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接戦を繰り広げていた米国の大統領選挙で、
ジョー・バイデンの当選が確実に!
米国の大統領選挙は11月7日(日本時間11月8日未明)、大接戦の末に民主党のジョー・バイデンの当選が確実となりました。
今回の選挙では、普通、共和党支持に回ることの多いアリゾナ州がバイデン支持に回り、ウィスコンシン州やミシガン州、ペンシルバニア州でもバイデンがトランプに競り勝ちました。それらの州での勝利が、今回のバイデンの勝因となりました。
米国の株式市場が大統領選挙の投票日前から高騰したのは、
上院と下院の「ねじれ」の可能性が高まり、長期金利が低下したから
米国の株式市場は、11月3日の大統領選挙の投票日を待たず、早くも2日から奔騰相場(急激に上昇する相場)に入りました。株価上昇の理由としては、長期金利の低下が最も重要なファクターだと考えています。
米国の10年債利回りは、下のチャートのように0.79%まで下落しています。
大統領選挙と同時に行われた上院・下院選挙の結果、
議会が「ねじれ」状態となって機能不全に陥る可能性が高い
今回は大統領選挙だけでなく、下院選挙と上院選挙も同時に行われました。
下院では、民主党が5議席を失ったものの、かろうじて過半数を維持しました。一方、上院は、民主党の躍進に期待する声が多かった中、辛くも共和党が過半数を守る見通しですが、最終的な結果は来年1月まで持ち越しとなりそうです。ここは日本の投資家にはわかりにくい部分なので、詳しく説明していきましょう。
上院の定数は100議席で、選挙前は共和党が53議席を占めていました。対して民主党は、通常の45議席に加え、投票の際に必ず民主党の側に立つ「無所属」の2議席があり、合わせて47議席を支配していました。
今回の上院選挙の結果は、これまでのところ共和党が−1議席、民主党が+1議席です。未だ結果の出ていない議席は4議席で、そのうちノースカロライナ州の2議席は共和党が取る見通しなので、共和党は依然として2議席リードしています。議席数で見ると、共和党50議席、民主党48議席(無所属含む)となります。
そして、残る2議席はジョージア州です。ジョージア州の州法では「上院議員選挙で最多票獲得の候補者の票数が50%に満たない場合、上位2名だけに絞り込んで決選投票をする」というルールがあるのですが、今回は両方の議席でこのルールが適用され、1月の決選投票に進む見通しとなっています。そこで、おそらく共和党が少なくとも1議席を確保し、51議席の過半数を維持すると思われます。
もしジョージア州の1月の決選投票で共和党の候補者が2名とも負ければ、上院は共和党と民主党がそれぞれ50議席ずつの同数となります。その場合は、民主党のカマラ・ハリス副大統領がタイブレーカーの最終票を投ずることになるので実質的に上院も民主党が支配することになりますが、その可能性は低いと思います。
以上のことをまとめると、今回の選挙の途中経過を見る限り、大統領と下院は民主党、上院は共和党が支配する「ねじれ」状態となる公算が大きいです。つまり、ジョー・バイデンが大統領になっても、民主党がどんどん法案を通すことは難しくなります。
これは、議会では「何も決まらない」機能不全を意味するのですが、ことウォール街関係者に関する限り、「むしろ何も決まらないほうが、財政規律が損なわれる心配が少ない」とポジティブに受け止める人が多いです。
議会が機能不全に陥ると追加景気刺激策の進展が難しいため、
FRBによる債券買い入れプログラムの拡大が期待される
今回の選挙結果を見る限り、大型の追加景気刺激策がテキパキまとめられる雰囲気とは程遠く、景気対策はアメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の債券買い入れプログラムの拡大に期待するほかない状態です。
現在、FRBは毎月、米国財務省証券を800億ドル、住宅抵当証券を400億ドルのペースで購入しています。この買い入れペースは、今年の6月以降ずっと一定に保たれてきました。
中央銀行が市場から債券を買い上げれば、当然、債券価格は上昇し、その分、債券利回りは低下します。
債券利回りと株式バリュエーションは「シーソーの関係」にあり、債券利回りが低下すると株式は買われることが知られているので、気の早いトレーダーはニューヨーク市場に殺到しました。それが、11月2日から起こった奔騰相場の原因です。
ただし、今すぐFRBが大胆な債券買い入れプログラムの拡大を今すぐ発表する可能性は低いと思います。なぜなら、米国経済は4月頃の大混乱からはかなり立ち直ってきている上、資本市場は正常に作動しており、株式も高値に近いからです。
新型コロナの感染再拡大によりデフレ圧力が高まったことも、
債券利回りの低下&株価上昇の追い風に!
なお、長期金利の低下を招いたもうひとつの重要な要因として、新型コロナウイルスの感染再拡大も挙げられます。今、アメリカでは1日当たりの新規感染者数が約12万人、死者数も1000人を超えるという大変な事態になっています。そのため、人々は街に出て行きにくくなっており、レストランやブティックなどのお店は再び苦しくなっています。
消費者が家に籠ると経済活動が鈍るので、おのずとデフレ圧力がかかって来ます。債券が買われている理由はそこも関係しています。
来年1月までは「強気スタンス」を堅持しつつも、
先週の株価急騰に対する反動には要注意!
今後のシナリオとしては、まず「毎年11月から翌年1月にかけての株式市場は強い」ということが経験則的に知られています。したがって、今は強気のスタンスを堅持すべきです。
ただし、先週1週間の株式市場の上昇は+7%をこえており、大統領選挙の行われた週としては1932年のフランクリン・ルーズベルト大統領が当選したときに次いで歴代2位の上昇率でした。つまり、強気のスタンスを堅持しながらも、先週の強烈な株価上昇の後は反動にも気を付ける必要があります。
慌てなくても、これから年末にかけてチャンスはいくらでもあります。大統領選挙の熱気が少し冷めた後で出動しても全然遅くはないので、焦りは禁物と考えましょう
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