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米国市場では9月のレイバーデー明けに
グロース株からバリュー株へ物色の向かう先が変化
例年9月のレーバーデー明けは、ニューヨーク株式市場の物色の矛先が変わりやすいことで知られています。実際、今年も株式市場では異変が感じられました。
具体的には、これまで調子が良かったGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)が軒並み週間ベースで-7%前後下落する一方で、商品(コモディティ)価格の変動などに株価が影響される「市況株」が見直されました。GAFAMのような成長期待の大きい「グロース株」に資金が集中していた状況から、業績はしっかりしているものの注目度が低く、株価が割安に放置されていた「バリュー株」に物色の矛先が移ってきているようです。
物色の流れが変わった理由は、
「米中国経済の回復」と「新型コロナ・ワクチンへの期待」
物色の流れが変わったひとつの理由は、米国経済が思ったより速いペースで回復してきていることです。下は失業率のチャートですが、急改善していることがわかります。
また、10月にはいよいよ新型コロナウイルス向けワクチンが米国食品医薬品局(FDA)から緊急使用承認(EUA)される、という期待も高まっています。もしそれが実現すれば、景気回復に一気に拍車がかかると思われます。
一方、海外に目を転じると、中国経済の回復が目立ちます。下は中国の粗鋼生産高の推移です。
新型コロナウイルスの感染拡大により中国経済がストップした2月ですら粗鋼生産高は過去5年の平均を上回っており、5月以降になると過去5年平均はもちろん、去年の水準も楽々と超えています。
オーストラリアを中心として世界中に鉱山を所有する
老舗鉱業会社の「リオティント」に注目!
このようにバリュー株へと物色の矛先が移ったことを踏まえて注目したいのが、リオティント(ティッカーシンボル:RIO)です。リオティントは、1873年に創業された歴史ある鉱業会社で、かつてはロスチャイルド家が大株主だったこともあります。
リオティントは、オーストラリアを中心として世界中に鉱山を所有しています。本社機能はオーストラリアのメルボルンと英国のロンドンにあり、その株式はニューヨークやロンドン、シドニーの株式市場に上場しています。鉱山では鉄鉱石やアルミニウム、銅、ダイヤモンドなどを生産しており、その中でも鉄鉱石が最も重要です。
鉄鉱石部門は、中国の粗鋼生産が高水準なこともあり、今年上半期も好調です。アルミニウムは、航空不況で旅客機の生産が激減した影響で苦戦しています。その他のコモディティも世界不況の影響で前年比ではダウンしていますが、銅の需要には復活の兆しが見えています。
一方、リオティントのキャッシュフローは潤沢です。
また、リオティントは、利益の約半分を配当ならびに自社株買戻しに充てて株主に還元しています。配当利回りは6.0%です。2020年の1株当たり利益(EPS)は6.06ドルが見込まれており、株価収益率(PER)は10.6倍で取引されています。
西オーストラリアの先住民遺跡破壊でCEOら3人が辞任するも、
今後のリオティントの業績に大きな影響はなし
9月11日、リオティントのCEOと鉄鉱石部門の責任者、そして広報の責任者の3名が同時に辞任しました。理由は、今年の5月に、西オーストラリアの辺境にある自社の鉄鉱石の生産現場においてダイナマイトで岩石を破砕する際、4万年も昔にそこに人類が住んでいたことを裏付ける歴史的な考古学現場を壊してしまったことです。
オーストラリアにとって鉄鉱石は大事な輸出品なので、リオティントが操業している現場にある歴史的な遺物に対しても、政府からダイナマイトで破壊して良いという許可が事前に出されていたそうです。ただ「壊す前に研究者を招き入れて現場の記録を取りましょう」という約束が、連絡の行き違いから守られませんでした。
これは大変残念な行き違いで、会社側やオーストラリア政府、西オーストラリアの先住民、考古学者コミュニティーをがっかりさせる事件でした。しかし、今後のリオティントの業績に影を落とす性格のものではありません。
【今週のまとめ】
バリュー株が物色される流れの中、業績好調で
高配当・低PERの「リオティント」が有力な投資先に!
9月に入り、ニューヨーク株式市場ではグロース株からバリュー株へと物色の矛先が移っています。その点、リオティントは由緒正しい大型鉱業企業で、業績はしっかりしています。6%という配当利回りも魅力だし、10.6倍というPERも割安なので、チェックしておくといいでしょう。
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