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米国株は、相変わらず追加経済対策を巡る各種報道に右往左往しています。
まず10月14日は、追加経済対策に関して野党の民主党と協議を続けるムニューシン米財務長官が「米国の選挙前に何らかの合意に至るのは難しい」との考えを示したと伝わったことで、NYダウは下落し、終値で前日比165.81ドル安の2万8514.00ドルとなりました。
そして、10月18日に「民主党のペロシ下院議長が、経済対策の交渉に20日までという48時間の期限を設けた」と伝わったことで、与野党が近く合意するとの期待が高まり、翌日19日のNYダウは買いが先行。一時105.62ドル高まで上昇する場面もありました。
しかし、その日のうちに米紙が「交渉は成立しそうに見えない」と報じたことで、追加経済対策が成立するとの期待が剥落して売りが加速。NYダウは急落し、10月19日は前週末比410.89ドル安の2万8195.42ドルで取引を終えました。
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11月3日に控えた米国の大統領・議会選挙の結果次第では、
米国株のボラティリティーが上昇し、一時的に急落する可能性も!
上院の共和党が5000億ドル規模の対策法案を頑として譲らないため、追加経済対策の法案成立は新政権が発足する来年1月以降になるとの見方が、市場の一部では強まっているようです。
なお、「追加の経済対策が成立しなければ、現行の米政府の緊急経済対策『CARES法(コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法)』による失業者への支援は12月末でほぼ完全に消失する。1000万人を超える失業者の手当がなくなり『所得の崖』が一段と深刻化する可能性がある」と報じられています。
米国の大統領・議会選挙に関しては、世論調査サイトの「ファイブサーティエイト」によると、10月19日時点でバイデン氏が勝利する確率は88%でした。そして、民主党が下院で過半数を取る確率は95%、上院で74%となっています。このような状況を受け、株式市場では大統領選挙でバイデン氏が勝利し、さらに上下両院でも民主党が多数派を占める「トリプルブルー」になるとの見方が日を追うごとに強まっています。
少なくとも、上院で民主党が過半数を取れば、下院はほぼ楽勝見通しのため、大統領がどちらになろうとも追加経済対策は選挙後にすんなり決まるでしょう。投資家サイドからすれば「上院で民主党が過半数を取ること」がベストシナリオです。
一方、最悪なシナリオは、上院で共和党が過半数を維持し続けて、かつ、大統領選挙後も頑なに態度を変えない場合です。このケースでは、市場が「所得の崖」に怯えて動揺するリスクが高まってしまいます。
このように、米国の選挙結果次第では米国株のボラティティーが上昇し、「リスクパリティ・ファンド(株式、債券、コモディティ、クレジットなどを、グループごとのリスク〈ボラティリティー〉が一定になるように配置するファンド)」から暴力的な売りが出ることで売りが売りを呼び、株価が急落する展開に陥る可能性は低くはありません。
第3次補正予算による個人消費の回復期待の高まりや
日銀のETF買いが、日経平均株価を協力にサポート!
一方、日本では、米国とは異なり、追加の経済対策がすんなり実行される見通しです。というのも、10月14日に「菅義偉首相は11月にも追加経済対策の策定を指示する。新型コロナウイルス禍で落ち込む消費を喚起するため、観光業や飲食業などの支援を想定するほか、防災・減災といった公共事業も検討する。対策の裏付けとなる2020年度第3次補正予算案を2021年1月召集の通常国会に提出する」と報じられているからです。
この第3次補正予算による個人消費の回復期待の高まりは、当面の間、日本株を力強くサポートするはずです。このため、米国株がボラタイル(値動きの激しい状態)な動きになったとしても、日経平均株価が“連れ安”する場面はあるにせよ、相対的に日本株は米国株と比較して底堅さを発揮し、日米の株価が「デカップリング(値動きが連動しないこと)」することが期待できます。
また、日経平均株価が急激に下がれば、日銀が株価指数連動型上場投資信託(ETF)を大幅に買ってくる見通しです。
2020年のETF購入額は累計6兆2141億円に達し、従来の最高額だった2018年の6兆2100億円をすでに上回っています。しかし、日銀は新型コロナ禍で世界同時株安が発生した今年3月にETF購入額を年6兆円から年12兆円に増やす追加金融緩和策を導入しました。よって、枠には十分な余裕があるのです。
また、1回の購入額に関しても、市場のボラティリティーが低下してきた10月14日、16日はそれぞれ701億円でしたが、ボラティリティーが高騰していた3月には最大2004億円まで増やしていました。そのため、今後ボラティリティーが高騰する場面では、機動的に購入額を増やす可能性が高いでしょう。
以上、述べてきたように、米国株が選挙後にボラタイルな動きになるリスクは高いものの、日本株が大波乱に巻き込まれるリスクはそれほど高くないと見ています。
もちろん、慎重スタンスで運用したいなら、日経平均株価が2万3500円付近の現時点でいったん保有株を換金し、米国の選挙結果が出てから、改めて買い直すかどうかを判断するという投資行動も妥当な選択だと思います。
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堅調だったマザーズ市場は調整入りしたので、
「パーフェクトオーダー」が戻るまではリスクを抑えた慎重姿勢で
一方、10月14日の東証マザーズ指数は、前日比18.41ポイント(1.37%)高の1365.49ポイントで取引を終え、2006年8月24日以来、約14年2カ月ぶりの高値を付けましたが、その後、調整入りしています。
10月19日の終値は1318.68ポイントでした。日足チャートでは、5日移動平均線(19日時点で1335.71ポイント)を割り込んで、「5日・25日・75日の移動平均線のパーフェクトオーダー(短期・中期・長期の3本の移動平均線が順番通りきれいに同じ方向に並んでトレンドが発生している状態)」が崩れてしまっています。
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今後に関しては、5日移動平均線を上回るまでは調整が継続。「パーフェクトオーダー」の復活が、「調整終了のサイン」と見ています。調整継続の場合、第一下値メドは25日移動平均線(19日時点で1246.23ポイント)、第二下値メドは75日移動平均線(同11151.08ポイント)です。
ただし、25日移動平均線を下抜けしたとたんに、追証の発生回避を目的とする買い方からの売りが加速する可能性は高いと見ています。よって、東証マザーズ指数が現状のように25日移動平均線の上で推移していても、5日移動平均線の下にいる間になんらかのヘッジ(買いポジションの縮小やショートポジション構築)をやっておいた方が良さそうです。
「パーフェクトオーダー」のときは、「強気一択」でいいでしょう。しかし、「パーフェクトオーダー」が崩れたときは、特にレバレッジを効かせて運用している投資家は、万が一、想定外の下落が発生したとしても致命傷を負わないよう、慎重に対応するべきです。
ちなみに、2020年10月5日〜9日の「投資部門別 株式売買状況[金額]」によれば、「委託」の買いに占める個人の割合は、東証1部では18.8%でしたが、マザーズ市場では54.6%でした。また、「買い代金」の個人の現金・信用取引の比率は、現金が28.5%、信用が71.5%でした。つまり、買い代金の過半数を占める「個人の買い」の約7割が、信用(借金)で買われているのです。
そのため、相場が崩れると追証が発生しやすく、そこで損切りを躊躇して逃げ遅れると、あっさりと「追証地獄」にはまってしまいます。これがマザーズに代表される「新興市場の常」なのです。
ですから、マザーズ市場では大型株以上にリスクに対して過敏になり、慎重に運用しないとなりません。投資初心者は、東証マザーズ指数が「パーフェクトオーダー」でない場合は「マザーズ銘柄を買わない、持たない」を徹底することを推奨します。
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