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「全世代型社会保障改革の方針」の最終報告では、
「少子化対策」「医療制度改革」が2本柱に
菅内閣は12月14日に全世代型社会保障検討会議を開催し、「全世代型社会保障改革の方針」について最終報告をまとめました。
全世代型社会保障検討会議は、2019年9月に安倍内閣により設置され、年金や労働、医療、介護、少子化対策など、社会保障全般にわたる持続可能な改革を検討してきました。2019年12月に第1回目の中間報告が行われた際は、その内容を元に第201回国会で労働や年金分野などの改革が実現。2020年6月には、第2回目の中間報告が行われました。
そして9月に発足した菅内閣がこれを引き継ぎ、10月15日に少子化対策、11月24日に医療改革についてそれぞれ議論を実施。それらを踏まえ、今回の「全世代型社会保障改革の方針」がまとめられました。
「全世代型社会保障改革の方針」には、過去には問題なく機能していたものの、現在はさまざまな欠陥が生じている日本の社会保障について、その構造を見直すため、「少子化対策」と「医療制度改革」の2つを柱とした取り組みが盛り込まれています。
「医療制度改革」については、75歳以上の医療費の窓口負担について、2022年度後半から年収200万円以上(単身世帯)の人を現行の1割から2割に引き上げることが決まりました。対象者にとっては負担増となる「痛みを伴う改革」と言えますが、社会保障の持続性という観点から、こうした改革は今後さらに進めていく必要があるでしょう。
一方、「少子化対策」については、現役世代への給付という意味合いはもちろんのこと、社会保障を支える現役世代の厚みを将来的に取り戻すという意味でも重要視されています。具体的には、「待機児童の解消(保育の受け皿の整備)」や「不妊治療の保険適用拡大」「男性育休の取得促進」の3つが挙げられています。
「4年間で14万人分の保育の受け皿を整備」という
待機児童対策の目標を踏まえ、「保育」関連銘柄に着目!
「全世代型社会保障改革の方針」からは、多くの投資テーマが考えられます。例えば、以前に当コラムで「少子化対策」を扱ったときは、「不妊医療」関連銘柄を中心に取り上げました。
【※関連記事はこちら!】
⇒「少子化対策」関連銘柄は、菅首相が注力する“国策テーマ株”! 保険適用拡大が見込める「不妊治療」関連株、「出生率増加」で恩恵を受ける株など、注目6銘柄を紹介
そこで今回は「少子化対策」の中から、特に「保育」関連の銘柄に注目したいと思います。
「全世代型社会保障改革の方針」では「待機児童の解消」の一環として、「2021年度から2024年度末までの4年間で約14万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童ゼロを実現する」などの目標が挙げられています。「保育」関連銘柄は、こうした施策の恩恵を享受し、事業拡大を図っていくことが期待できます。
具体的な銘柄としては「4年間で約14万人分の保育の受け皿を整備する」という国の施策が直接的な追い風となる、保育所の施設運営を手掛けている企業に注目しました。
コロナ禍による「ニューノーマル」の社会では、地方への移住が増えてくると考えられますが、その際、子どもを持つ家庭にとっては子育ての環境が整備された地域を選ぶことが重要となります。そのため、地方自治体にとっては、新たな家族を取り込むためにも保育施設の充実化が重要な課題となってくるでしょう。また、企業にとっても、従業員が安心して働けるよう会社内に保育所や学童保育施設を構えることは、優秀な人材の確保につながります。
そうした面から、保育施設の運営や支援などを手掛ける企業に対する注目度は、今後ますます高まってくると見ています。
【パソナグループ(2168)】
従業員向けの企業内保育施設の設置・運営をサポート
パソナグループ(2168)は人材サービス大手で、グループ会社が保育園や企業内保育施設の運営を手掛けています。企業が従業員のために保育園をつくる場合、設置・運営のための費用が助成されますが、パソナグループの「企業主導型保育事業」では、そうしたプロジェクトの企画から設計、運営まで幅広い支援を行っています。
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【SERIO(6567)】
地方自治体からの委託施設など、133カ所で放課後施設を運営
SERIOホールディングス(6567)は「就労支援事業」「放課後事業」「保育事業」の3ジャンルで事業を展開しています。そのうち「保育事業」では、2020年4月1日時点で、公立(地方自治体からの委託):123施設、私立小学校アフタースクール:9施設、民間:1施設の合計133の放課後施設を運営。また、保育施設についても、認可保育園:20施設、小規模認可保育園:9施設、企業主導型保育園」:3施設、地域子育て支援施設:2施設の合計34施設を運営しており、現在でも拡大中です。
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【テノ.ホールディングス(7037)】
「公的保育事業」と「受託保育事業」が2本柱
テノ.ホールディングス(7037)は「公的保育事業」と「受託保育事業」を2本柱とする企業。女性社長が率いており、業績も堅調に推移しています。また、規模はそれ程大きくないものの、2本柱のほかに家庭総合サービスの「ベビーシッターサービス」や、産前産後のお手伝いをする「マザーリングサービス」なども展開しており、子育て関連の需要を幅広くカバーしています。
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【JPホールディングス(2749)】
子育て支援事業のリーディングカンパニー
JPホールディングス(2749)は、子育て支援事業のリーディングカンパニーです。「保育」関連事業を行う企業は国内展開に留まるところが多いのですが、JPホールディングスは国外においても子育て支援施設の開設・運営を手がけています。運営する子育て支援施設は、2020年3月末時点で合計297施設。中長期的な経営戦略の一環として新ビジネスの創出を掲げており、今後の展開にも注視したいところです。
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【Kids Smile Holdings(7084)】
「幼児教育としての保育」という側面から事業を展開
Kids Smile Holdings(7084)は、保育園やプレスクールを運営。「幼児教育としての保育」という側面から事業を展開しています。特に、自主性や自制心、やりぬく力や協調性といったIQや学力では計測できない「非認知能力」の育成をテーマとしています。
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【グローバルキッズCOMPANY(6189)】
企業主導型保育所や児童発達支援事業所なども展開
グローバルキッズCOMPANY(6189)は、通常の認可保育所に加え、企業主導型保育所や児童発達支援事業所などを幅広く展開。2020年9月末時点で合計176施設を運営しています。今後も引き続き首都圏を中心に、新規施設の開設を続けていく方針を示しています。
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以上、今回は今後の成長が期待できる「保育」関連銘柄を発掘しました。
共働きやひとり親家庭の小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)を利用できなかった「待機児童」は、2020年5月1日時点で1万8783人と過去最多を更新しました。また、小学校入学後に預け先が見つからずに保護者が離職する「小1の壁」問題などもよく耳にします。
政府としても、こうした状況の解消に今後も注力を続けると思われるので、「保育」に関連する企業は注目しておくといいでしょう。
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