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英語学習アプリの「デュオリンゴ(DUOL)」が
7月28日、ナスダックにIPO(新規株式公開)!
デュオリンゴ公式サイトより
今週は、世界に5億人のユーザーを持つ外国語学習アプリを提供し、7月28日にナスダック市場へIPO(新規株式公開)するデュオリンゴ(ティッカーシンボル:DUOL)を取り上げます。
今回のIPOで売り出されるのは511万株で、価格設定は85〜95ドル。幹事証券は、ゴールドマンサックスとアレン&カンパニーとなっています。
「デュオリンゴ」はカーネギー・メロン大学の教授が創業!
外国語学習サービスを提供しているが、その本質はテクノロジー企業
デュオリンゴは、カーネギー・メロン大学のコンピュータ・サイエンスの教授、ルイス・フォン・アンと、彼の生徒として博士課程を履修していたセヴェリン・ハッカーによって2011年に創業されました。その時点でルイス・フォン・アンは、すでにリキャプチャーという不正検出技術の会社を興した後、グーグルに売却した経歴を持っていました。また彼は、ウェブを通じて自動車保険を提供しているルート(ティッカーシンボル:ROOT)の取締役でもあります。
ルイス・フォン・アンは、スマホが世界に普及していることから、スマホアプリを通じて教育コンテンツを提供するビジネスを始めたいと考えました。その際、別にどの科目から始めても良かったのですが、「世界には外国語を勉強している人が18億人存在しており、とりわけ、英語を母国語としない国の人たちが英語を勉強すると、より良い雇用機会に恵まれて収入もアップする」という世界共通の現象に目をつけ、まず外国語会話を習得するアプリから始めることを決心しました。
つまりデュオリンゴは、テクノロジーと学習を合体させることを目的としたプラットフォームであり、外国語という教材は、たまたま「潜在顧客が最も多いから」という理由で手始めに選択されたに過ぎません。言い換えれば、デュオリンゴはあくまでもテクノロジー企業であると言えるでしょう。
ちなみに、デュオリンゴは創業者がカーネギー・メロン大学の教授である関係で、本社所在地が同大学のあるペンシルバニア州ピッツバーグだという点もユニークです。
「ゲーミフィケーション」でユーザーのモチベーションを維持しつつ、
「AI」によるアルゴリズムで苦手な課題を克服させる
外国語学習で最も難しいのは、言葉そのものではなく、継続するモチベーションを維持することです。この点を重視したデュオリンゴは、学習アプリを徹底的にゲーミフィケーション(ゲーム要素を取り入れ、それ自体を楽しみながら利用できるようにすること)の考え方を取り入れ、楽しく学習を続けられるための工夫をたくさん盛り込みました。
例えば、画面上のちょっとした設問やレイアウトを決定する場合でも「A/Bテスト」、つまり「こっちの画面Aとこっちの画面Bでは、どちらがユーザーのエンゲージメントを高めることができるか」をいちいちテストし、常にユーザーのモチベーションが最大になるように工夫しています。
この関係から、デュオリンゴで外国語を勉強しはじめると、まるでネットゲームをやる感覚で病みつきになってしまいます。この楽しさこそがデュオリンゴの強みであり、熱心なファンが多い理由です。
デュオリンゴにはまったユーザーは、その存在をクチコミで友達に紹介するため、デュオリンゴはマーケティングにあまり費用をかけていません。その代り、より有効でエンゲージメントを高めるコンテンツをつくるため、エンジニアへの投資をガンガン行っています。
現在、デュオリンゴでは40種類の言語を学ぶことができ、月次アクティブユーザー数は4000万人です。
ユーザーは、毎日5億回の練習問題を解いており、デュオリンゴは、その回答から「次にどのように設問を設ければ良いのか」という洞察を得ています。
また、問題を提示するにあたっては、アルゴリズムがユーザーのレベルを絶えずモニターすることで本人が間違った問題をきちんと覚えておき、次回その間違いを矯正するような問題をぶつけるということも行います。つまり、AI(人工知能)との対話を通じて、どんどん外国語の習得を加速させることを狙っています。
「デュオリンゴ」が実施する英語テストは、スマホから受験でき、
TOEFLに代わるテストとして有名大学でも採用!
デュオリンゴは、2016年から英語力テストも実施しています。これはTOEICやTOEFLなどに替わる英語力検定であり、1回49ドルで自分のスマホから受験することができます。
このテストはすでにかなり普及しており、例えばイェール大やコロンビア大、デューク大、ジョンズ・ホプキンス大などの有名大学では、入学の判定条件のひとつとしてTOEFLではなくデュオリンゴの英語力テストでもOKとしています。
サブスクリプションを採用することで安定した売上を確保!
現在、売上高の73%をサブスクリプション収入が占める
デュオリンゴは無料ではじめることができますが、その場合、画面に広告が入ります。広告なしで学習しようと思えば、サブスクリプション(定期購読)に登録する必要があります。つまりデュオリンゴは、最初は無料でサービスを利用させ、その後で課金させるという、いわゆる「フリーミアム・モデル」を採用しています。
現在、デュオリンゴの売上高の73%がサブスクリプション収入で、現在、月次アクティブユーザーの4%が課金顧客になっています。サブスクリプションは1カ月(月12ドル99セント)、半年(月7ドル99セント)、1年(月6ドル67セント)から選ぶことができます。
ユーザーが課金すると決めてお金を払ったら、その代金は「ブッキングス」という名目でデュオリンゴに入金されます。
デュオリンゴの数字を分析する場合、この「ブッキングス」は「受注残」と同じように考えていいと思います。それというのも、米国で一般に受け入れられている会計原則では、ソフトウェア企業は契約の期間(デュオリンゴの場合1カ月から1年)に案分比例する形で徐々に売上高を計上していかなければならないからです。
なお、デュオリンゴの2020年の売上高は1.61億ドルで、そのうちサブスクリプション売上高は1.18億ドル(前年同期比+114%)でした。粗利益は1.16億ドルで、粗利益率は72%。そして、純利益は-1578万ドルで、営業キャッシュフローは1771万ドルと黒字でした。
なお、デュオリンゴのベンチャー・キャピタルはニュービュー、ユニオン・スクエア、キャピタルG、クライナー・パーキンス、ゼネラル・アトランティックで、良い顔ぶれと言えるでしょう。
【今週のまとめ】
外国語学習アプリを提供する「デュオリンゴ」は、
今、米国株式市場で最も面白いIPOのひとつ!
7月28日にナスダック市場にIPOを予定しているデュオリンゴは、外国語の学習アプリを提供している会社です。学習アプリにゲーミフィケーションの考えを持ち込んだことに加え、AIにより自分のレベルにマッチした練習問題が出されることで、比較的容易に外国語をマスターできることが特徴となります。
クチコミでユーザーが広がっており、マーケティングにあまりコストをかけなくて済むことから、黒字化のメドが立っているのも強みです。
今、米国株式市場で最も面白いIPOのひとつなので、ぜひチェックしてみてください。
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