動きが始まっていることが買い材料になりました。
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具体的には、イタリアのコンテ首相が4月26日、外出規制を段階的に緩和する計画を発表しました。人の移動は州内であれば許可し、製造業や建設業も再開を認め、レストランもテイクアウトのみ営業できます。また、スペインも5月2日から運動や散歩のための外出を許可します。そして、フランスのフィリップ首相も4月28日、外出制限の緩和策を発表する見通しだそうです。
米国では4月26日、ニューヨーク州のクオモ知事が、一定の条件が満たされれば第一段階として建設業と製造業の再開を認めると表明しました。さらに4月27日、テキサス州は州内すべての小売店などの営業を5月1日から再開できるようにすると発表し、オハイオ州も段階的な経済再開の実施計画を明らかにしました。なお、ジョージア州、オクラホマ州、アラスカ州では、すでに4月24日から行動規制の緩和が始まっていす。
このように、欧米の一部の国や州が「With Coronaの時代」を見据えた一歩をそろりと踏み出しています。こうなると、投資家は「完全的なリスクオン」とまではいかないものの、「過度のリスクオフ」姿勢を徐々に緩めていくはずです。そうなると、例えば、米VIX指数も低下傾向を辿り、米国をはじめとした世界の株価指数も徐々に下値・上値ともに切り上げていく展開になっていくと考えています。
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先週、WTI先物価格が史上初めてマイナスになったことで、
原油がらみのETF・ETNの取引が急増し、価格が乱高下!
ところで4月20日に、原油価格の代表的な指標であるWTI先物(期近物:5月物)価格が、史上初めてマイナスとなって以降、原油先物や、原油先物を組み入れるETF(上場投資信託:Exchange Traded Fund)、原油価格に連動するように作られたETN(上場投資証券:Exchange Traded Note)などの取引が急増し、価格が乱高下しています。
ちなみに、米商品先物取引委員会(CFTC)によると、4月21日時点の買い越し残は58万7180枚と前週比15%増となりました。買い残は3週連続で増加し、2018年8月以来、1年8カ月ぶりの高水準にまで積み上がりました。この買い残の増加の主因は、個人を中心にした投機家が原油価格連動ETFを大量に買い付けたことと見られています。
なお、WTI原油先物などの「海外上場の原油先物」を取引対象とするETFは、当然のことながら、組入れた先物の評価損益額が純資産総額(NAV)に反映されます。そして、4月20日のように先物評価額がマイナス価格となった場合には、ファンドの基準価額がゼロもしくはマイナスとなることはあり得ます。そのような状況を避けるべく、ETFの運用会社は、組入先物の限月を集中させずにリスク低減を目的として、より決済期日の遠い期先の先物を組み入れるなどして限月分散を図っています。
原油先物価格連動のETF・ETNは、
ハイリスク・ハイリターンの「マネーゲーム」でしかない
そんな状況下、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイは4月27日、「上場ETN信託受益証券の値動き、及び主な投資リスクに関するお知らせ」を発表しました。日経・東商取原油レバレッジ指数(「原油レバレッジ指数」)を連動対象指標にしている、同社発行の2銘柄(「原油ダブル・ブルETN(2038)」、「原油ベアETN(2039)」、以下、当該ETN/JDR)について、「直近の原油先物価格の大幅な価格変動を受けて、当該ETN/JDRの基準価額、及び市場価格が大きく変動しています。また、5月の連休後には大きな価格変動が生じる可能性があります」と警告を発しています。
ここで、投資初心者が特に気をつけておかなければならないリスクは、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイが指摘しているように、以下の4点です。
(1)連動対象指標の値がゼロ以下となった場合には、当該ETN/JDRの信託財産である外国指標連動証券はゼロ円で早期償還され、投資金額の全額を失うこと
(2)当該ETN/JDRは、一般的に長期間の投資には向かず、比較的短期間の値動きを捉えるための投資に向いている金融商品であること
(3)ドバイ原油先物が大きく変動した際には、基準価額やインディカティブNAV (基準価額のリアルタイム推定理論値)も大きく変動する一方、市場価格は東証における制限値幅があるため、基準価額やインディカティブNAV と大きな乖離が生じる可能性があること
(4)時間の経過にともない満期が近づくにつれて、コンタンゴ(満期の遠い先物(期先物)ほど先物価格が高い状態)では先物価格は低下し、バックワーデーション(満期の遠い先物(期先物)ほど先物価格が安い状態)では先物価格が上昇する傾向があること
これら重要な4つのリスクを理解した上で、マネーゲームである「投機(Speculation)」と割り切り、原油先物価格連動のETFやETNの取引に参加することはアリでしょう。しかしながら、あなたが「投機」ではなく「投資(Investment)」をしたいのなら、このゲームには参加せず、その行方を生暖かく見守る(観察する)だけにしておきましょう。なぜならば、このゲームはあまりに「ハイリスク・ハイリターン」であり、本来、投資初心者の素人が手を出すものではないと考えるからです。
決済期日のある先物やオプション取引は「投機」!
「投資」をしたいなら、株のような決済期日のない金融商品を
ちなみに、私の考える「投資」と「投機」の最も大きな違いは、「決済期日の有無」です。つまり、「投資には決済期日はなく、投機には決済期日がある」という点です。
決済期日のある先物やオプション取引は、所謂「ゼロサムゲーム」です。「ゼロサムゲーム」というのは、このゲームに参加して儲かっている人の利益の合計と、損している人の損失の合計は必ず「ゼロ」になるというゲームです。つまり、「ゼロサムゲームは投機」なのです。
一方、決済期限のない投資は、必ずしも「ゼロサムゲーム」になるわけでなく、「プラスサムゲーム(市場参加者全員の利益合計が、投資額に対してプラスになること)」や、「マイナスサムゲーム(市場参加者全員の利益合計が、投資額に対してマイナスになること)」にもなり得るのです。
日本株に「投資」をするなら、
「With Coronaの時代」を見据えた投資テーマへ
日本株を対象に「投機」ではなく「投資」をするのならば、「With Coronaの時代」を見据えた銘柄に資金を投入しましょう。物色テーマとしては、「テレワーク」、「新型コロナ治療薬・ワクチン」「遠隔医療」「5G」「巣籠もり」「AI」「教育ICT」などが面白いと考えています。
そして、テクニカル的には、チャートが「パーフェクトオーダー(上から、短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均線の順番で並んでいる状態)」になっている「強い銘柄」を選びましょう。そして、万が一、中期移動平均線を株価が割り込んだら、いったん撤収しましょう。
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