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2020年7月1日に全国でレジ袋の有料化が始まってから、早くも4カ月近くが経過しました。最初は買い物でレジ袋がもらえないことに戸惑う声も多く聞かれましたが、最近では慣れてきた人も多いのではないでしょうか。
環境問題に対する効果という観点からは、レジ袋の有料化に対して疑問に感じる点もありますが、少なくとも「脱プラスチック」に向けた意識への働きかけという意味において一定の効果はあったのではないかと個人的には考えています。今後の社会を考えていく上で、この「脱プラスチック」というのは、ひとつの大きなテーマになっていくことでしょう。
世界的な「脱プラスチック」の潮流を背景に、
ペットボトルからアルミ缶への切り替え需要が高まる
そんな「脱プラスチック」に関して、10月19日にひとつ気になるニュースが伝わってきました。アルミ圧延の世界的な大手であるUACJ(5741)が、タイの工場に390億円を投じ、2022年までにアルミ板の生産能力を2019年比で4割増強する計画であると報じられたことです。
当然ですが、環境問題への意識が高まっているのは日本だけではありません。むしろ、プラスチックゴミによる海洋汚染や動物の健康被害などの「脱プラスチック問題」に対する意識は、日本より海外のほうが高まっています。UACJは、そうした世界的な「脱プラスチック」の流れを追い風として、ペットボトルからアルミ缶への切り替え需要を狙う戦略があるのでしょう。実際、UACJの生産能力増強の背景には、タイを中心とした東南アジアの製缶企業からアルミの引き合いが増えていることがあるようです。
再利用の容易さや耐久性、輸送コストなどのさまざまな観点から、アルミ缶はペットボトルやガラス瓶に対して優位性がありますが、一方では、アルミ生産時の電力消費や、それに伴う二酸化炭素(CO2)排出量の多さが課題として挙げられます。例えば、1キロのアルミをつくるには、平均して5.05キロのCO2が排出されると言われています。
ただ、そうした課題を解決するため、各メーカーがしのぎを削っています。例えば、最近のビールメーカーなどは、製缶企業と共同でアルミ缶の軽量化を進めることで、アルミの使用量の削減に取り組んでいます。
業界全体の努力で、そうしたアルミ缶製造に関わる環境問題の解消が一段と進めば、今後ますますアルミ缶需要が広がる可能性は高いと思います。そこで、今回は「アルミ缶」関連の銘柄に注目しました。
アルミ地金の生産メーカーや商社は除外し、
直接的にアルミ缶の製造に関わる製缶企業からピックアップ!
銘柄選びの基準としては、製缶企業を中心に取り上げました。対象銘柄を素材としてのアルミ地金にまで広げてしまうと、日本軽金属ホールディングス(5703)や三菱マテリアル(5711)、三協立山(5932)、不二サッシ(5940)などの金属メーカーのほか、三井物産(8031)や住友商事(8053)などの商社株にまで広がりますが、逆に銘柄を絞り込みにくくなってしまうので、今回はシンプルに製缶企業に絞り込みました。
【UACJ(5741)】
2020年度の下期以降の回復を見据えた長期保有がおすすめ
UACJ(5741)は、アルミ圧延で世界大手の企業で、前出のアルミ板の世界生産能力を増強するニュースで注目を集めています。コロナ禍でも「アルミ缶」の需要が旺盛な地域がある一方、顧客の国内製造所における操業度の低下や在庫調整などの影響で、UACJの足元の業績は冴えない状況なので、投資するのであれば、2020年度の下期以降の回復を見据えた長期目線で保有するのがおすすめです。株価は、今回の報道を受けて大きくリバウンドを見せており短期的な過熱感が警戒されるので、慌てて買うのではなく、押し目を待つスタンスがいいでしょう。
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【東洋製罐グループホールディングス(5901)】
缶もプラスチック製品も手掛ける容器包装のリーディングカンパニー
東洋製罐グループホールディングス(5901)は、容器包装のリーディングカンパニーです。缶もプラスチック製品も手掛けており、「脱プラスチック」の流れには、ポジティブな面とネガティブな面、両方の影響を受けることになります。ただ、中期経営計画の中で「リジッド素材(金属・ガラス)パッケージの効率化および高付加価値化の提案」などを掲げており、今後の動向を注視したいところです。株価は3月19日につけた安値979円近くまで下落しており、「底入れからの反転」を狙う形となります。
⇒東洋製罐グループホールディングス(5901)の最新の株価はこちら!
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【昭和電工(4004)】
子会社が、ベトナム南部に年間13億缶を生産する新工場を建設
昭和電工(4004)は、株式市場では「黒鉛電極」関連として取り上げられることが多いのですが、事業としては幅広く展開している企業です。連結子会社の昭和アルミニウム缶が、7月末、ベトナム南部に年間13億缶の生産能力を持つ新工場を完成させたことを発表。新工場建設と併せて、既存工場でも缶蓋生産能力の増強を実施しています。なお、昭和電工は「黒鉛電極」関連の動向に影響されやすく、2018年以降は黒鉛の需要減少により株価が低迷しています。しかし、最近になって黒鉛メーカーの在庫消化が進み、需要回復も見られているので、「黒鉛電極」関連銘柄としても要注目の銘柄です。
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【日本製罐(5905)】
自動車生産・販売の状況の改善による一斗缶の需要回復に期待
日本製缶(5905)は、金属缶の製造・販売を手掛けています。主力の18リットル缶(一斗缶)は、外出自粛の流れによりDIY人気が高まったことで家庭用塗料向けの需要が堅調です。また、自動車生産・販売の状況が改善してくる中でも需要回復も期待できます。ただし出来高がやや薄く、下のチャートのように株価が飛びやすいので、実際にトレードする際には注意が必要です。
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【Cominix(3173)】
家飲みの増加に伴い、アルコール飲料用のアルミ缶需要が増加
Cominix(3173)は、自動車向け超硬切削工具や特殊鋼切削工具を主力とした工具専門商社ですが、アルミ缶の生産に使われる耐摩工具も手掛けています。2021年3月期の第1四半期には、外出自粛に伴い自宅で飲酒する人が増加したことで、アルコール飲料用のアルミ缶の生産が増加しています。
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以上、今回は「アルミ缶」関連銘柄を紹介しました。ただ、今回紹介した中には株価が下落中の銘柄も多いので、今すぐ投資するとのではなく、投資テーマのひとつとして監視銘柄リストに入れておき、株価が落ち着くのを待ってから業績推移などを見つつ狙っていくスタンスが適切でしょう。
特に2020年4〜6月期は、新型コロナウイルスの影響で業績が大きく悪化した企業も多いのですが、経済活動再開の流れから全体的には回復傾向にあります。7〜9月期の決算は会社想定ほど業績が悪くない可能性も十分にあるので、今後、本格化する決算発表の内容を確認し、株価の見直しを狙った戦略を考えておくといいでしょう。
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