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6月1日の日経平均株価は2万8814.34円でした。5月13日の2万7385.03円で底打ちして、現在は戻り(上昇)を試しています。
ちなみに先週末5月28日の日経平均株価は、前日比600.40円(2.10%)高の2万9149.41円と、終値ベースで2万9000円台を回復しました。これは5月10日以来のことです。
5月28日は、前日にMSCIの銘柄入れ替えに伴う指数イベントを通過し、需給不安が大幅に後退したことが買い要因でした。というのも、今回の銘柄入れ替えで29銘柄の日本株が指数から除外されることから、5000億円程度の売りが出るとの試算があったからです。この特殊な売り需要を無事にこなしたことで、5月28日は安心感が広がりました。
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米国株の強さは、ワクチン接種の進捗による経済正常化への期待や
良好なマクロ指標、低位安定した長期金利などが要因
しかし、5月13日以降、日経平均株価が上昇した主因は、やはり強い米国株でしょう。米国株が強い背景には、ワクチン接種が順調に進んで経済活動の正常化が見込めることに加え、発表された各種マクロ指標が良好だったことがあります。さらに、物価が上昇基調であるにもかかわらず、FRBが超絶金融緩和の姿勢を一切崩さないため、米国の長期金利が低位安定していることも挙げられます。
実際、5月28日のNYダウは終値で3万4529.45ドルと、5月7日に付けた過去最高値まであと250ドル足らずに肉薄しています。また、ナスダック総合株価指数も前日比12.463ポイント高の1万3748.739ポイントでした。
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5月28日に発表された4月の個人消費支出(PCE)物価指数は、コア指数が前年同月比で3.1%上昇し、市場予想の2.9%上昇を上回りました。これは実に29年ぶりの高い伸び率でした。しかしながら、債券市場は一切動揺せず、むしろ米国10年物国債利回りが前日比で0.03%低下し、1.58%で取引を終えたのです。このため、景気に敏感なバリュー株(割安株)だけでなく、株価指標で割高とされるグロース株(成長株)の代表格であるハイテク株も堅調に推移しているのです。
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ちなみに5月28日、バイデン米政権が2022年会計年度の予算教書を公表しました。連邦議会に求めた歳出規模は、新型コロナ危機前を3割上回る6兆110億ドルでした。当初の予算教書で示された歳出としては戦後最大の規模です。
米国の税財政は議会上下両院に立案・決定権があるため、予算教書に強制力はないものの、議会審議のたたき台になるそうです。今後の米国議会の論議の行方次第ですが、それなりの規模で予算が決まるようであれば、米国の景気加速への期待が一段と高まることでしょう。
6月中旬以降の「1日100万回のワクチン接種」の実現により、
日本でもようやく経済正常化への期待が持てる状況に!
一方、国内では5月28日、菅義偉首相が9都道府県の緊急事態宣言の延長を受けて会見し、新型コロナウイルス感染症対策の切り札となるワクチン接種について、6月中旬以降に1日100万回に対応できる体制ができる見通しであることを明らかにしました。
このため、ワクチン接種に関して欧米に比べて大幅に遅れている日本でも、今後は急速に国民の接種率が上がっていく見通しです。つまり、ようやく日本もワクチン普及による経済正常化への期待が抱ける状況になったと言えます。当然、これは日本株にとって強烈な追い風です。今後の日本株については、米国株との相対的な出遅れ感の解消が進むことが期待されます。
日経平均株価はテクニカル上の「戻りメド」をクリアしており、
6月11日のメジャーSQまでは「強気スタンス」でOK!
ところで、日経平均株価の直近高値は5月1日の2万9685.41円です。その後、5月13日に直近安値となる2万7385.03円を付けました。下げ幅は2300.38円です。この下げ幅の“半値戻し”は2万8535.22円、“61.8%戻し”は2万8806.66円です。一方、5月28日の高値は2万9194.11円です。つまり、テクニカル上の重要な戻りメドを、すでにクリアしています。また、5月28日の600.40円高の大幅高で、25日移動平均線(5月28日時点で2万8649.99円)もあっさり上抜きました。
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こうなると、75日移動平均線(5月31日時点で2万9247.44円)の突破が十分期待出来る状況と考えています。そして、予想というか期待通りに75日移動平均線を上に抜けた場合、6月11日の先物・オプションのメジャーSQに向けて、日経平均先物やコール・オプションを売り建てている(ショートしている)投資家からの損失覚悟の買戻し(踏み)が入り、「踏み上げ相場」が発生することになると見ています。
よって、当面の日経平均株価に関しては、少なくとも、6月11日のSQまで私は「強気スタンス」です。ただし、SQ前に5月13日の2万7385.03円から28日の2万9194.11円までの上げ幅1809.08円の“半値押し”である2万8289.57円を割り込んだ場合、このシナリオを白紙に戻し、改めて投資戦略を練り直したいと考えています。
FRBの早期テーパリング懸念が高まると、長期金利が上昇に転じ、
ハイテク株や景気敏感株が売られて米国株が大きく崩れる可能性も
ところで、足元で堅調な米国株が崩れるとしたら、「FRBが早期テーパリング(FRBによる資産購入の段階的縮小)を始める」という懸念を株式市場が強めた場合でしょう。流れとしては、市場の想定以上の景気過熱・物価上昇を示す指標の発表が相次ぎ、これまで低位で落ち着いて推移している米国の長期金利が上昇基調に転じて、高PERのハイテク株から株価が下落。その後、リスクオフムードが強まり、割安な景気敏感株にも売りが及んでしまう展開を想定しています。
なお、米国のカンザスシティー連邦準備銀行は5月27日、ジャクソンホールで毎夏開催している恒例の経済シンポジウムを、8月26日~28日に対面で実施すると発表しました。ここで、パウエルFRB議長が講演し、市場の最大の関心事であるテーパリングについて言及すると見られています。このため、このシンポジウムが接近する7月~8月(特に8月)は、米国株が神経質に動く可能性がある点には留意が必要です。
現在の2大テーマは「半導体」「アフターコロナ」なので、
6月のメジャーSQまでは積極的に市場参加を!
最後に、現在の株式市場で私が最も注目している2大物色テーマは、「半導体」と「アフターコロナ」です。
「半導体」に関しては、インテルのパット・ゲルシンガーCEOが5月31日、世界的な半導体不足について、解決するまでには数年かかる可能性があるとの見解を示しています。このため、半導体関連の人気はまだまだ続くはずだと考えています。
一方、先述のように日本でも今後、ワクチン接種が加速し、経済正常化への期待が高まる見込みです。このため、世界的なコロナ禍で業績が著しく悪化した旅行関連や飲食関連の株価の強烈な逆襲が遠からず発生すると見ています。
私の読み通りであれば、少なくとも6月11日のメジャーSQまでは買い方にとって良好な投資環境が続くはずですから、ぜひとも積極的に市場参加してみてください。ただし、くれぐれもご自身で予め撤収ルールを決めておき、「しまったは手仕舞え!」の相場格言どおりに行動してください。
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