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3月18日の日経新聞で、三井海洋開発(6269)が日本近海の海底表層に眠る「メタンハイドレート」を掘削し、そこからメタンガスを採掘する実験を2021年度に着手することが報じられました。
日本政府は、2050年までに「カーボンニュートラル」、つまり温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすることを目標に掲げています。最近、EVや燃料電池などが何かと話題になっているのも、こうした流れの一環と言えるでしょう。
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この「2050年カーボンニュートラル」の達成に向けて、切り札になる可能性を秘めた資源が「メタンハイドレート」です。今回は、そんな「メタンハイドレート」関連銘柄に注目したいと思います。
「メタンハイドレート」から取り出せるメタンガスは、
CO2排出量が少ない上に水素の原料としても活用可能!
「メタンハイドレート」は、天然ガスの主成分であるメタンガスが水分子と結びつくことでできた氷状の物質で、その見た目と火を近づけると燃える性質から「燃える氷」とも呼ばれます。気体であるメタンガスと比べると非常に体積が小さく、「メタンハイドレート」1立方メートルから160立方メートル以上ものメタンガスを取り出すことができます。
メタンガスは、燃やしたときのCO2排出量が少ないのがメリットで、燃焼により同じ熱量を得るために排出されるCO2は、石炭や石油に比べて20〜30%も少なくて済みます。
さらにメタンガスは、水素燃料電池など、脱炭素社会には欠かせない「水素」の原料としても活用できます。
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こうした点から「メタンハイドレート」は、日本政府が積極的に「カーボンニュートラル」を進めていく中で、その重要性がますます高まっていくことは間違いありません。
「メタンハイドレート」関連の中核銘柄である
採掘関連のプラント建設や設備を手掛けている企業を発掘
そんな「メタンハイドレート」ですが、実は日本近海に大量に存在していることが調査で判明しており、これを活用することができれば、日本が非資源国としてこれまで悩まされてきた状況から脱することが期待できます。
日本近海に眠る「メタンハイドレート」は、水深1000メートル程度の海底からさらに深い地中に堆積する「砂層型」と、比較的浅い海底の表面近くに溜まる「表層型」の2タイプがありますが、いずれも商業利用は実現していません。前述した三井海洋開発の実験は、採掘が比較的容易な「表層型メタンハイドレート」の活用を目指しますが、実用化はしばらく先になるでしょう。
ただ、「2050年カーボンニュートラル」という政府目標もあり、三井海洋開発をはじめとして「メタンハイドレート」の実用化に向けた動きが徐々に活発になってきています。
現時点での「メタンハイドレート」関連銘柄を押さえ、知識としてインプットしておくと、商用化に向けた今後の動向を追っていきやすくなって、いざ物色の兆しが見えたときに素早い投資行動につなげることができるでしょう。
具体的な銘柄としては、「メタンハイドレート」の採掘に関連するプラント建設や設備などを手掛けている企業を中心に選定しています。
【三井海洋開発(6269)】
他社に先駆け、2021年度に「メタンハイドレート」掘削実験に着手
三井海洋開発(6269)は、浮体式海洋石油・ガス生産設備分野のリーディング・カンパニーとして培った技術や実績を、表層メタンハイドレート採掘に応用するための研究・開発に取り組んでいます。前述した報道では「他社に先駆けて2021年度に掘削実験に着手する」と報じられており、「メタンハイドレート」関連銘柄の中心的な存在と位置づけられています。株価は、2月26日の安値1728円から、3月19日には一時2399円まで上昇しました。足元では利益確定の流れが見られますので、押し目狙いのスタンスになるでしょう。
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【日揮ホールディングス(1963)/東洋エンジニアリング(6330)/千代田化工建設(6366)】
日本メタンハイドレート調査株式会社に出資
日揮ホールディングス(1963)、東洋エンジニアリング(6330)、千代田化工建設(6366)の3社は、国が実施する砂層型メタンハイドレート開発に関する海洋産出試験などに参画することを目指して2014年に設立された「日本メタンハイドレート調査」の株主に名を連ねています。株価を見ると、3社とも足元でリバウンドの動きを見せていますが、いずれも2018年頃の株価水準と比較するとようやく反転してきた水準なので、今後の進捗に期待したいところです。
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【三井E&Sホールディングス(7003)】
資源エネルギー庁と産業技術総合研究所による調査研究に参加
三井E&Sホールディングス(7003)は、資源エネルギー庁と産業技術総合研究所によって2016年度から行われている表層型メタンハイドレート回収技術開発に関わる調査研究に参加し、商業化に向けた回収方法や経済性の検討を進めています。2019年には、表層型メタンハイドレートを模擬した氷試験体の製作に向け、北見工業大学との共同研究を開始しており、引き続きその動向に注目が集まります。株価は、年初以降から上昇を続けていますが、まだ昨年来高値からの下落幅に対する半値戻しの水準なので、さらなる上昇が期待できます。
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【三菱重工業(7011)】
「低環境負荷エネルギーへの転換」を成長軸に据えることを表明
三菱重工業(7011)は、傘下の三菱造船がメタンハイドレートの掘削技術の開発を行っています。防衛関連として注目されることが多い銘柄ですが、2021年度から2023年度までの「中期経営計画(2021事業計画)」では、「エナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの転換)」を成長軸に据えるなど、エネルギー関連銘柄の側面も強めています。株価は2020年11月から上昇トレンドが続いており、2020年1月10日に付けた高値4322円が意識されます。
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【鉱研工業(6297)】
材料性の強い銘柄なので、値動きの荒さには注意!
鉱研工業(6297)は、地下開発のエンジニアリングや施工を手掛けるボーリングマシンのトップメーカーです。他の関連銘柄と異なり、具体的に会社側から「メタンハイドレート」に関わるリリースが出ているわけではないものの、「メタンハイドレート」関連のニュースが出ると思惑的な資金が向かうことが多いため、チェックしておくといいでしょう。材料性の強い銘柄のため、値動きの荒さには注意しながら、25日移動平均線付近で押し目を狙いたいところです。
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今回は、まず「メタンハイドレート」関連の中核的な銘柄を紹介しましたが、今後「メタンハイドレート」の開発が本格化する過程では、上記の銘柄の他に、バルブやタンクなど関連する部材へも物色が波及してくることを想定しておくといいでしょう。
「メタンハイドレート」は、最近急速に注目が集まっている資源ではなく、どちらか言えば話題になって久しいテーマです。しかし「メタンハイドレート」という名前を耳にしたことはあるものの「実用化はまだまだ先の話でしょ?」と考え、詳しいところまで把握しきれていない投資家の方も実は多いのではないでしょうか。
「メタンハイドレート」は将来の日本にとっても非常に重要な資源であり、今後大いに注目される可能性が高い投資テーマなので、今のうちからチェックしておくことをおすすめします。
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